SDGsの目標2「飢餓をゼロに」を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
しかし日本にいると馴染みがない「飢餓」。
「世界の飢餓の現状ってどうなの?」「私たちにできることはあるの?」と疑問に思いますよね。
今回は、 SDGsの目標2「飢餓をゼロに」を徹底解説するとともに、飢餓をなくすために私たちにできる5ステップをご紹介します。
世界では飢餓の現状はどうなっている?
世界では、全人口の食料を十分に生産しているにも関わらず、約8億人が飢餓状態。つまり、大量に食料が捨てられている一方で、10人に1人が安全で栄養のある食事を毎日することができないのが現状です。さらに、3人に1人が何らかの栄養不足に陥っていると言われています。
人口増加が進む今だからこそ、一刻も早くあらゆる飢餓に終止符を打つ必要があります。
目標2「飢餓をゼロに」とは?
では、「飢餓をゼロに」とは、どんな目標なのでしょうか?「飢餓をゼロに」を達成するために掲げられた目標と、それに関するターゲットついてご紹介します。
目標2「飢餓をゼロに」はどんな目標なのか?
すべての人が栄養のある食事を毎日十分に食べられることを目指しています。また持続可能な食料の生産ができるように環境を守りながら農業を進めることも含まれます。
目標2のターゲットとは?
SDGsの目標にはそれぞれにターゲットが存在します。2-1〜2-5は「飢餓をゼロに」をより具体化した目標、2-aから2-cは実現のために方法が示されています。
2.12030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
2.2
5歳未満の子供の発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
2.3
2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。
2.4
2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
2.5
2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。
2.a
開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。
2.b
ドーハ開発ラウンドのマンデートに従い、全ての農産物輸出補助金及び同等の効果を持つ全ての輸出措置の同時撤廃などを通じて、世界の市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。
2.c
食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。
つまり、飢餓をゼロにするために、守るべきものが5つあるといえます。
- 安全で栄養のある食事ができない人々を守る
- 妊婦や高齢者など今必要な栄養をとることができない人々を守る
- 小規模な食料生産者の働く権利や環境、生産量や所得を守る
- これからも食料生産ができるように豊かな自然環境を守る
- 生物の多様性を守る
飢餓に終止符を打つためには、食料を支給するだけではなく、食料を生産し続ける社会の仕組みを整えていく必要があります。
飢餓をなくす対策とは?
では、飢餓をなくすために、どこでどんな対策をしているのでしょうか?今回は3つの機関をご紹介します。
国連世界食糧計画(WFP)
国連世界食糧計画(WFP)は、世界の飢餓をなくすために必要な支援を中心となって行っています。
自然災害や紛争時の緊急支援、学校給食支援や母子栄養支援に取り組んでいます。
国連WFPは2020年にノーベル平和賞を受賞。2020年には、84カ国で、1億1550万人を支援しました。
ハンガー・フリー・ワールド(HFW)
ハンガー・フリー・ワールドとは、飢餓のない世界を目指して活動する国際協力NGOです。
飢餓に直面する人々を救うために、地域開発、法律などのしくみを変える活動、啓発運動、青少年育成に力を入れています。
全ての人に「食料への権利」があることを呼びかけながら、全ての人が「食料の権利」が平等に与えられることを目指して活動をしています。
フードバンク
フードバンクとは、直訳すると「食料銀行」という意味。まだ食べられるが、何らかの理由で処分されてしまう食品を、食べ物に困っている施設や人に届ける活動をしています。
フードバンクが寄付する側と受け取る側の架け橋となっています。
ちなみに、個人や団体が食料を寄付することは「フードドライブ」と言います。
飢餓をなくすために私たちにできること5ステップ
私たちにも、飢餓をなくするためにできることはあるのでしょうか。
今回は、私たちにできることを5ステップでまとめました。いつもの買い物や食事の中で簡単にできることばかりなので、参考にしてみてください。
ステップ1:環境に優しい食材を買う
買い物の時は、なるべく環境に優しい食材を買うことを意識しましょう。
なぜなら、環境を配慮した食材を買うことは、持続可能な食料生産に繋がるからです。
例えば、有機野菜、または旬や地産地消の食材を買うことです。このように表示や生産地をよく見て、環境に優しい食材を買うことなら簡単にできそうですよね。
ステップ2:認証マークが付いている物を買う
認証マークが付いてる物を買うことも大切です。なぜなら買うだけで、飢餓をなくす社会貢献ができるからです。
代表的な認証マークといえば、以下の3つです。
「有機JASマーク」
最低限の農薬しか使っていないことを表します。
「レッドカップキャンペーン」
世界の子供の給食支援に繋がるマークです。
「フェアトレード認証マーク」
コーヒーやバナナ農家など小規模農家の方々を守るマーク。公正な取引、つまりフェアトレードをしていること事を証明しています。
私たちはこれらが付いている商品を買うだけで、飢餓をなくす活動を支援することができます。
ステップ3:食品ロス削減
食品ロス削減に協力することも、飢餓対策に繋がります。
現在は、食料不足が問題になっている一方で、大量の食料が捨てられていることも問題になっています。全ての人に必要な食料を届けるためにも、食品ロスも解決すべき問題です。
だからこそ、私たちは買いすぎや食べ残しに注意して、食品ロス削減に協力する必要があります。
ステップ4:代替肉を活用する
料理の中に代替肉を活用することも、社会貢献といえます。
なぜなら、植物由来の代替肉を食べることは環境を守ることに繋がるからです。家畜肉よりも代替肉の生産の方が貴重な資源を節約でき、温室効果ガスの排出も削減されます。
持続可能な食料生産にとって、環境への負荷が少ない代替肉はとても大きな効果が期待できます。
まだ食べたことがない方も、大豆ミートなどはどんどん食べやすくなっています。最近ではフレッシュネスバーガーやドトールなどファストフード店でも手軽に代替肉を食べることができます。ヘルシーでもあるので、ぜひ試しに食べてみてはいかがでしょうか。
ステップ5:フードドライブに協力する
フードドライブに協力することも私たちにできることです。
一見大変そうに思えますが、家にある食べ切れない食料をフードドライブへ持っていくだけなので簡単に協力することができます。
最近は自治体だけではなく、企業も積極的に取り組んでいます。無印良品やイトーヨーカドー、生協ではフードドライブのコーナーが設置している店舗があります。
買い物のおまけに、簡単に社会貢献ができるのは有り難いですよね。
まとめ
今回は、 SDGsの目標2「飢餓をゼロに」について解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
日本では当たり前のように食べている食事。しかし世界では、10人に1人が当たり前に食事をすることができない状況であることが分かりました。
日本も多くの国から食料を輸入しているからこそ、世界の食料問題を解決する責任は一人一人にありますよね。
2030年までに飢餓をなくすためには、1人でも多くの人が飢餓の現状や取り組みを知り、自分ができることから行動していくことが不可欠です。
無理をする必要はありませんが、食べ残しをなくすなど自分ができることから続けてみてはいかがでしょうか。
それでは、最後まで読んでくださりありがとうございました。