地産地消とは、地元で生産されたものを地元で消費するという意味の言葉です。

消費者の農産物に対する安全と安心志向の高まりや、生産者の販売方法の多様化が進む中で、近年消費者と生産者を結びつける地産地消への期待が高まってきています。

この地産地消という生産物の消費方法が、SDGsの目標と深く関わり合っていることをご存じでしょうか。

ここでは、地産地消がSDGsのどのような目標と関わり合っているかという事や、その目標達成のための具体的な取り組み事例について解説していきます。

地産地消はSDGsの目標の何番目に該当する?

地産地消は、前述したように地元でとれた生産物を地元で消費するという流通方法ですが、この地産地消はSDGsのどのような目標達成に役立つのでしょうか。

ここでは、地産地消と関わるSDGsの目標について解説していきます。

目標14海の豊かさを守ろう・目標15陸の豊かさも守ろう

地元で収穫された農産物や海産物をその地域内で消費することで、陸や海の資源を保護することができます。

逆にその地域外への販売や海外への輸出量を増やそうと考え農地を開拓すると、森林が伐採され陸の豊かさが脅かされるなどの弊害が生じる可能性が高くなります。

海洋資源についても、同様に漁獲量を増やそうとすると乱獲につながる恐れもあります。

地産地消を推奨することで、海や陸の豊かさを守ることが可能になります。

目標13気候変動に具体的な対策を

地産地消で生産物を消費することで、生産物を遠方まで運搬する必要がなくなります。

何かしらの荷物を運搬するためには、化石燃料由来のガソリンや電気を使うことになるので、長距離の輸送を必要としない地産地消では少量のガソリンや電気を使った方法で輸送を行うことができます。

このように地産地消を行うことで、化石燃料由来のエネルギーの使用を抑えることができ、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を大幅に削減することができます。

このような理由から、地産地消はSDGsの目標13気候変動に具体的な対策をの達成に貢献することができます。

目標7エネルギーをみんなにそしてクリーンに・目標9産業と技術革新の基盤を作ろう

地産地消される生産物の中には、電力も含まれます。

電力の地産地消を進めることで、エネルギー問題だけではなく環境問題に貢献することも可能です。

また、電力は住んでいる場所から遠く離れた場所で作られていることも少なくありません。

そのような場合に、震災や大型の台風などの災害で、エネルギーの供給に問題が発生することもあります。

このような問題の発生を防ぐために今注目されているのが、その地域の特性に合わせた再生可能エネルギーの生産と使用です。

このようにして作られた再生可能エネルギーの地産地消を行うことで、エネルギー供給のリスクを低く抑えることができます。

地産地消×SDGsの取り組み例

地産地消とSDGsを組み合わせた取り組みは、すでにさまざまな企業や自治体により始められています。

ここでは、その取り組み事例を紹介していきます。

岡山県真庭市・バイオマス発電でエネルギーの地産地消

岡山県真庭市では、木材のみを燃料として発電するバイオマス発電に力を入れ、エネルギーの地産地消を行っています。

バイオマス発電とは、化石燃料以外の生物由来の再生可能な資源を利用した発電方法のことです。

真庭市の約80%は森林で占められていて、木材の生産や販売が盛んな林業の地です。

林業を行う上で大量に出る間伐材を有効利用するために、2015年から「真庭バイオマス発電所」の運転が開始されました。

その結果、木質エネルギーの自給率が大幅にアップしました。

また、2050年を目標として二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティまにわ」を2020年に宣言し、脱炭素の街づくりの先駆け都市となっています。

無印良品・道の駅で地元の食材を活用

無印良品は千葉県鴨川市で、複合施設「里のMUJIみんなみの里」をプロデュースしオープンしました。

敷地内には地元の農家が丹精込めて生産した農産物の直売所があり、新鮮な野菜や果物を購入することができます。

道の駅内のインテリアには鴨川で昔用いられていた農具を使用するなどして、地域の特色を上手に活用しています。

さらに地元の食材を使用した、ナチュラルでおしゃれな雰囲気のカフェも人気を呼んでいます。

「里のMUJIみんなみの里」のコンセプトは、「地元の方々に毎日使っていただける場所」です。しかしそれ以外の地域外の方であっても利用でき、穏やかな風景の中、おいしい食材を購入したりカフェでくつろいだりすることができる道の駅となっています。

株式会社グリーンズ・地産地消の食材をメニューに導入

株式会社グリーンズは、世界40カ国、7,000件以上のホテルチェーンのグローバルブランドを擁する「チョイスホテルズ事業」と60以上のホテル運営の実績を持つ「グリーンホテルズ事業とのシナジーで、中間料金帯のグローバルブランドとして唯一全国展開に成功している企業です。

この株式会社グリーンズが運営するホテルの朝食メニューでは地域特性を生かした、つまり地産地消のメニューを提供しています。

株式会社グリーンズの企業目標は、「環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業」となっています。

それぞれの地域の特産品や地元食材を使用した郷土料理などをホテルの朝食のメニューに取り入れ、地産地消を実行しています。

そうすることで、地域経済とサステナブルな生産サイクルの発展に貢献しています。

山形県高畠町立高畠中学校・規格外農作物を給食に利用

山形県高畠町立高畠中学校では、本来であれば廃棄されてしまう規格外の農作物を学校給食の食材として利用しています。

規格外の農作物を、コーディネーターや栄養教諭が直接視察したり、定例の打ち合わせの時や生産者からの情報を直接収集したりしてその量を把握し、さらにこれらの規格外農作物を効率よく使うための調理方法を開発しました。

このような取り組みを行った結果、食品ロスの削減だけではなく、山形県高畠町立高畠中学校で学ぶ生徒の食品ロスへの意識高まりといった成果を上げることができました。

今後も、規格外の農作物を安定して供給していくために、集荷システムの保持や価格設定についての検討を行っていきます。

まとめ

ここまで、地産地消がSDGsとどのようなかかわりを持っているかという事と、地産地消を利用したSDGs目標達成に向けての取り組み事例について解説していきました。

ここまで読んでいただければ、地産地消を利用してSDGsの目標を達成するための芯にある考え方に、「もったいない」という事も含まれていることがお分かりいただけたと思います。

本来廃棄されてしまう間伐材や規格外の農作物の有効利用、そして生産物の輸送にかかる燃料コストの削減などを行うことで、二酸化炭素排出量の削減や食品ロスの減少、地域社会の活性化といったSDGsの目標達成のための仕組み作りを行うことができます。

このようにして地産地消といった生産物の消費システムが全国的に広がっていけば、それぞれの地域の活性化とともに、その地域の自然を守りながら人々の生活をより豊かなものにしていくことができるでしょう。

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