「子ども食堂」を聞いたことはありますか。一度は聞いたことある方も多いのではないでしょうか。
実は、ここ5年で子ども食堂の数は約18倍以上に増えているのです。
とはいうものの、「子ども食堂とは?」「なぜ必要なのか?」「企業はどんな支援をしているの?」と疑問に思いますよね。
この記事では、子ども食堂の意味やメリットを分かりやすく解説します。さらに支援に力を入れる企業事例を紹介しています。
最後まで読めば、子ども食堂がよくわかるだけではなく、新たな社会貢献のヒントが得られるかもしれません。
子ども食堂とは?
子ども食堂とは、子どもが1人でも通える食堂です。無料または低額で食事が提供されます。
- 孤食の解消
- 栄養不足の改善や食育
- 地域交流の場
など、さまざまな役割を担っています。つまり、子どもの貧困対策を解決しながら、子どもが安心できる交流の場を作ることを目指しているのです。
2012年に東京都大田区にある八百屋の取り組みから始まった子ども食堂は、誕生から8年以上が経ちました。今では全国3,700カ所以上に増え、子ども食堂の輪が日本国内に広がりつつあります。
厚生労働省や文部科学省、さらに農林水産省も子ども食堂の価値を認め、子ども食堂を通して、子どもやひとり親家庭を支援しようと呼びかけています。
どうして、子ども食堂が日本に必要なのか?
けれども、どうして子ども食堂が日本に必要なのでしょうか。子ども食堂は、特に貧困に苦しむ子どもを救うために必要です。しかし、「子どもの貧困」と言われても、「日本は豊かな国ではないの?」と疑問に思った方もいますよね。
実は、貧困は「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類に大きく分けられます。
絶対的貧困
絶対的貧困とは、一日約200円以下で生活しなければいけない生活のことを意味します。食事代だけではなく、家賃、光熱費、衣服代、医療費などすべてが含まれています。特に開発途上国に多いです。
相対的貧困
相対的貧困とは、その国や地域の基準でみると平均以下の暮らしをしている人々のことを指します。つまり、日本のような先進国でも起こり得ることです。
では、日本は相対的貧困に苦しむ人はどれくらいいると思いますか。実は、7人に1人。これだけ多くの方が苦しい生活を余儀なくされています。特に、ひとり親家庭や子どもの貧困は深刻な問題です。
貧困の子どもは、食事が十分に取れなかったり、栄養バランスが崩れたりする可能性が高くなります。さらに、社会とのつながりが少ない場合が多く、孤独を感じている子どもも少なくありません。
つまり、子ども食堂は「食事の提供」「心のケア」「安心できる居場所作り」が必要な子どもたちにとって、欠かせない場であるといえるのではないでしょうか。
SDGsの1つ目の目標に、「貧困をなくそう」というものがあります。このSDGsの目標では、「1日1.25ドル以下の収入で生活している人」を貧困の状態にある人と定義していますが、先進国である日本ではそのような収入で生活している人はまず存在[…]
厚生労働省や企業も応援!子ども食堂を支える「むすびえ」
では、子ども食堂はどのように運営されているのでしょうか。多くの子ども食堂は、自治体、支援団体、地域住民の協力のもと成り立っています。
今回は、子ども食堂の運営に大きく貢献している「むすびえ」という団体を紹介します。厚生労働省もこの活動を応援しています。
むずびえは、NPO法人・全国子ども食堂支援センター。子ども食堂の支援を通して、誰も取りこぼさない社会をつくることを目指しています。
個人だけではなく、企業や学校と連携しているのが特徴です。「子ども食堂を応援したい」と思った企業は、以下のような方法で参加できます。
①企業サポーター制度
10万円からのスポンサーシップが可能で、こども食堂を応援する様々なプログラムを一緒に作り上げることができます。
②商品・サービスを通じた支援
各企業の製品やサービスなどを活用した支援ができます。さらに、オフィスの自動販売機を当団体への寄付付き自動販売機に切り替えれば、社内全体で社会貢献できます。
③プロボノ・ボランティア
こども食堂でのボランティア活動にも参加できます。
さらに、各企業の製品、プロフェッショナルなスキル、施設の一時提供などを現物支給することも可能です。それぞれのビジネスで培った優れた商品力やノウハウをむすびえの活動に活かせます。各企業の強みを生かせるのが魅力です。
④マッチング寄付
社員個人の寄付に対して、所属する企業がマッチング(同額を上乗せ)して寄付するという制度です。社員の社会貢献活動を企業が応援できます。その結果、企業の社会貢献活動の促進が期待でき、社会貢献度を最大化するプログラムです。
食に関係する企業だけではなく、どんな業界の企業でも参加できます。企業として何か新しい社会貢献を始めたいと考えている場合は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
子ども食堂を支える企業事例4選
では、企業は具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。今回は、子ども食堂を支える企業事例を4つ紹介します。
①大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社は、大和ハウスグループの従業員が取り組む「エンドレス募金」を通して、むすびえに寄付をしました。
エンドレス募金とは、一定額を毎月の給与から募金するシステム。従業員が金額を登録すると、翌月以降も同じ金額を募金することが可能です。気軽に社会貢献に参加できるため、従業員の募金意識向上も期待できます。
とてもマネしやすい事例ではないでしょうか。
②ネスレ
ネスレ日本は兵庫県にある子ども食堂で食育の授業を開催しました。学校授業用に開発した食育プログラムを、食事の前後のアクティビティとして実施。栄養について学べる楽しいゲームもあるので、参加者からも好評だったそうです。
自社のノウハウを生かした事例ですよね。
③江崎グリコ
江崎グリコは、子ども食堂団体へ80セットのカレーZEPPINと炊き込み御膳を提供しました。各団体はオリジナルカレーを作り、子どもたちも喜んで食べたそうです。
自社の製品を現物支給するのは、オリジナリティあふれる価値ある支援といえるのではないでしょうか。
④マクドナルド
マクドナルドは、子ども食堂にミニオンズのドリンク&フードフォルダーを提供しました。721箇所に、33960個の食器を届けるという大規模な支援といえます。食器がかわいくなるだけで、同じ食事も楽しくなりそうですよね。
さらに、寄付は食べ物だけではないというヒントにもなっているのではないでしょうか。
最近、子どもが「えだまめ&スイートコーン」をけわしい顔で食べているマクドナルドのCMを見た方も多いのではないでしょうか。実は、これもマクドナルドが取り組むSDGsの一つ。とはいうのものの、「どうしてマクドナルドがSDGsに取り組[…]
私たちにできること
では、個人としてできることは、どんなことなのでしょうか。実は、子ども食堂を支援することは私たち一人ひとりも参加可能です。
例えば、以下の方法があります。
- お金を寄付する
- Tポイントで寄付する
- 読み終わった本やDVDを寄付する
- 不要になったジュエリーやブランド品を寄付する
- ボランティアとして参加する
このように、自分に合った形で支援できます。子ども食堂について知ったことで、「自分も応援したい」「何か力になりたい」と思った方もいるのではないでしょうか。子どもの笑顔につながる社会貢献にぜひトライしてみてください。
まとめ
最近よく聞くようになった子ども食堂の意味やメリット、企業事例について紹介しました。
子ども食堂は、すべての子どものお腹と心を満たす場であることが分かりました。食事を通して、社会との関わりが深まっていくことは、子どもの成長にとって非常に重要なことではないでしょうか。
今回紹介したむすびえ以外にも支援団体は多く存在しています。そして、支援する企業も年々増えています。企業の強みを生かした支援は、子どもたちの笑顔だけではなく、企業としての存在価値の向上にもつながるといえます。
子ども食堂の理念に賛同した方は、企業事例をヒントに自分ができる支援を検討してみてはいかがでしょうか。