世界で年々注目度が高まるのが「EV」です。EVとは「Electric Vehicle」の略称で、和訳すると「電気自動車」を意味します。

日本でも補助金やエコカー減税の対象となり、ガソリン車から買い換える方が増えています。

とはいえ、日本や世界でEVがどれくらい普及しているでしょうか。今回は、アメリカや中国などの諸外国の普及率を解説します。また世界における自動車業界の取り組みや実績もまとめました。

世界でみる!EVの普及率

2021年における日本のEVの新車販売台数は約2万1000台を超えました。はじめて2万台以上になった年でした。

けれども、新車販売台数で考えると、全体のわずか「0.08%」。海外の国と比べても普及率が低い結果となりました。

では、世界ではどれくらい普及しているのでしょうか。2021年の販売台数で比べてみました。

アメリカの新車の販売台数におけるEVの割合は「約2.9%」。その中でテスラの車が7割ちかくを占めています。アメリカ国内で普及率が極めて高いのがカリフォルニア州で、「9.5%」といわれています。

そんなカリフォルニア州に並ぶ普及率がエコ先進国のEUです。その数は「9.1%」。さらに、ノルウェーは「約64.5%」の普及率を誇っています。

世界人口2位の中国はどれくらいなのでしょうか。中国自動車工業協会によると、販売割合は「約11%」。販売台数は約291万台でした。

世界の販売台数は年々増加傾向です。国際エネルギー機関(IEA)が発表した「世界EV見通し」によると、2023年における世界の販売台数は最高記録を更新し、自動車市場全体に占める割合は5分の1近くまで拡大すると期待されています。

EVの5大メリット

どうして、世界でEVが注目されているのでしょうか。それは環境的かつ経済的に大きなメリットがあるからです。

①気候変動対策になる

EVはガソリン車に比べると環境負荷が軽減できます。電気や水素を動力として走る自動車は走行中における二酸化炭素の排出はありません。ただ充電にはエネルギー消費が生じるという課題が残っています。

SDGs目標「13.気候変動に具体的な対策を」により貢献するためには、充電や製造に使用するエネルギーを再生可能エネルギーで発電することが求められるでしょう。

②自然災害時に役立つ

何らかの理由で停電した場合、EVを非常電源として使用可能です。1人暮らしだと1週間くらい生活できるという説もあります。

ただEVを家庭内で活用するには専用のコンセントが必要になります。とはいえ、防災アイテムとしての価値があるのは間違いありません。

これはSDGs目標「11.住み続けられるまちづくりを」に貢献しているといえるでしょう。

③走行中の振動や騒音が少ない

EVは振動や騒音が少ないため、快適なドライブを楽しめます。エンジンではなく、バッテリーやモーターで稼働するからです。

筆者自身も0歳の子どもと一緒に電気自動車に乗りました。非常に静かで振動も少ないので、子どもが寝ても安心して過ごせました。

④維持費が節約できる

電気自動車は一般的な自動車よりガソリン代がかからないため、維持費を削減できます。ただ充電できる場所がガソリンスタンドほど充実していないため、計画的なメンテナンスが必要です。

⑤補助金やエコカー減税が適用される

EVは気候変動対策に貢献できるため、購入時に優遇措置を受けられます。ガソリン車と比べて相場が高くなりますが、補助金があるため定価より安く購入できるのです。

たとえば、テスラ社の「Model 3」「Model Y」を購入した場合で考えてみましょう。これらは「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」が適用されるため、補助金交付額は65万円となります。

世界の自動車企業の取り組み

では、世界の自動車企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。

①テスラ(アメリカ)

アメリカにおける電気自動車の7割はテスラの自動車であるといわれています。世界トップクラスの電気自動車を手掛ける企業ともいえるでしょう。

2021年には、全世界のテスラ車両、エネルギーストレージと太陽光発電システムによって
840万トンの二酸化炭素排出を削減することに成功しました。

さらに太陽光発電を活用した家づくりなど、再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組んでいます。

参照:テスラ
参照:PDF

②メルセデス・ベンツ(ドイツ)

高級車として知られるメルセデス・ベンツはEV専用ブランド「EQ」を展開しています。

その中の「EQS」と「EQE」のケーブルダクトの原料に、プラスチックフリーの「UBQ」を採用しました。UBQとは、家庭ゴミを樹脂にリサイクルしたものです。生ゴミや段ボール、使用済みおむつなども含まれています。

電気自動車の原料調達や生産においても持続可能性を取り入れているといえるでしょう。

参照:メルセデス・ベンツ

③フォルクスワーゲン(ドイツ)

フォルクスワーゲンは「Way to ZERO」を掲げ、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指しています。

2022年11月に、電気自動車SUV「ID.4」を日本で発売。100%電気自動車を新開発しました。大容量バッテリーを搭載しており、航続距離は618kmであるといわれています。

参照:フォルクスワーゲン

④ポルシェ(ドイツ)

スポーツカーブランドであるポルシェは、2015年にブランド初のEV「ミッションE」を、2019年に量産EV「タイカン」を発表しました。

フル電動スポーツカー「タイカン」は条件が揃えば100km分を約10分で充電できるともいわれています。充電を効率化することで、最適なドライブを実現しました。

参照:ポルシェ

⑤BMW(ドイツ)

BMWの電気自動車もゼロ・ミッションに貢献しています。1日30kmほどの使用であれば、充電は月に1回だけ。充電の手間を最小限にしているため、日常使いしやすいです。

さらにロングドライブも可能です。「BMW iX」の航続距離は600km超であるため、長距離の移動にも適しています。

参照:BMW 参照サイト1
参照:BMW 参照サイト2

⑥BYD(中国)

BYDは電気自動車のグローバルリーダー。自家用車だけではなく、EVのバスやフォークリフトも展開しています。フォークリフトは、世界30ヵ国の事業者に選ばれているそうです。

再生可能エネルギーの生産や貯蔵、利用にも努めています。太陽光発電と蓄電システムを掛け合わせた環境エネルギー事業も手がけているのも特徴です。

中国のメーカーに関わらず、国内の利用者向けサポートも充実しています。電気自動車をはじめて利用する人でも安心です。

参照:BYDジャパン

⑦HYUNDAI(韓国)

ヒョンデの電気自動車は、独創的なデザインが特徴です。デザインアイデンティティと高品質を実現しました。

また持続可能な素材にもこだわっています。「IONIQ 5」のハンドルやシートなどのインテリアには植物性由来の素材やリサイクル素材を活用しています。

持続可能な原料調達に力を入れているといえるでしょう。

参照:HYUNDAI

おわりに

今回は世界の電気自動車について焦点を当てました。

日本の電気自動車は増加傾向にありますが、世界と比べると非常に少ないのが現状です。特にヨーロッパ諸国は普及率が高く、ノルウェーのように電気自動車の方が多数派の国もあります。

世界中での普及を支えるのが大手自動車ブランド。どの企業も独自の強みを生かして高品質なEVを開発しています。安全性だけではなく、環境負荷の少なさもより重視されるのではないでしょうか。自動車の多様化に今後も期待したいです。

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