物価高が止まらない今日、少しでも食費を抑えたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが未利用魚(みりようぎょ)。実は家計だけではなく、海の豊かさを救うことにもつながるのです。
とはいえ、「未利用魚とは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。この記事では未利用魚をわかりやすく解説します。さらに、SDGsに取り組む企業事例や手軽に購入できる通販やサブスクについてもまとめました。
最後まで読むことで、未来の食卓や地球環境が豊かになるかもしれません。
未利用魚(みりようぎょ)とは?
未利用魚とは、食べられるにもかかわらず、市場に出回らない魚のことです。水揚げされたけれど商品として価値がないとされる理由はいくつかあります。
- 規格外のサイズである
- 形や見た目が悪い
- 傷がついている
- 出荷するほど十分な水揚げ量がない
- 毒やトゲがあるため加工に時間とコストがかかる
- 知名度がない
このような理由から、低価格で販売されたり、廃棄されたりしているのです。
食糧農業機関(FAO)の「2020年 世界漁業・養殖業白書」によると、世界全体の漁獲量のうち35%が廃棄されています。世界の飢餓や水産物需要が増える中で、海の資源を適切に分配したり活用したりすることが求められているのです。
つまり、供給不足による物価高や持続可能な食糧生産の危機を助ける救世主ともいるでしょう。
最近では「まず消費者に未利用魚を知ってほしい」という動きから、メディアにも取り上げられるようになりました。
未利用魚のメリット
では、これまで廃棄されていた未利用魚を活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
①食品ロスが減る
未利用魚を活用することは食品ロスを減らすことにもつながります。世界の漁獲量のうち35%が廃棄されているデータから考えると、日本で廃棄される量は約100万トン。お店や家庭に届く前に大量の魚が捨てられているのです。
食品ロス削減はSDGsの目標「12.つくる責任つかう責任」の中で示されています。生産者は未利用魚を活用する努力が、消費者側は未利用魚を知ったり買ったりする努力が必要なのではないでしょうか。
②資源を最大限に活用できる
これまで廃棄されてきた未利用魚を商品化することで、海の資源を最大限に活用できます。年々減少する日本の漁獲量を救えるかもしれないのです。
農林水産省の報告によると、日本の漁獲量は1990年時点で約957万トンでした。しかし、11年後の2021年には約319万まで落ち込んだのです。
確保できる海の資源が減少しているからこそ、未利用魚が漁獲量アップを担う食材として期待されています。
③漁師の所得がアップする
価値がないとされている未利用魚を商品として販売することは、漁師の収入をあげることにもつながります。
燃料代が高騰する中、収入アップは非常に有効な経済的支援になるといえるでしょう。これはSDGsの目標「8.働きがいも経済成長も」につながっています。
④安くて美味しい魚が食べられる
未利用魚は、低利用魚ともいわれています。価値がないと判断された結果、低価格で取引されているのです。
未利用魚は市場での価値は低いですが、味や品質には問題ありません。そのため、消費者は美味しい魚を安く購入できる可能性をもっているのです。
物価高が止まらないいま、未利用魚や低利用魚が家計の救世主になるのではないでしょうか。
未利用魚を使った企業事例4選
未利用魚は、認知度が低いのがデメリットです。しかし、価値が未開拓である分、ビジネスチャンスを秘めているともいえるでしょう。
とはいえ、どのような事例があるのか疑問に思う方もいるかもしれません。以下に4つの企業の取組みをまとめました。
①くら寿司
くら寿司は、SDGsの取組みとして2022年9月から国産の低利用魚の販売を開始しました。対象となった魚は、西日本エリアでよく獲れる「ニザダイ」。他の水産物の産卵や育成を担う海藻を大量に食べるため、駆除の対象になっています。また、食べたときに身から独特なにおいがあり、商品としても見なされていませんでした。
この厄介者とされてきたニザダイを廃棄予定のキャベツで養殖することで、独特なにおいを消すことに成功。くさみのない良質な脂がのったニザダイを開発しました。実際に食べた方からも好評だったそうです。
参照:https://www.kurasushi.co.jp/author/003941.html
②今朝の浜
今朝の浜では、未利用魚を有効に活用した水煮缶シリーズを販売しています。漁師や仲買人の悩みがきっかけで開発が始まりました。
知名度がないという理由だけで、干物や鮮魚として流通できない新鮮な魚たち。これらをどうにか販売できないかと考えた末、水煮缶詰を思いついたそうです。そのおかげで、これまで産地でしか味わえなかったホウボウやカガミダイなどの未利用魚を家庭で手軽に食べられるようになりました。
消費者にとっても、めんどうな調理不要で魚を食べられるメリットがあるといえるでしょう。
参照:https://ec-sealife.net/products/detail/44
③永幸丸(島根)
島根県にある永幸丸は定置網と岩牡蠣の養殖の事業を通して、SDGsの目標「14.海の豊かさを守ろう」に貢献しています。
目標達成のために、未利用魚のよさや食べ方をInstagramで発信。さらに地元で販売もしています。
未利用魚の問題に取り組むようになったきっかけは、毎日でる未利用魚が人間の都合で廃棄される現状を解決したいという思いが生まれたからだそうです。
魚のプロである漁師の思いやおすすめレシピを発信することは、未利用魚の問題を解決する大きな一歩といえるでしょう。
参照1:https://www.instagram.com/p/CfWB4idLDlj/?hl=ja
参照2:https://ec-sealife.net/contents/SDGs
④小倉商店(岡山)
小倉商店は大正8年に岡山魚市場で水産卸業者として創業。「おいしさと信頼」「魚食文化の創造」「瀬戸内の地魚の積極的活用」をモットーにしながら、未利用魚の商品化に努めています。
「より多くの人に瀬戸内の美味しい魚を届け、もったいないを解消したい」
「未来の子供たちに魚食文化や彩のある楽しい食卓を未来へ繋ぎたい」
という思いから未利用魚の真鯛を使った加工品開発に挑戦。その結果、ほぐしやお茶づけセットの商品化に成功しました。
参照:https://readyfor.jp/projects/osakana
おすすめの通販やサブスク3選
未利用魚の存在を知ったことで、実際に食べてみたいと思った方もいるのではないでしょうか。最後に自宅から手軽に購入できる通販やサブスクを紹介します。
①ポケマル
ポケマルでは、全国の未利用魚を取り扱っています。
「未利用魚」と検索するだけで、いま買える魚がピックアップされました。量や価格、販売の形のさまざまなので、自分にあった商品を見つけられるのではないでしょうか。
②食べチョク
食べチョクでは、未利用魚の産地直送を実施しています。販売を通して、未利用魚の解説やよさも発信しているのです。
メディアで紹介された商品も多数。自宅にいながら、新鮮で美味しい魚がお手頃価格で購入できるのはうれしいですよね。
③フィシェル
フィシェルは、未利用魚のミールパックをサブスクとして提供しています。魚の調理が苦手な方でも5分で美味しく食べられます。
使用している魚はすべて国産。着色料や保存料は無添加で、手作業で製造しているため安心安全です。
美味しい食事で社会貢献できるのは、非常に魅力的といえるでしょう。
おわりに
今回は新鮮なのにもかかわらず、人間の都合で廃棄されている未利用魚について紹介しました。漁師の方が命がけで捕獲した魚を販売せず捨てるのは非常にもったいないですよね。
これまで価値がないとされていた未利用魚を市場に出すことは、たくさんのメリットがあることも分かりました。
- 食品ロスの削減
- 漁師の収入アップ
- 消費者は美味しい魚を手頃な価格で食べられる
- 持続可能な食料生産につながる
つまり、未利用魚の問題に取り組むことはSDGsの目標「14.海の豊かさを守ろう」に貢献できるといえるでしょう。
日本ではまだ知られていない未利用魚。まずはこの問題を知ることが解決の第一歩となります。少しでも興味をもった方は今回紹介したサイトを参考に購入してみてはいかがでしょうか。