SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」で地方創生?日本の具体的な取組みをご紹介!

最近、よく聞く「地方創生」。実はこれもSDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」に大きな繋がりがあります。

とは言うものの、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」はどんな目標なのか?具体的な地方創生の取組みは何か?と疑問に思う方もいらっしゃいますよね。

今回は SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」を解説するとともに、日本の具体的な取り組みを自治体と企業それぞれ分けてご紹介します

どうして住み続けられるまちづくり必要なのか?

どうして住み続けられるまちづくりが必要なのでしょうか?なぜなら、これからの未来にとって、持続可能なまちづくりが欠かせないからです。だれもが安心安全に生活できる災害に強いまちを築くことが求められています。

実はここ40年で大規模な自然災害は増加傾向。それに伴い、移住を余儀なくされる人々も増えています。干ばつ、大型台風やハリケーン、豪雨や洪水などの災害の増加は、人の命や食糧危機にも繋がります。

さらに、先進国では地方の過疎化が問題になっています。

世界の都市人口は、2050年までに65億人を達し、世界人口の3分の2まで占めると言われています。何も対策をしないまま都市部の人口増加が加速すると、問題が次々と発生すると考えられます。

現状として、地方の人口減少や高齢化が進み、財政悪化の影響で、まちとして機能しなくなる自治体が増えています。

一方で都市も影響を受けます。例えば、住宅費が高騰すれば家を失う人が増えスラム街が発生。都市部で排出されるCO2やゴミの増加により地球環境が悪化することも予測されます。

このように、災害からまちを守ることはもちろんですが、場所に関係なく誰もが住み続けらるまちづくりを進めることで、今の社会問題を解決することができます。

だから、「住み続けられるまちづくり」が必要だといえます。

目標11「住み続けられるまちづくりを」とは?

では、目標11「住み続けられるまちづくりを」とは、どのような目標なのでしょうか。

目標の内容と、それを具体化したターゲットについてもご紹介します。

目標11「住み続けられるまちづくりを」

誰にとっても便利で暮らしやすいまちづくりを目指しています。環境保護や経済成長、インフラ整備を持続されながら、災害に強いまちを築いていくことが求められます。

ターゲット

11-1
2030年までに、すべての人が、住むのに十分で安全な家に、安い値段で住むことができ、基本的なサービスが使えるようにし、都市の貧しい人びとが住む地域(スラム)の状況をよくする。

11-2
2030年までに、女性や子ども、障害のある人、お年寄りなど、弱い立場にある人びとが必要としていることを特によく考え、公共の交通手段を広げるなどして、すべての人が、安い値段で、安全に、持続可能な交通手段を使えるようにする。

11-3
2030年までに、だれも取り残さない持続可能なまちづくりをすすめる。すべての国で、だれもが参加できる形で持続可能なまちづくりを計画し実行できるような能力を高める。

11-4
世界の文化遺産や自然遺産を保護し、保っていくための努力を強化する。

11-5
2030年までに、貧しい人びとや、特に弱い立場にある人びとを守ることを特に考えて、水害などの災害によって命を失う人や被害を受ける人の数を大きく減らす。世界の国内総生産(GDP)に対して災害が直接もたらす経済的な損害を大きく減らす。

11-6
2030年までに、大気の質やごみの処理などに特に注意をはらうなどして、都市に住む人(一人当たり)が環境に与える影響を減らす。

11-7
2030年までに、特に女性や子ども、お年寄りや障がいのある人などをふくめて、だれもが、安全で使いやすい緑地や公共の場所を使えるようにする。

11-a
国や地域の開発の計画を強化して、都市部とそのまわりの地域と農村部とが、経済的、社会的、環境的にうまくつながりあうことを支援する。

11-b
2020年までに、だれも取り残さず、資源を効率的に使い、気候変動への対策や災害への備えをすすめる総合的な政策や計画をつくり、実施する都市やまちの数を大きく増やす。「仙台防災枠組2015-2030」にしたがって、あらゆるレベルで災害のリスクの管理について定め、実施する。

11-c
お金や技術の支援などによって、もっとも開発の遅れている国ぐにで、その国にある資材を使って、持続可能で災害にも強い建物をつくることを支援する。

引用|日本ユニセフ協会|11.住み続けられるまちづくりを|

持続可能なまちづくりで重要!4大ポイント!

それでは、目標11で重要なポイントを4つを確認しておきましょう。

  1. 住居や交通手段など生活基盤を整える
  2. 防災の強化と災害の復興も早くできるようにする
  3. CO2やゴミの削減に協力するなど環境保護に努める
  4. 誰もが安全に暮らせるよう緑地や公共施設の充実化を図る

日本での具体的な取り組み

現在、日本政府は都市と地方のどちらも守るために、持続可能なまちづくりを進めています。その中の一つが「地方創生」です。ご存知の方も多いのではないでしょうか。

問題解決の鍵「地方創生」とは?

地方創生とは、人口急減・超高齢化という大きな課題に対し、政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かし、自分たちの意志で持続的な社会を創生することを目指すことです。

具体的には「稼ぐ地域をつくる」「地方への新しいひとの流れをつくる」「結婚・出産・子育てのサポート充実を図る」など、地方でも安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくることに力を入れています。

SDGs未来都市

簡単に説明すると、SDGs未来都市とは、SDGsを軸に構築された自治体のこと。環境保護だけでなく、地方創生の解決を目指すことも含まれています。

2021年には、優れた取り組みを提案する31都市が「SDGs未来都市」として選定されました。

多くの自治体がそれぞれの強みを生かして、「経済」「社会」「環境」の視点から持続可能なまちづくりを目指しています。

自治体の取り組み

では、自治体は具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。

リノベーションまちづくり

リノベーションまちづくりとは、その地域にストックされた資産を最大限に活用しながら、持続可能なまちを再構築することです。地域の資産はお金だけではなく、人、モノや土地、歴史的な文化や芸術なども含まれます。

つまり、一から何かを作るのでなく、元々あるものを活用しながらなるべく低コストでスピーディーにまち全体を育てていくことが大切です。

【事例】浜松市尾張町「みかわや | コトバコ」

浜松市では、2014年から空き物件や使われていない公共空間を新たな事業に活用する「リノベーションまちづくり」に取り組んでいます。

ここは、シャッターばかりの商店街が、「みかわや | コトバコ」という複合施設にリノベーションされました。空き家を食堂やカフェ、野菜市、スポーツマネジメント事務所や家づくり相談所と異色の組み合わせとなる様々な事業者が入居しているそうです。

価値がないと思われていたものが、まちを再生したいという人々の思いと努力によって、働く場や人口の増加に繋がり、新たな地域の交流の場として生まれ変わりました。

参照|https://hama-rino.com/feature6

ウォーカブルなまちづくり

ウォーカブルなまちづくりとは、心地がよく歩きたくなるまちを構築することです。

つまり、自動車を使わなくても生活できたり、安心して歩くことを楽しめたりするまちづくりを目指しています。

世界でも多くの都市が、「自動車中心」から「人間中心」の空間づくりに力を入れています。

まちを歩く人が増えることで、住民同士の交流が増え、全体に活気が溢れます。また公共の交通機関の利用がメインになることで温室効果ガス削減ができることなど、多くのメリットが期待できます。

【事例】兵庫県姫路市

ここでは、車道中心だった駅前空間を歩行者空間へ変換しました。自動車の通行を制限し道路を再整備することで安心して歩ける歩道に改良しました。さらに芝生化を図って民間の様々なイベントが展開できる多様な空間へと生まれ変わりました。

その結果、周辺におけるホテル、マンション建設が活発化し、駅周辺の商業地地価は25%上昇し、商業床面積も増加したそうです。

参照| https://www.city.sendai.jp/kukakuseri/documents/walkable.pdf

企業の取り組み

それでは、企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。今回は、トヨタの取り組みをご紹介します。トヨタでは、最先端の自動車製造のノウハウを生かして、持続可能なまちづくりに貢献しています。

電気自動車「e-Palette(イー・パレット)」

「e-Palette」は、新しい交通手段を叶える自動車です。

なぜなら、自動車が必要なときに近くまで来てくれて,行きたいところに連れて行ってくれるからです。さらにバリアフリーにも特化し、入り口も広いので車いすやお年寄りの方でも乗り降りがしやすくなっています。

また移動販売も可能なので、買い物のためにお店にいくのではなく、お店が来てくれるという新しいライフスタイルの実現が可能です。

「e-Palette」は、環境に優しい技術も組み合わせた最新技術で開発されているので、持続可能なまちづくりには欠かすことができない存在になりそうですよね。

woven city

トヨタのwoven city(ウーブン・シティ)とは、人々の未来の生活、働き方、移動を進化させる革新的なプロジェクト。

「e-Palette」などの新しい移動手段やAI技術を活用しながら、「ヒト中心のまち」を目指しています。住民一人一人、もしくはコミュニティの幸せと成長を重視した地方創生です。

2021年2月に 東富士工場跡地で(静岡県裾野市)建設がスタートしたばかり。まだ挑戦の途中ではありますが、これからの動向が楽しみですよね。

まとめ

今回は目標11「住み続けられるまちづくり」をについての目標や具体的な取り組みをご紹介しました。

人口減少や超高齢化の課題を抱える日本にとって、地域の強みを活かした都市開発を低コストでスピーディーに進めていくことが大切であると分かりました。

「誰一人取り残さない」という理念を大切にしながら、一人一人が住みやすさと幸せを感じられる「ヒト中心の町」がこれからも増えていくといいですね。

私たちも、地域のイベントに参加したり、地元のお店に足を運んだりして今住んでいる地域や故郷のよさをもっと知る努力は必要ですよね。

人任せにするのではなく、「自分たちが住み続けられるまちをつくろう」という意識を持つことが大切なのではないでしょうか。

 

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