電気自動車普及に向けた世界各国の取り組み

SDGsの7番目の目標である「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を実現するために欠かすことができないと考えられているのが、ガソリン車から電気自動車への移行です。
そのために世界各国でさまざまな取り組みが行われており、日本においても政府主導での取り組みが行われています。

ここでは、電気自動車普及への各国の取り組みや、普及させるにあたっての今後の課題について解説していきます。

電気自動車とは

電気自動車とはその名の通り従来のガソリン車とは異なり、電気によって動く車のことを言います。ガソリン車がガソリンをエンジン内で燃焼させ車を動かすのに対して、電気自動車は電気によりモーターを動かして車を駆動させます。
電気自動車を駆動させる際に必要な電力は、外部の電源から電気自動車に搭載されているバッテリーに充電するケースが一般的です。

電気自動車は、英語でElectric Vehicleというため、これを略してEVとも呼ばれます。
電気自動車を駆動させるためには外部の電源から充電した電力のみを利用するため、駆動する際にガソリン車のように二酸化炭素などの地球温暖化ガスを発生させないことから、現在主流となっているガソリン車を電気自動車に置き換えることで、地球温暖化防止に役立ちます。

世界各国における電気自動車普及へ動向

電気自動車の普及に向けて、世界各国では国が主導してさまざまな取り組みを行っています。
ここでは、アメリカ・ヨーロッパ(EU)・中国の取り組みについて解説していきます。

アメリカ

2021年1月20日に発足したバイデン政権の政策の主軸のひとつに気候変動対策があり、2050年のカーボンニュートラルに向けた地球温暖化ガスの削減を目指して電気自動車の普及に向けた積極的な取り組みを始めました。
もともとアメリカでの電気自動車のシェアは年々増加傾向にありますが、電気自動車独自のデメリットがあるためさらなるシェアの増加を目指すために、現在電気自動車を購入する際の不安材料のひとつとなっている充電ステーションの数の少なさを改善する施策がとられています。

電気自動車開発事業自体は、テスラやシボレー、日産といった自動車メーカーが行っており、現在の新車販売台数における電気自動車の割合は2020年の時点で約1.8%となっています。
しかし、充電インフラの整備という問題に関しては国や州の介入がないとなかなか進まないという現状があります。
ニューヨークなどの巨大都市においては、充電インフラの整備はなかなかに難しい問題です。

そこでアメリカ政府が75億ドルの支出をアメリカ全体の電気自動車充電ステーションの設置に対して行うことを決定したため、電気協力組合と民間の電力会社、TVA(テネシー川流域開発公社)がNational Electric Highway Coalitionという米国の幹線道路のネットワークを安心して電気自動車で運転できるよう、電気自動車の急速充電を提供することを目的として立ち上げられました。
またカリフォルニア州では、2035年までに州の中で販売されるすべての乗用車と小型車を、電気自動車を含むゼロエミッション車とすることを義務付けました。
このように、アメリカでは国だけでなく州も電気自動車の普及に向けた取り組みを行っています。

EU(ヨーロッパ連合)

EUは高い二酸化炭素削減目標を掲げているため、ガソリン車から電気自動車へのシフトも世界の水準でみると非常に高いスピードで進んでいます。
2020年のEUとイギリスの新車販売数のうち、電気自動車の割合は約5.6%を占めていますが、このEUと欧州経済領域(EEA)のメンバーシップを通じて関係が深いノルウェーで電気自動車が新車販売台数に占める割合は非常に高く、約54%となっています。

ノルウェーで電気自動車の新車販売台数が非常に多くなっている理由のひとつには、国の補助金制度があります。
EU全体では企業平均燃費規制が強化されたことにより電気自動車の普及が促進されたという背景もあります。

また、2035年には新車の平均排ガス量を100%削減するという目標を掲げており、したがってこの年以降に新車登録される車はすべて電気自動車を含むゼロエミッション車となります。
さらにEUに加盟している国々に対しては、主要高速道路上に60㎞ごとに充電ステーションを設置することを要求しています。

中国

中国におけるガソリン車から電気自動車へのシフトは、まだ始まったばかりであると言えます。
しかし、2020年の中国における新車販売台数のうち電気自動車を含めたゼロエミッション車の割合は約5%程度となっており、他の電気自動車先進国と比較するとまだ高いと言える状況ではありません。

中国政府は2017年から「NEVクレジット」という制度を開始しており、この制度の内容は自動車メーカーがハイブリット車やプラグインハイブリッド車の生産台数に応じて発行されるクレジットの範囲内で通常のガソリン車を生産できるというものになっています。
2020年の時点で5%の電気自動車や低燃費車が生産されていると前述しましたが、実際にはこの数値を達成することができずに政府に課徴金を支払っている企業も少なくありません。
中国の新車販売の市場規模は2500万台といわれていますが、ここから見る限りガソリン車から電気自動車へのシフトへの道のりはまだ遠いと言えるでしょう。

しかし、中国自動車ロードマップ学会は習近平政権のもと2035年の時点で50%を電気自動車、残りの50%をハイブリッド車にするという目標を立てており、今後補助金等の体制も整っていくことが予想されることから、先行きには明るい材料も多いと考えられます。

日本における電気自動車の普及への取り組み

現在の日本の電気自動車の普及率は、2020年の新車販売台数に占める電気自動車の割合は、約0.6%となっています。
そのため、ここまで紹介してきた国々と比較するとその普及率はまだ低いと言わざるを得ません。
2021年以降の電気自動車の普及に関する展望としては、まだこれからというところです。

しかし、日本では2035年までに新車販売される車の100%を電動車にするという方針が定められています。
この「電動車」にはハイブリッド車や燃料電池自動車も含まれるため、すべての新車で販売される自動車を電気自動車にするわけではないという点に注意が必要ですが、この方針により電気自動車の新車販売台数が増えることは確実であると言えます。

日本における充電インフラの充実も電気自動車を普及させるための重要な課題であるため、充電ステーションを2030年までに2020年の4倍となる3万基の設置が行われる予定になっています。
また、充電インフラの整備以外にも税制優遇や研究分野への支援などを行うことで、電気自動車の普及を目指しています。

電気自動車普及への課題

今後電気自動車を普及させ地球温暖化ガスを削減するためには、4つの課題があります。
ここでは、その課題について解説していきます。

高額な車両本体価格

電気自動車は他の自動車と比較して、車両本体価格が高い傾向があります。
その理由は、搭載している電池のコストが高いということです。
しかし電池生産の効率化や電池内部の構造または製造工程の改良などにより、電池にかかるコストを低く抑えることができる可能性が十分にあるため、電気自動車の車両本体価格は徐々に下がっていくものと考えられています。

短い航続距離

電気自動車の航続距離は、他のガソリン車などと比較して短くなっています。
ガソリン車の場合には一回満タンまで給油することで平均して600㎞以上走ることができると言われていますが、電気自動車の場合にはフル充電を行っても200㎞から600㎞しか走行することができません。
しかも電気自動車に使用されているバッテリーも、スマートフォンなどのバッテリーと同様に使用し続けると劣化していくので、この航続可能距離は徐々に短くなっていくと考えておく必要があります。

充電スタンドの不足

日本で電気自動車が普及しにくい原因のひとつとして、充電スタンドの数が少ないというものがあります。
充電スタンドは、劣化しやすく維持費も高額になるという点も、充電インフラの整備に民間の企業が消極的な理由であると言えます。
しかし、充電ステーションの数を増やし充電インフラを整えるという政策が日本でとられているため、今後充電ステーションの数は増えてくるものと考えられます。

使用する電力の発電の際に二酸化炭素を排出している?

充電ステーションで電気自動車に充電を行う場合、充電する電気が地球温暖化ガスを大量に発生させる方法で発電されたものである場合、いくら電気自動車を普及させても地球温暖化ガス削減効果はあまり期待することができません。
そのため、電気自動車に使用する電気も再生可能エネルギーを利用して発電された電気である必要があります。
確実に地球温暖化ガスを削減するためには、まず何よりも発電方法を地球温暖化ガスを発生させない方法にシフトしていく必要があります。

まとめ

ここまで、世界の国々や日本における電気自動車普及のための取り組みと、電気自動車普及のために今後克服しなければならない課題について解説してきました。

電気自動車の普及は地球温暖化ガス削減とSDGsの7番目の目標である「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を実現するために欠かすことができない手段のひとつです。
今後はさまざまな課題をクリアしながら、電気自動車の普及を進めていく必要があります。

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