クリーンな太陽光発電が自然破壊を招く?環境とメガソーラーの関係

近年、太陽光を利用したクリーンエネルギーを供給するためメガソーラーシステムの設置が各地で広がりを見せています。
しかし、このメガソーラーによるさまざまな環境問題も起こっています。

クリーンエネルギーを生み出すシステムであるメガソーラーで環境破壊が起こってしまっては、メガソーラーによって発電された電力は、クリーンエネルギーと呼ぶことはできないのではないかという疑問も出てくるでしょう。

ここでは、メガソーラーと環境の関係性について解説していきます。

メガソーラーとは

メガソーラーとは、大規模な太陽光発電を行う設備のことを言います。
太陽光パネルを使って太陽光のエネルギーを収集し、それを電力に変換する設備で主に電力会社や一般のエネルギー消費者に電力を供給します。

メガソーラーが供給する電力は再生可能なクリーンエネルギーであり、二酸化炭素の排出量の削減に役立ちます。
一方でメガソーラーは広大な土地を使用することから、環境への影響も懸念されています。

ここでは、メガソーラーが環境に及ぼす影響とその改善策について解説していきます。

メガソーラーが抱える課題

メガソーラーが抱える課題には、環境破壊、生態系への影響、周辺住民への影響の3つがあります。
ここでは、その3つの影響について解説していきます。

環境破壊

メガソーラー発電所を建設するためには、広大な土地が必要になります。
この際に森林伐採が行われることもあり、森林の消失につながっています。

例を挙げると、2018年から2002年にかけて福島県で、2018年に京都でそれぞれ建設された大規模メガソーラー発電所は、合計で約60ヘクタールの森林が伐採されています。

この森林には1年間に約1300トンの量の二酸化炭素を吸収する能力があり、また地滑りを防いていたためそのリスクが高まったという指摘がなされています。

また、農地をメガソーラー発電所に利用することもあります。
これにより土地を有効利用し経済的な収益を上げるというメリットがありますが、一方で食料自給率への影響や地元農業への打撃という問題も起こっています。

農地をメガソーラー発電所へと転用した場合、一度失われてしまった農地をもとに戻すのは非常に困難であり、国や地域の食糧安全保障への影響も無視できません。

さらに自然環境とメガソーラー発電のあいだには、経済的利益と環境保全という観点からのトレードオフが存在します。
森林を伐採した土地や農地にメガソーラー発電所を建設することは、二酸化炭素排出量の削減やエネルギー供給の安定化といったメリットもありますが、森林の破壊や農地の減少、生物の多様性喪失といった環境コストも生じます。

これらのバランスをとることが、持続可能な社会を実現するための大きな課題となっています。

生態系への影響

クリーンな再生可能エネルギーとしてのメガソーラー発電はメリットが多く、気候変動に対する重要な戦略となっていますが、生態系への影響は避けることができません。

例えば、福井県にあるメガソーラー発電所の大規模な設置工事により、地域の生物の多様性が大きく変化しました。
特に大きな影響を与えた種類にはカエルや小型の哺乳類が含まれており、その生育環境が狭まる結果になりました。

メガソーラー発電所の建設は、必ずと言っていいほど周辺の森林や草地などの自然環境に影響を及ぼします。
これによって、特に繁殖地や飛来地として重要な地域を喪失する野生生物にとっては、深刻な影響が出ることもあります。

このような生態系への影響を最小限に抑えるために、計画の段階から地元の生態系との調和を図りながらメガソーラー発電所の設計を行うことが求められます。

周辺住民への影響

メガソーラー発電所の導入は、周辺住民にも大きな影響をもたらします。
雇用や地域経済の活性化というメリットとなる影響とともに、景観の変化や騒音、風景への影響などのデメリットとなる影響もあります。

ときとしてメガソーラー発電所の建設と運営はコミュニティへの負担になることもあり、必用な土地の提供や建設中の騒音・振動、施設の維持管理といった事柄が課題となっています。
メガソーラー発電所の建設工事は、自然環境や周辺住民への影響を最小限に抑えるための配慮が求められますが、必ずしも十分な配慮が行われているとは限りません。

このような理由から、周辺住民とメガソーラー発電所事業者の間で摩擦が起こるケースもあります。
現に2018年に神奈川県で計画されていたメガソーラー発電所は、周辺住民の反対により計画が頓挫するという例がありました。

これはメガソーラー事業者が、周辺住民の理解を得るための説明会を開催するなど、コミュケーションを重視する必要性が再確認された事例でした。

メガソーラー発電が抱える画題の解決法はある?

メガソーラーによる発電は、化石燃料を使用する方法より発電時の二酸化炭素の排出量を大きく抑えることができるというメリットがあります。

しかしその一方で、発電所の建設に伴う森林の伐採や生物多様性の損失といった問題も抱えています。

これらの短期的なコストと、長期的な温暖化防止への貢献の2つのバランスを考慮する必要があります。

再生可能エネルギーと環境破壊、この2つの問題は一見すると相反するもののように思われますが、双方の問題を最小限に抑える道を探す必要があります。

具体的な例として、既存の建物の屋根や閉鎖された産業廃棄物の埋め立て地を利用するなど、自然環境への悪影響を最小限に抑えられる場所へのメガソーラー発電所の設置が重要になります。

まとめ

メガソーラー発電の持続可能性への道は、大規模エネルギー事業と環境の間に生じる対立への解決策を必要とします。

メガソーラー発電所には二酸化炭素排出量の大幅な削減という明確なメリットがありますが、その設置と運営は環境へ影響を及ぼすというデメリットがあります。

このようなメリットとデメリットをしっかりと理解し、可能な限り環境コストを低く押さえながらエネルギー供給を維持する方法を模索する必要があります。
地球規模での視点と地域レベルでの視点を統合し、両者のバランスをとることも重要な課題であるといえるでしょう。

そのためには発電所の設置場所の選定から管理・運営に至るまで、環境に及ぼす影響を最小限にするための詳細なプランニングと実施が不可欠です。
そのために特に必要なのは、周辺住民との密なコミュニケーションと協力です。

周辺住民の意見と提案をメガソーラー発電所の建設と運営に反映させることで、必用な配慮と調整が明確になり、理解を得ることができます。

このよう環境と人、双方にメリットの多いメガソーラー発電を行うことが今後の重要な課題となるでしょう。
これができて初めて、メガソーラー発電による「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の目標が達成できるのです。

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