不要な本を売り、必用な人に販売するといういわゆる古本屋という業務形態は、平安時代にさかのぼると言われています。
BOOK・OFFは、まさに古本屋の進化系であるといえるでしょう。
近年では古本以外に、衣類や電子機器、家電なども買取りと販売を始めたBOOK・OFF。
この事業の形自体がSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の達成に貢献していますが、BOOK・OFFはそれ以外の分野でも、リサイクルやアップサイクルによって資源を循環させています。
ここでは、BOOK・OFFが「つくる責任 つかう責任」を達成するために始めた、新たな事業について解説していきます。
リユースで二酸化炭素排出量の削減
BOOK・OFF国内チェーンの年間買取り点数は約4億714万点ですが、そのうち2億6,996万点の商品が販売されていきます。
買取った商品を単にごみとして処分した場合には大量の二酸化炭素が排出されてしまいますが、商品を販売することで二酸化炭素排出量を約46万トン削減することが可能になりました。
また、日本国内で売れ残ってしまった衣類については、夏物をマレーシアに、冬物をカザフスタンに出店しているリーユースショップ「Jalan Jalan Japan」へ輸出し、現地で販売することで、さらに廃棄される衣類の量を削減しています。
CDプラ
BOOK・OFFでは、年間2,400万枚のCDやDVDの買取りを行っています。
しかし、査定時に値段がつかず、買取りを依頼したお客様の同意を得て引き取ったり、買取り後に一定期間で販売できなかったりしたものが年間約1,700トンにも及びます。
今までは他社を通じてリサイクルを行っていましたが、リサイクルにかかるコスト上昇に伴い、BOOK・OFFが主体的にリサイクルに取り組む必要性が出てきました。
社内で検討を進める中で、分別を行えばCDとDVDは、それ自体が良質なプラスチック資材であり、排出からリサイクルまで一貫したラインとすることで、より信頼性が高い再生プラスチック資材になり得ることが分かりました。
BOOK・OFFが排出するCDとDVDは、BOOK・OFFチェーン網を通じて毎年1,700トンの安定した排出量があります。
そのため、BOOK・OFFが回収からリサイクルまで一貫したラインを作ることで、良質なプラスチックの安定供給につながるのではないかというアイデアが浮かび、実現に向けたプロジェクトが動き出したのです。
そして誕生したのが、BOOK・OFF店舗・瀬谷センターからCDとDVDを回収し、パートナー企業に運搬、ディスク・ケース・歌詞カードなど素材ごとに分別したあと破砕し、破砕された素材はペレット工場に運ばれ、リペレットされるという流れです。
このようにしてできたのが、BOOK・OFFのオリジナル再生プラスチック素材「CDプラ」です。
REMARKET
REMARKETとはBOOK・OFFが、廃棄物の素材としての新しい使い方を創造し、循環ビジネスの構築や商品化を手掛ける株式会社モノファクトリーと共同で、脱炭素社会におけるモノとの付き合い方の再発見を提案し、「不用品の使い方を創造し、捨て方をデザインする」新しいサービスブランドで、BOOK・OFFスーパーバザーバザー前橋リリカ店に設置しているショップです。
人は、「捨てること」を悪いことだとは思っていません。
しかし、捨てたあとのことを考えずに使う生活、生み出す構造は変えなければならないという考え方から、このREMARKETは生まれました。
REMARKEETは、「使い方」を創造し「捨て方」をデザインするというコンセプトのもと、これから新しいモノとの付き合い方を提案するブランドです。
REMARKETには、リユースギャラリーがあります。
そこに展示されているのは、昭和に愛されたレトロな家電や雑貨です。
また、ワークショップも開催されています。
ワークショップは、マテリアルを使用した「モノを作る」、そして「モノを解体する」体験型のものです。
不思議な素材を利用してコースターを作ったり、工具を使って機械などを分解したりしていくものが多く、モノとふれあう楽しさやモノの仕組みや成り立ち、そして分解することでリサイクルについても学ぶことができます。
「都市鉱山」の利用
都市鉱山とは、都市に蓄積されている使用済みの家電や電子機器、建設廃材などの廃棄物から金属資源を回収し、再利用する取り組みです。
BOOK・OFFグループは、経済産業省及び環境省が推進する小型家電リサイクル法の認定業者である、リバーホールディングス株式会社及びトーエイ会社と提携し、関東と中京の31店舗で「使用済み小型家電の引き取りサービス」を行っています。
携帯電話やスマートフォン、タブレットをはじめ小型家電には、鉄・アルミ・銅・貴金属・レアメタルと言われる有用な金属などが含まれていて、これらをリサイクルすることで有用な金属の再利用が可能です。
日本で年間に発生する使用済み小型家電は65万トンに及び、そのうち有用な金属は28万トンもの量であると推測されます。
パソコンやデジカメといった、資源制から特にリサイクルするべきと国が指定している品目については無料で引き取りを行い、その他の家電については自治体の粗大ごみ料金より安価な料金体系で引き取り、提携企業で解体・粉砕・選別を経て、有用な資源を再利用可能な形にしています。
Reclothes Cup
Reclothes Cupとは、BOOK・OFFの店舗に並ぶ古着を無償で提供し、自由にリデザインして行うアップサイクルファッションコンテストです。
Reclothes Cupには、「デザイン部門」と「販売部門」の2部門があり、「デザイン部門」は服飾学科に通う全国の学生、「販売部門」は学生とデザイナーとして活躍していない一般の方がエントリーの対象となります。
2023年度の応募総数は400点以上にのぼり、1次審査である書類審査を突破し、BOOK・OFFで販売されている古着をアップサイクルして作成した「デザイン部門」39点、「販売部門」15点の作品が最終審査会に出場しました。
BOOK・OFF のビジネス体系すべてがSDGs
1990年に相模原市に第一号店が開店したBOOK・OFFですが、30数年の間にフランチャイズを含め全国に店舗が開店しているため、その存在を知らない人は非常に少ないと思います。
不用品を買取り、必用な人に販売するというビジネスはそれだけでも地球環境に負荷をかけませんが、それ以外にもここで紹介した5つの取組みを行い、自然環境の保護に貢献しているのです。
このBOOK・OFFが展開する事業は、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」以外にも、二酸化炭素の排出量を抑制するため、目標13「気候変動に具体的な対策を」にも貢献しています。
自分がゴミだと思ったものが、他人にとっては価値あるものであるというケースは少なくありません。
自分にとっての不用品をBOOK・OFFで買い取ってもらうということは、誰かの手に渡り大事に使われる以外にも、地球環境を守るための手段の1つとなっているのです。
もし手元に不用品があり、それがまだ使えるものであれば、それを持ってBOOK・OFFへ足を運んでみてはいかがでしょうか。