SDGsが世界的にアナウンスされている一方で、「SDGsは胡散臭い」などのネガティブな印象を抱いている人も存在します。
なぜ、SDGsに対してこのようなネガティブな印象を持つ人が出てくるのでしょうか。
そこには、さまざまな理由があります。
この記事では、SDGsが受け入れられない、ネガティブに思われる理由について解説していきます。
よくあるSDGsへのネガティブな反応
SDGs にネガティブな反応をする人も、少なからず存在します。
SDGsへのよくあるネガティブな反応には、以下のようなものがあります。
生活するのに精一杯でそんな余裕はない
個人が生活の中でSDGsを実行する場合には、コストがかかることもあります。
例えば目標13「気候変動に具体的な対策を」を実行するためには、太陽光パネルの設置や消費電力の少ない家電への買換え、エアコンを使用する際に熱や冷気を外部に逃がしにくい断熱性の高い窓への交換など、決して安くはないコストがかかります。
このコストは時に100万円以上かかることもあり、自治体などから補助が出ているケースがあるとしても、一般的な家庭には大きな出費となります。
中でも生活していくので精一杯、という家庭ではこのような方法でのSDGsへの貢献は難しいでしょう。
金儲けの手段でしょう?
SDGsは金儲けの手段でしょう?と思われている方もいらっしゃるようです。
これについては、あながち嘘とは言えません。
SDGsをビジネスを通じて普及させることを、国連が公的に推奨しているためです。
SDGsの前身であるMDGsや従来の国際協力、開発援助などは先進国が途上国を一方的に支援するという性質が強いものでした。
しかし、この「一方的な支援」には多くの課題があります。
その課題とは、先進国に経済的な余裕がない場合には支援を行うことができないというものです。
そのため、SDGsの目標を達成すると同時に利益を上げたいと考えている、または実際に利益を上げている国や企業は少なくありません。
このようなことから、SDGsが金儲けのためのものであると思われてしまうのです。
偽善的
SDGsでは17の目標が定められていますが、この中には「すべて」や「ゼロに」などの極端な表現が多く使われています。
これがSDGsに定められた目標に現実味がないと感じる人もいて、SDGsが偽善的であると思われてしまう原因のひとつになっています。
さらに一つ一つの目標を見ていくと、矛盾が起きていることも分かります。
このことから、SDGsは偽善的なものであると考える人が存在します。
SDGsはマスコミや広告代理店のゴリ押し
SDGsの現状は、まったくもってその通りです。
大手企業が一斉にSDGsについて報じることで、マスコミや広告代理店の力が働いていて、実際には役に立っていないのではないかという印象を感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、このようにSDGsがゴリ押しされるのには理由があります。
それは、日本のSDGsの認知度が先進国の中でも最低レベルだからです。
SDGsはマスコミや広告代理店のゴリ押しされているということは、真実です。
SDGs は人間至上主義である
人間至上主義とは、人間が世界全体の中心あるいは目的とする世界観、またすべての生存者の中で人間を最も根本的で重要な地位を与えようとする立場のことをいいます。
SDGsのターゲットは人間の活動を中心に設定されているため、「自然」といえば人間にとって都合がよい自然のことを指します。
これは、すべての生命を考慮したうえでの自然ではありません。
そのため、SDGsに対してネガティブな反応を示す人もいます。
ネガティブな反応を加速させるSDGsウォッシュ
SDGsへのネガティブな反応を加速させる原因のひとつに、SDGsウォッシュがあります。
SDGsウォッシュとは、実態が伴っていないのにSDGsに取り組んでいるように見せかけることです。
このウォッシュとは、うわべだけ環境に配慮していると見せかけた企業を批判するために1980年代に欧米を中心に使われていた「greenwash(グリーンウォッシュ)」という造語から来ています。
以下に、SDGsウォッシュの例を挙げていきます。
SDGs に関する取り組みをHPなどに掲げているのに実行していない
自社のHPやパンフレットなどにはSDGsと事業を結び付けた取り組みを進めていると掲載しているものの、実際にはそのような取り組みを行っていないというケースがあります。
これは自社もSDGsに取り組まなければ時代に乗り遅れたり、会社のイメージダウンにつながってしまったりするという意識から、SDGsの本質を理解することなく取り急ぎ自社が行っている事業とSDGsを結び付けているものの、そこから実際の取り組みへと進展していないことが考えられます。
SDGsの取り組みとして掲げているものと実際の事業が矛盾している
公表しているSDGsの取り組みと、会社で実際に取り組まれている事業が矛盾しているというケースもあります。
例えば、企業が目標13の「気候変動に具体的な対策を」に対する取り組みとして、二酸化炭素排出量削減のために社用車として電気自動車を導入したり、社内の電気をLEDに変更し太陽光などの再生可能エネルギーを利用したりしていたとしましょう。
しかし実際には電気自動車を導入していても、社員のガソリン車の利用率に変わりがなかったり、再生可能エネルギーへの切り替えを行っていてもその会社が化石燃料を取り扱う企業へ投資したりしているなどの矛盾が生じることがあります。
このような矛盾が生じることも、SDGsウォッシュであると言えます。
SDGsへのネガティブな反応は正しい
SDGsにネガティブな人の意見にはさまざまなものがありますが、その中から「SDGsは金儲けの手段である」という意見を例にとって考えてみましょう。
SDGsは金儲け、つまりビジネスであると考えた場合、それが善であるか悪であるかはそれを見る人の主観によります。
現在、この記事をご覧になっているあなたが使用しているパソコンやスマートフォンなどもビジネスのために販売され使用されているものですが、これらの普及が「人間の生活を豊かにした」と考える方もいれば、「人間の思考力を落としてしまった」と考える方もいらっしゃるでしょう。
この二つの意見は、どちらも正しいと言えます。
他人の意見を鵜呑みにする前に、実際にその内容を精査し自分自身でどのように解釈するかが大切になるのです。
それは、SDGsに対しても同じことがいえます。
「SDGs」という言葉にすぐに拒否反応や全面的な賛成を示す前に、SDGsとはどのようなことかを少しずつ知りながら、自分なりの解釈を導き出すことが大切なのです。
SDGsは強制されてやるようなものではない
SDGsはすべての人間にとって、絶対の正義であると捉えられることはありません。
受け入れられない人がいるのも、ネガティブな反応があるもの当然のことでしょう。
SDGsに賛同するも、反対するのも個人の自由なのです。
SDGsだけでは、地球上に存在するすべての問題を解決することはできないでしょう。
その理由は、SDGsが問題解決の一つの道しるべにすぎないからです。
地球環境や人間に関する問題を解決するためのSDGsでなくても良いので、自分が興味をもてる問題を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。