もぐもぐチャレンジ~棄てる当たり前を0に~

食品ロスは、現在家庭でも減少している傾向にあります。

これには、消費者の意識の変化と行動の変容が大きな影響を及ぼしています。

食品の持ち味を生かした調理法の工夫や職人の保存方法の知識の広がりなどが要因となり、食品ロスに関連する二酸化炭素の排出量に関する情報に関する意識の高まっているということが、家庭での食品ロスが減少している原因であると思われます。

食品ロスを削減することは、SDGsの目標12つくる責任 使う責任の目標達成に大きく貢献します。

ここでは、高知発の食品ロス削減プロジェクトである「もぐもぐチャレンジ」について解説していきます。

もぐもぐチャレンジとは?

もぐもぐチャレンジとは、スパーマーケットに陳列されている商品のうち賞味期限や消費期限が迫った商品に、「もぐにぃ」と名付けられたキャラクターのシールを貼り、購入を促すというもので、現在では日本全国の300店舗以上のスーパーで実施されています。

このもぐにぃのシールを集めると、抽選に参加したり寄付を行ったりすることができ、楽しみながら食品ロスの削減に取り組めるという特徴があります。

このもぐもぐチャレンジは高知県で始まり、アッシェというマーケティング会社が運営しています。

アッシェは、この取り組みを日本全国に広げたいと意気込んでいます。

シールを集めるとどのような抽選や寄付に参加できる?

もぐもぐチャレンジは、参加するスーパーなどの小売店が賞味期限や消費期限が近付いた商品にもぐにぃが描かれた「もぐもぐシール」を貼付します。

お客がそのような商品を購入しこの「もぐもぐシール」を集め、台紙に張り付けて店舗へ持参すると、ガチャガチャなどの抽選に参加したり、国際機関や地域の子ども食堂などに寄付を行ったりすることができます。

ちなみにガチャガチャでもらえる景品には、ティッシュペーパーや駄菓子などがあります。

もぐもぐチャレンジは2019年2月に高知県でスーパーを展開するサニーマートとアッシェの共同プロジェクトとして始まり、2023年10月時点では日本全国の15のスーパーが参加しています。

首都圏の1都3県で展開されるサミットや熊本県のゆめマート熊本、北海道の福原など300店舗以上にその活動は広まっており、集まったシールは2023年9月の時点で累計1460万枚以上にのぼります。

コンセプトは「おいしく、楽しく、食品ロス削減」

アッシェマーケティング&カスタマーサクセス本部が掲げるこのもぐもぐチャレンジのコンセプトは、「おいしく、楽しく、食品ロス削減」です。

シールを採用している理由は、小さな子供からお年寄りまで楽しく参加してもらえるようにという思いがあります。

導入効果は導入しているスーパーによって差がありますが、大体10%前後の食品ロスの削減効果があります。

スーパー側には食品ロスの削減以外にも、SDGs活動を通じた店舗のファンづくりができるというメリットがあります。

ただし、もぐもぐチャレンジに参加することをメインとしてしまっては、本末転倒な結果になりかねません。

食べるタイミングと必要な量を考えて適切に購入することが、食品ロス削減のための一番重要なことだからです。

もぐもぐチャレンジ導入・サミットとマルダイの例

サミットとは、住友商事グループのスパーマーケットで、2023年末現在東京、神奈川、千葉、埼玉に122店舗を展開しています。

1963年に1号店を東京世田谷区に出店して以降地域に寄り添ったサービスを心掛け、2020年度は初の連結売上高3,000億円越えを達成するなど、首都圏有数のスーパーとして成長してきました。

このサミットが2021年10月にもぐもぐチャレンジを導入し、2023年10月現在122店舗で取り組みを行っています。

青果・鮮魚・精肉・惣菜・ベーカリーの計5部門のうち一部を除いた商品に、3割引きを行う際にもぐもぐシールを貼り、購入を促しています。

10枚のシールを張り付けた台紙を店舗に持参すると、台紙1枚につき10円が国連WFP(特定非営利法人国際連合英海食糧計画WFP協会 World Food Programme)に寄付されるというシステムになっています。

サミットの広報担当者は、「食品ロスという大きな課題に対して、お客様は買い物を、従業員は仕事を通じて自分事化できるようになった」と話しています。

また、このもぐもぐチャレンジを6月から1店舗で導入した秋田県のマルダイの担当者は、お客様から「参加のハードルの低さが良い」という声があったといいます。

実際にこのもぐもぐチャレンジを実施している店舗では、廃棄率がもぐもぐチャレンジを実施していない店舗と比較すると0.2ポイントほど低下したといいます。

廃棄率はまだまだ目標に及ばないものの、もぐもぐチャレンジの効果は出ていてお客様のこの取り組みへの参加も増えていきています。

もぐもぐチャレンジを日本全国に

日本で1年間に出る食品ロスは、2021年度の推計で523万トンに及び、その内訳は、事業者と家庭からそれぞれ半分ずつとなっています。

これはWFPによる食糧支援の量を上回っており、毎日10トントラック約1433台分の食べ物が廃棄されているという計算になります。

日本政府は2030年までに2000年度の食品ロスの半分の量に削減する方針を掲げていますが、この目標を達成させるためにはさらなる取り組みが必要となるでしょう。

一般的な値引きシールを貼付した場合ともぐもぐシールを貼付した場合とを比較してみると、一般的な値引きシールよりもぐもぐシールが添付された商品のほうが2倍も売り上げが高かったというデータもあります。

もぐもぐシールは、参加者にとって値引きとともにさらに意義の高いシールであると言えるでしょう。

食品ロスに対する意識が低い人の割合が多い、子育て世代である20代から30代の方たちに、もぐもぐチャレンジを通じて自然と食品ロス問題の認知度を高め行動を促すという点においても、この取り組みは大きな意味を持っています。

また、このような取り組みにより子育て世代の方たちの認知度が高くなれば、その子供世代も食品ロスの削減に関する意識が高まるはずです。

そのためにも、このもぐもぐチャレンジを日本全国に広げていくことは、非常に意義があることだと言えるでしょう。

まとめ

ここで紹介したもぐもぐチャレンジは、楽しみながら食品ロスの削減ができるというもので、冒頭で紹介したようにSDGsの目標12つくる責任 使う責任の目標達成の大きな影響を及ぼす取り組みであると言えます。

大人は食品ロスを削減し寄付をするために、子どもはかわいいもぐにぃのシールを集めるために、とそれぞれ異なる理由でこのもぐもぐチャレンジに参加すると思われますが、その両者の目的は異なっても、最終的に行き着く目的は食品ロスの削減という地球環境に影響を与える大きなものです。

近隣のスーパーでこのもぐにぃのシールを見つけたら、その商品を自分が本当に必要とし、期限内に消費できるかを確認して購入することで、食品ロスを削減することができるでしょう。

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