2050年にコーヒーが飲めなくなる?SDGsに貢献する企業事例5選

毎日、コーヒーを飲む方も多いのではないでしょうか。日本は世界トップ4に入るくらいコーヒー消費量が高い国といわれています。

実は、世界的に親しまれているおいしいコーヒーは約30年後には飲めなくなる可能性があるのです。

今回はコーヒーを取り巻く社会問題を解説します。さらにSDGsに貢献する企業の取り組みもまとめました。

現状を知ることでコーヒーの見方が変わるかもしれません。ぜひ最後までお読みください。

2050年にコーヒーが飲めなくなる?

コーヒーは、2050年には飲めなくなると懸念されています。年々消費量が増加している一方で、栽培地が減少しているからです。

コーヒーの品種は、主に2種に分けられます。一つ目は缶コーヒーなどに使用されるロブスタ種で、もう一つは飲食店で扱われるアラビカ種です。

コーヒーの栽培地は北緯25度〜南緯25度の熱帯地帯に限られているため、栽培可能なエリアが広くありません。
にもかかわず、近年の気温の上昇や降水量の減少などによって、栽培地が縮小しているのです。また「さび病」という病気も発生しやすくなるため、収穫量が下がるだけではなく品質の低下の恐れもあります。

このままでは2050年にはアラビカ種のコーヒー栽培地は現在の50%にまで減少すると指摘されています。このような理由から、約30年後にはコーヒーが飲めなくなると言われているのです。

コーヒーに隠された社会問題

コーヒーに隠された社会問題は一つではありません。続いては、具体的な問題をみていきましょう。

問題1:環境破壊

コーヒーは低木であるため、高い樹木の下で育てる木陰栽培で育てられていました。しかし、木陰栽培は機械が使用できず手間もかかるため、生産効率が低くなります。コーヒーの需要が高まった近年では生産量をあげるために、森林を伐採してコーヒー専用の畑にする動きが強まったのです。

その結果、害虫や病原菌の影響を受けやすくなりました。化学薬品の使用量も増えたことで、土壌や水質も汚染されたのです。

コーヒーの栽培地である熱帯林には多様な生物が存在します。つまり、熱帯林の縮小は、生物の命を奪うことにもつながるといえるでしょう。

問題2:開発途上国の貧困

コーヒーは主に開発途上国で栽培されています。社会的に弱い立場の生産者は不当な取引を強いられることが多いです。

どれだけ真面目に働いても低収入しか得られない場合、生産者やその家族は貧困に陥ってしまいます。世界的に安い価格の商品が求められるほど、そのしわ寄せが開発途上国の生産者にくるのです。

日本で販売されている安価なコーヒーの裏に、食事も十分にできない生産者が存在しているかもしれません。

問題3:児童労働

児童労働も深刻な問題の一つ。経済的に苦しくなれば、子どもを学校へ通わせる余裕がなくなるからです。

コーヒーの生産量を上げるために、子どもたちも労働者として駆り出されます。安いコーヒーは子どもの将来を奪うことにもつながるといえるでしょう。

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コーヒーでSDGsへ貢献する企業事例5選

コーヒーを取り巻く問題を解決するために奮闘する企業が増えています。環境や社会に配慮した生産に努めているのです。今回はコーヒーを通してSDGsへ貢献する取組みをまとめました。

①スターバックス:エシカルな調達

スターバックスは、環境や社会に配慮したエシカルな調達に努めています。独自のガイドラインを設定。「品質基準」「経済的な透明性」「社会的責任」「環境面でのリーダーシップ」、この4条件を満たすものだけを取引しているのです。

  • 品質基準
    コーヒー豆の品質をスターバックスの基準を満たしていること
  • 経済的な透明性
    適正な価格が生産者に支払われていることにを証明できること
  • 社会的責任
    生産者の労働条件を守り、生活向上に貢献すること
  • 環境面でのリーダーシップ
    生産地の環境への影響を与えること

引用:https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2019-3151.php

このような取り組みの結果、2015年に99%のエシカルな調達を達成。2025年までに100%を目指しています。
地球から得たものよりいいものを還元する「リソースポジティブ」が評価すべき姿といえるでしょう。

参照:
https://stories.starbucks.co.jp/ja/ethicallyconnectingday2022/
https://stories.starbucks.co.jp/ja/stories/2021/ethicallyconnectingday/

②小川珈琲:バードフレンドリー

小川珈琲は2015年から日本で初めて「バードフレンドリー認証コーヒー」を販売しています。

これは渡り鳥が休息する森を守ることを目的としたプログラム。近年、コーヒー農園を開拓するための森林伐採によって渡り鳥が減少したことが明らかになりました。そこで、自然の状態に近い農園経営をするために、「バードフレンドリー認証」が誕生したのです。認証を受けたコーヒーは、生産者を支援しながら渡り鳥を守っているといえるでしょう。

参照:https://www.ocogawa.co.jp/SDGs/

③ローソン:レインフォレスト・アライアンス認証

ローソンのMACHI caféを一度飲んだことがある方も多いのではないでしょうか。コンビニの淹れたてコーヒーにも環境や社会への配慮が込められています。

ローソンのMACHI caféには、レインフォレスト・アライアンス認証を受けたコーヒー豆のみを使用しています。これは、カエルのマークが特徴。生産者が環境、社会、経済における厳しい基準をクリアして生産しなければ認証されません。持続可能な農法であることを表しているのです。

また、コーヒーかすのリサイクルも積極的に実施しています。焙煎工程で生まれる廃棄物を肥料や牛の寝床にリサイクルしています。

参照:https://www.lawson.co.jp/lab/machicafe/art/1309745_7561.html

④エコアルフ:コーヒーかすをアップサイクル

アパレルブランドのエコアルフは、コーヒーかすを生地の原料へ再利用しています。廃棄物を原材料として活用することで、天然資源の使用を節約することに成功しました。

これまでにコーヒーかすを練り込んだ繊維を使用したマルチジャケットを販売。コーヒー豆のカスは脱臭効果や速乾性が高いため、着る人にとってもメリットが大きいといえるでしょう。

参照:https://ecoalf.jp/contents/2020aw/keymaterials/coffeegrounds

アップサイクルについてはこちら

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⑤キーコーヒー:オーガニックコーヒー

キーコーヒーではオーガニックコーヒーを販売しています。オーガニックコーヒーとは、有機栽培されたコーヒー。化学肥料や農薬の使用を避け、3年以上をかけて堆肥などによる土づくりを行った農園で栽培しています。

生産者にとっても消費者にとっても安全安心な商品であるといえるでしょう。オーガニックコーヒーには「有機JAS認証」のラベルがついています。選ぶときにチェックしてみてください。

参照:https://www.keycoffee.co.jp/products/sustainable/

おわりに

一杯のコーヒーで未来の地球をよりよくしようと努力する企業があることが分かりました。コーヒーを取り巻く社会問題を受け止めながら、SDGsの「つくる責任」に貢献しているのです。

消費者である私たちも他人事ではありません。「つかう責任」を果たすことが求められています。例えば、

  • コーヒーの問題を知る
  • 認証マークをみて選ぶ
  • 環境に配慮した商品を買う
  • タンブラーやカップを持参する

などは、価値ある行動です。

企業も個人も今できることを少しずつ積み重ねていくことが大切なのではないでしょう。今回紹介してポイントを参考にしながら、SDGsへの貢献にトライしてみてください。

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