日本発のスニーカーブランドとして知られる「オニツカタイガー」が、エコなスニーカーを発表しました。それが「MEXICO 66™ CACTFUL™」です。
この商品には、本革ではなくサボテン由来の素材が使われています。世界的に、植物性由来のヴィーガンレザーが環境にやさしいという理由から注目を集めているのです。
今回は、オニツカタイガーが発表した「MEXICO 66™ CACTFUL™」について、SDGsの視点から解説します。
他のヴィーガンレザーについても解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
オニツカタイガーがサボテン由来のスニーカーを発表!
人気スニーカーブランドのオニツカタイガーは、2022年10月にサボテン由来の素材を使用した「MEXICO 66™ CACTFUL™」を発表しました。発売は2023年1月を予定しているそうです。
メキシコの広大な大地で育ったサボテンレザーを採用し、シューレースの素材などにもリサイクル素材を採用しています。生産過程から環境に配慮したデザインになっているのです。
さらに、サボテンレザーの魅力である軽量性を活かしたシューズ設計で、カラーも5色展開となっていて、履く人にとってのメリットも大きいといえるでしょう。
サボテンレザーとは?
そもそも、サボテンレザーとは、サボテンが原料になったヴィーガンレザーです。メキシコにある企業が自生している大量のサボテンに目をつけ、新たなエコな素材として開発しました。
一般的な生産工程は次の通りです。サボテンの成熟した葉のみを収穫し、丁寧に洗ってトゲを取り除きます。さらにすり潰したあとに、3日間天日干し。その後、パウダー状態にして、薬品と混ぜ合わせてさまざま形へ型どれば完成です。
サボテンレザーの場合、本革では表現できない色に染められます。また、耐久性にも優れています。
サボテンレザーは、サステナブルな素材として世界的に期待されているのです。
サボテンレザーがサステナブルな素材である理由
では、どうして、サボテンレザーはサステナブルな素材なのでしょうか。その理由を解説します。
①少量の水で育つから
サボテンは、成長時に水をほとんど必要としません。また、レザーへ加工するときも、水の消費量を最小限に抑えられます。
本革の生産より節水ができる点から、サステナブルといえるでしょう。
②二酸化炭素を削減できるから
サボテンレザーは、一般的な本革と比べ、製造過程での二酸化炭素排出量を約80%削減できます。また、生えているときも、二酸化炭素の吸収率は高いともいわれているのです。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素を大幅にカットできるのは、気候変動対策としても有効であるといえるでしょう。
③メキシコの新たな産業になる
サボテンレザーは、メキシコで育ったサボテンを使用しています。サボテンレザーが開発されたおかげで、これまで価値がないものとされていたものに、経済的価値がプラスされました。そしてメキシコに新たな産業が生まれたのです。
サボテンレザーはハイブランドが注目するくらい年々需要が高まっているため、持続可能な経済成長が見込めるのではないでしょうか
他にもある!ヴィーガンレザー
実は、サボテンレザー以外にもヴィーガンレザーがあるのはご存知でしょうか。植物由来のヴィーガンレザーを5つ解説します。
①パイナップルレザー
まずは、パイナップルレザーです。パイナップルの葉の繊維からできたヴィーガンレザーもあります。高い耐久性と美しい発色が特徴です。
②ぶどうレザー
ぶどうレザーは、イタリアのスタートアップ企業が開発した素材。主にワインを製造する過程で廃棄される皮や絞りかすを使用しています。イタリアの新たな名産品になるかもしれません。
③りんごレザー
りんごレザーは、皮や種、芯などの廃棄される部分を使用して作られています。りんごやジュース加工で発生した食品廃棄物を活用することで、食品ロス削減にも貢献しています。
機能面では、通気性に優れていて、軽くてしなやかな質感が特徴です。
④バナナレザー
バナナレザーは、茎の繊維を使用して生産されています。廃棄される茎をアップサイクルしているエコな素材です。
⑤きのこレザー
きのこレザーは、きのこの菌糸体を培養して作られたものです。約2週間で成長し再生可能なため、生産効率が非常に高いといえます
SDGsの目標「12.つくる責任つかう責任」「15.陸の豊かさを守ろう」に貢献!
今回紹介したオニツカタイガーが発表したサボテンレザーのスニーカーは、SDGsへ大きく貢献しています。
「12.つくる責任つかう責任」
まずは、「12.つくる責任つかう責任」に貢献しているといえます。水の使用量が少なく、二酸化炭素の排出も少ない素材を使用することは、環境に配慮した生産に努めているといえるからです。
目標12には、以下のターゲットが明記されています。
- 2030年までに、天然資源を持続的に管理し、効率よく使えるようにする。
- 2020年までに、国際的な取り決めにしたがって、化学物質やあらゆる廃棄物(ごみ)を環境に害を与えないように管理できるようにする。
- 2030年までに、ごみが出ることを防いだり、減らしたり、リサイクル・リユースをして、ごみの発生する量を大きく減らす。
オニツカタイガーが採用したサボテンレザーは、廃棄物を減らすだけではなく、有害な化学物質であるフタル酸エステルやPVC(ポリ塩化ビニル)を使用していません。
このような点をふまえると、「12.つくる責任つかう責任」に生産を通して大きく貢献しているといえるのではないでしょうか。
「15.陸の豊かさを守ろう」
環境負荷が少ない生産方法を実現させているため、「15.陸の豊かさを守ろう」にも大きく関わっています。
サボテンは生命力が強いので、手をかけなくても自生できる特徴があります。そのため、栽培過程においても、余計な水やエネルギーを使用することもありません。
陸の豊かさを守るために、環境に配慮したサボテンレザーを使うことが、持続可能な社会の実現につながるといえるでしょう。
まとめ
オニツカタイガーが発表したスニーカーには、サボテンレザーが使用されていました。2023年1月に発売予定の「MEXICO 66™ CACTFUL™」の売れ行きは、見逃せません。
今後、水の使用量や二酸化炭素の排出量を減らせるサボテンレザーはますますニーズが高まるのではないでしょうか。
また植物由来のため、処分するときも環境への負荷を減らせるのも魅力といえます。
これまでの常識を疑い、新たなサステナブルな素材を使った商品開発がこれからの企業に求められるのではないでしょうか。
消費者としてできることは、環境に配慮した商品の情報をキャッチすること。そして、買い物の時に「これはエコなのか?」「環境や社会にどのような影響を与えているのか」を少しでも考える努力が必要です。