「リサイクル」「リユース」「リデュース」は学校の授業で習った方も多いのではないでしょうか。
実は、リサイクルに尽力する企業が増えています。それは、SDGs「12.つくる責任つかう責任」の貢献になるからです。
この記事では、リサイクルとSDGsの関係を解説するとともに、企業の事例についても紹介します。
身近で行われているリサイクルが分かります!ぜひ最後までお読みください。
リサイクルとは?
そもそも、リサイクルとは、どのような意味なのでしょうか。
3R、リユースやリデュースとの違いを明確にしたい方も多いかもしれません。
リサイクル
リサイクルとは、「再生利用」。つまり、使い終わったものを再度、資源に戻して新たな製品にするということです。
例えば、
- 牛乳パックがノートになる
- 古紙がトイレットペーパーになる
- 回収したビンから新しいビンになる
などです。
使い終わったものを資源として、新しく何かに作り変えることがリサイクルといえます。
リユース
では、リユースはどうでしょうか。
これは「再使用」という意味です。一度使用したものや部品をそのまま使うことを表します。
- 着れなくなった服を家族や知人にゆずる
- 使い古したタオルを雑巾にする
- 不用品をフリマサイトで売る
- 古本を買う
などがリユースです。
リデュース
リデュースは、減らすという意味です。
最初からゴミを減らすような行動をすることを呼びかけています。
- 余計なものを買わない
- 買い物リストを作って、買い過ぎを防止する
などがあてはまります。
このように、リサイクル、リユース、リデュース、3つを合わせたものを「3R」をいいます。使い終わったものを捨てるのではなく、貴重な資源や違う形で利用する循環のしくみは、持続可能な社会の実現に欠かせません。
企業がリサイクルに取り組む4大メリット
企業がリサイクルに取り組むことは、環境や経済的に大きなメリットがあります。
とはいえ、「捨てた方が効率的ではないか?」と感じる方もいるかもしれません。どうして、手間がかかるリサイクルに企業が取り組むのでしょうか。
今回は、企業が取り組む4つのメリットを紹介します。
①産業廃棄物の削減
一つ目は、産業廃棄物が削減できるからです。そもそもの使用量を見直したり、リサイクル率を高めたりすることで、廃棄量を減らせます。
環境省の「一般廃棄物の排出及び処理状況等」の報告によると、令和元年度の総排出量は「3億8,596万トン」。前年度の3億7,883万トンと比べ、約700万トン(約1.9%)増加しました。
このまま、廃棄物が増え続けることで、埋め立て地が足りなくなります。
環境省は、埋め立て地である最終処分は、約20年後に満杯になると発表しています。これは、早急に取り組むべき社会問題ではないでしょうか。
②エネルギーや資源の節約
二つ目は、エネルギーや資源の節約です。廃棄物の削減ができれば、その処理にかかる使用電力を節約できます。
もしかしたら、廃棄していたものを資源として活用できるかもしれません。そうすれば、経費削減も叶えられるのではないでしょうか。
社会にも企業にもやさしい取り組みといえます。
③地球温暖化の対策になる
三つ目は、地球温暖化の対策になるからです。
焼却するたびに、大量の二酸化炭素が排出されます。二酸化炭素の増加は、気温上昇や異常気象などの原因になっているのは知っている方も多いのではないでしょうか。
企業の「ゴミを減らそう」「資源を循環させよう」という意志が、住み続けられる未来につながります。
参照|環境省|一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について|
参照|環境省|産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度実績)について
④企業の信頼性が上がる
企業が積極的にリサイクル活動に協力していることを消費者にアピールすることで信頼性が上がります。
ただリサイクルやリユースをするのではなく、消費者を巻き込んで実施するのはいかがでしょうか。
消費者も企業と一緒に社会貢献をしたという実感が生まれます。また、信頼性も生まれ、リピーターにつながる可能性も高まります。
手間がかかるリサイクルではありますが、事業に活用することで企業の信頼性や経済的成長につながるかもしれません。実際の事例は、記事の後半で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
リサイクルと「SDGs12.つくる責任つかう責任」の関係
では、リサイクルとSDGsの関係をみていきましょう。SDGsについてもよくわかる内容になっています。
SDGs「12.つくる責任つかう責任」では、持続可能な生産や消費の確保を目指しています。生産者も、商品を開発する中で、地球環境や人間の健康を守るための責任があることを言及しています。
さらにターゲットを細かくみると、2030年までにリサイクルやリユースなどによって、廃棄物を大幅に削減することが示されています。
企業が取り組みリサイクル活動
では、どのような企業がどのようなリサイクル活動を行っているのでしょうか。続いては、3つの事例を解説します。
H&M「古着回収×クーポン」
海外ブランドもしくはファストファッションで有名なH&M。
ここでは服のリサイクル活動を実施しています。2019年には、不要な衣類や布地を「29,005トン」も回収しました。この規模は、世界最大。
回収衣服は、ブランドや状態を問わないのが、他のプロジェクトと大きく違うところです。
- H&M以外の衣料品
- 穴のあいた靴下
- 使い古したタオル
なども回収可能。
回収された服や布は、織物繊維に細かく刻まれ、断熱材として生まれ変わります。
さらに、回収に協力したら、一袋につき「500円OFFクーポン1枚」をもらえるそうです。「またこの店にいきたい」と感じてしまいますよね。
セブン&アイ・ホールディングス「ペットボトル回収×ポイント」
セブン&アイ・ホールディングスでは、ペットボトルリサイクルに協力すると、nanacoポイントがたまるというプロジェクトを実施しています。
なぜ、このような活動をしているのかと疑問に思った方もいるかもしれません。
実は、集めたペットボトルでまた新しいペットボトルを生産するからなのです。
2019年6月から、株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、日本コカ・コーラ株式会社とパートナーシップを結びました。このボトルの原料は回収したペットボトルをリサイクルした「一(はじめ)緑茶一日一本」を発売開始したのです。まさに完全循環型ペットボトルといえます。
自社のポイントとリサイクルを組み合わせたアイディアがすばらしいですよね。消費者も社会貢献できるだけではなく、ポイントももらえたら、嬉しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
花王「プラスチックボトル×消費者参加型」
花王は、ユニリー・ジャパンと共同研究・開発を進めています。
使用済みボトルを新しいボトルにリサイクルすることを目指しています。
これは、先ほどの事例と似ていますが、大きく異なる点があります。それは、ペットボトルではなく「プラスチック製」であること。プラスチック容器の完全リサイクル化なのです。
海の環境を悪化させてきたプラスチックを循環できれば、環境問題の解決へ大きな前進になるといえます。
花王|ユニリーバ・ジャパン、花王が協働回収プログラム「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」を開始|
まとめ
今回は、リサイクルに取り組む企業事例を紹介しました。
リサイクルに取り組むメリットとして
- 産業廃棄物の削減
- エネルギーや資源の節約
- 地球温暖化の対策
- 企業の信頼性アップ
という4つのメリットがありました。
実際に企業の取り組みをみてみると、他企業と一緒に取り組んだり、消費者を巻き込んで活動したりしているのが共通点としてあげられます。
リサイクルは、消費者がイメージしやすい社会貢献のひとつです。ぜひ新たな事業として取り入れてみてはいかがでしょうか。