「持続可能な」や「サステナビリティ」という言葉が巷にあふれ出してきた現在ですが、本当のところどのような行動をすればこれらを実現することができるのか、具体的にはわからないという人も多いのではないでしょうか。
しかし日ごろ行っている行動や、それにプラスアルファの行動を行うことが持続可能・サステナビリティな社会の実現に役立っているケースも少なくありません。
JALは飛行機を使って旅をする際に、誰もが行っている可視化しにくいサステナビリティにつながる行動を、「かくれたサステナビリティ≠かくれナビリティ」として紹介しています。
ここでは、JALが行っている#かくれナビリティについて紹介していきます。
JALが#かくれナビリティを始めた理由
JALが定義するかくれたサステナビリティ、すなわち#かくれナビリティとは、飛行機への搭乗前や搭乗中、搭乗後、滞在地でのちょっとした行動が実は環境にやさしいということを可視化し、紹介することでお客様にもサステナブルな取り組みを自分事としてとらえてもらうということです。
このような取り組みを経て、JALという企業だけではなく乗客とともに、持続可能な社会の実現につなげていくという目的を持っています。
そもそも飛行機を利用して旅をするということは楽しむことを目的としているため、サステナブルな取り組みを押し付けてその楽しみを損ねてしまっては、空の旅の本体の目的が失われてしまいます。
そのためJALが一方的にサステナブルな行動を押し付けるのではなく、旅する過程でお客様自身が気づき、「これならできるかもしれない」と思ってもらえるような行動を紹介しています。
そうすることによって旅する過程で強い意識を持たなくても、サステナビリティに貢献できるということをお客様に知ってもらいたいという思いから、この取り組みを始めました。
JALが行っている#かくれナビリティとは
#かくれナビリティは、もちろんJALという企業を運営していく過程にも存在します。
ここでは、JALという企業の運営の中の#かくれナビリティを紹介していきます。
運航の工夫の中の#かくれナビリティ
JALは、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることを目標としています。
飛行機が着陸した後スポットに入るまでの間は、片方のエンジンだけで走行することで、二酸化炭素の排出量を抑えています。
また、着陸のためにフラップやランディングギアを出す際には、より遅く出し空気抵抗を抑えることで、燃料の使用量を抑えることが可能です。
さらに着陸後にはエンジンの逆噴射を抑えることでも、燃料の使用量を削減できます。
それ以外にも燃費の良い機体を使用したり、化石由来の原料を使用せずバイオマス由来の成分や廃食油を原料とした、持続可能な航空燃料である「SAF」を活用したりすることで、二酸化炭素の排出量削減に取り組んでいます。
この運航の工夫の#かくれナビリティは、SDGsの目標13気候変動に具体的な対策をに貢献しています。
機内サービス用品のかくれナビリティ
機内サービス用品にも、#かくれナビリティは存在します。
例えば国際線エコノミークラスで提供される機内食の容器のうち、蓋とトレーマットには紙を使用しています。
機内販売の袋は100%生分解性の素材、飛行機の座席のヘッドレストカバーはリユースできる抗菌効果がある合皮がそれぞれ使用されています。
このように機内サービス用品の素材を工夫することで、プラスチックの使用量を削減できます。
この取り組みは、SDGsの目標13気候変動に具体的な対策をと目標14海の豊かさを守ろうに貢献しています。
機内食の#かくれナビリティ
飛行機の搭乗中の楽しみの一つである機内食にも、#かくれナビリティがあります。
機内食は、おいしさ・健康・サステナビリティへ配慮して作られていますが、食品廃棄の削減にも力を入れています。
機内食を作るうえで発生する食品残渣は、リサイクル可能な部分はすべて肥料としてリサイクルし、資源循環を実現しています。
また野菜の収穫や加工の際に廃棄される皮や芯などの食べられない部分を活用して、独自メニューの開発も行っています。
また、お客様が残した機内食は検疫の関係からリサイクルすることができず、すべて焼却処分しなければなりません。
食べ残しによる食品ロスを少なくするためにメニューカードを作成し、「機内食をおいしく食べきることで二酸化炭素の排出を抑え、地球を美しく保つことができます」というメッセージを伝えています。
この取り組みは、SDGsの目標12つくる責任つかう責任、目標13気候変動に具体的な対策をに貢献しています。
乗客の行動の中の#かくれナビリティ
JALの取り組みの中だけではなく、乗客の行動のなかにも#かくれナビリティがあります。
ここでは、乗客の行動の中の#かくれナビリティについて解説していきます。
搭乗時間に間に合うように空港に到着しておく
乗客は飛行機に乗り遅れないために、時間に余裕をもって空港に向かうでしょう。
この行動も、#かくれナビリティの1つです。
飛行機は多少搭乗時間を過ぎても、ある程度待っていてくれます。
しかし、待っている時間の分だけ到着地の空港へ急いで行く必要が出てくるので、パイロットが飛ぶ高さや離陸・着陸の仕方を選ぶことができなくなり、燃費効率の良い運航を行うことができなくなります。
飛行機を遅延させずに燃費の良い飛行を行うことで飛行燃料を節約することができ、SDGsの目標13気候変動に具体的な対策をに貢献できます。
飛行機に乗る前にトイレに行っておく
飛行機は、乗っている人や荷物の重さが軽ければ軽いほど消費する航空燃料の消費を抑えることができます。
機体の総量から1㎏重量が減ると、約0.75㎏の二酸化炭素の排出を削減できます。
飛行機に乗る前にトイレに行っておく以外にも、飲み物は到着地に着いてから購入する、上着を一枚減らすといった小さな気遣いを乗客の皆が行うことで、飛行機の総量を減らすことができ、二酸化炭素の排出量を削減できます。
飛行機を降りるときには窓のシェードを下ろしておく
飛行機を降りるときに窓のシェードを下ろしておくことで、機内の温度を一定に保つことができ、過剰な冷暖房の使用を控えることができます。
冷暖房の使用を控えると、二酸化炭素の排出量を削減できます。
また、駐機中の補助動力装置(APU)の使用が抑えられることによる二酸化炭素の排出量削減の効果も期待できます。
機内食が不要な場合は事前にキャンセルする
食品アレルギーがあるなどの理由で機内食を食べない場合には、早めにキャンセルしておくことでフードロスを削減できます。
ただしそのためには、25時間前までにMeal Skip Optionでキャンセルを行う必要があります。
機内食を事前にキャンセルすることで、SDGsの目標12つくる責任つかう責任に貢献できます。
まとめ
ここまで、JALが取り組む#かくれナビリティについて解説してきました。
JALが飛行機を運行させるうえで行っていることや、乗客のちょっとした気遣い程度の行動の中に、サステナブルな行動がかくれていたことが分かりいただけたと思います。
このかくれナビリティは、ここで紹介した事例以外にもたくさんのものがあるため、飛行機で旅をする際には、旅の中にどんなかくれナビリティがあるかを探すことで、旅の楽しみも広がるでしょう。