SDGsの9番目の目標に「産業と技術革新の基盤を作ろう」というものがあります。
日本に住む我々にとっては産業と技術革新は身近なものなので、なぜこのような目標をSDGsに掲げる必要があるのか分からないといった方もいらっしゃると思います。
しかし、「産業と技術革新の基盤を作ろう」という目標は、世界の特に途上国の人にとって大きな意味を持ちます。
ここでは、SDGsに「産業と技術革新の基盤を作ろう」という目標が必要な理由について解説していきます。
産業と技術革新の基盤を作ろうが必要な理由
なぜ、産業と技術革新の「基盤」作りが必要なのでしょうか。
ここでいう「基盤」とは、物事を成立させるための基礎となるもののことをいい、生活していく上では衛生設備や通信設備などのインフラのことです。
途上国では現在でも電気やガス、水道、交通、インターネットなど私たちの生活に必要なインフラが未整備の状態であり、そのことが理由で人々の生活水準の向上や持続可能な産業発展につながる技術革新を行う上で大きな課題となっているためです。
それ以外に先進国・途上国を問わず近年増加の一途をたどっている自然災害に直面したときに、いち早く元の状態に回復することができるインフラ設備の整備が求められているため、産業と技術革新の基盤を作る、すなわちインフラを整備することは世界にとって不可欠なこととなっています。
このような理由から、先進国であっても産業と技術革新の基盤を作ることは、非常に重要な目標となります。
産業と技術革新の基盤を作ろうが必要な背景
産業と技術革新の基盤を作ろうという目標がSDGsの目標に掲げられた背景には、世界全体のインフラ設備や産業を含む生活水準に格差があるという理由があります。
インフラ設備を整備することにより、生活水準は向上し安定した生活を送ることが実現でき、持続可能な産業の発展に力を注ぐことができる環境を作るための基盤にもなります。
インフラ設備が未整備の状態では、企業の生産性が40%も損なわれると言われています。
しかし、世界の人口のおよそ三分の一が、振動や騒音の発生がなく道路全体が耐熱、耐衝撃に優れた全天候型道路に簡単にアクセスすることができない環境で生活していると言われています。
また、世界中の23億人の人々が基本的な衛生設備を使用できず、12億人が電話を利用できない環境にいると言われています。
産業と技術革新の基盤を作ろうがSDGsの9番目の目標として掲げられる背景には、このような現状があります。
産業と技術革新の基盤を作るために必要な3つのこととは
産業と技術革新の基盤を作るためには、3つのことが必要であるといわれています。
ここでは、その3つのことについて解説していきます。
インフラ整備
インフラ整備とは、衛生施設や水、電力、技術、道路、情報通信(インターネットなど)といった生活していく上で欠かすことができない基盤を整えることを言います。
このインフラ整備を行うことで、人々の日々の生活が安定しさらなる生活の向上を目指すために働くことへの意欲が湧くことから企業の生産性が上がり、生産性が上がった企業には雇用が生まれ、そこで働く人たちは安定した収入を得られるようになります。
インフラを整備することでこのような成果があがるため、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」という目標を実現することもできるようになります。
また、安定した収入を得ることができるようになると貧困から抜け出せるようになり、そのような家庭の子どもは学校に通い教育を受けられるようになります。
これは、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」の実現も可能になるということです。
産業と技術革新の基盤を作ろうという目標のうち、インフラを整備することでSDGsの他の2つの目標も達成できるのです。
持続可能な産業化
持続可能な産業化とは、環境に配慮した方法でお金を正しく循環させ、そこで働く人たちが生活をしていく上で十分な収入を得られるような産業の仕組みを作ることです。
つまり持続可能な産業化とは、地球環境に配慮した方法で産業化を進めその際に労働者を使い捨てにすることなく企業と人がともに成長していくことであると言えます。
2030年までに農業や漁業などの一次産業の割合を大きく増やし、開発が非常に遅れている国については、その割合を2倍にすることが目標とされています。
技術革新の拡大
技術革新の拡大とは、地球環境に配慮された新しい技術を生み出し続けることを言います。
技術革新が拡大していくことで、省エネ型の家電や工場などで使う機械の開発が進み、脱炭素社会の実現に大きく貢献できます。
また、少ない電力量で動かすことができる機械を開発することで、発電量が少ない国での産業を発展させることも可能になります。
産業と技術革新の基盤を作ろう達成のために私たちにできることとは
SDGsの産業と技術革新の基盤を作ろうという9番目の目標を達成するために、一個人ができることにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、個人個人で行える産業と技術革新の基盤を作るための取り組みについて開発していきます。
自分たちが使用しているインフラ設備を理解する
普段当たり前のように利用しているインフラ設備ですが、一般の家庭にこのようなインフラ設備が導入するために、その大本となる設備がどのような仕組みになっているかを理解しておくとよいでしょう。
こうしてインフラ設備に対する理解を深めることで、災害時にインフラ設備のどの部分にぜい弱な部分があるかといったことや、改善すべき点などが見えてくるでしょう。
世界のインフラの整備状況について興味を持つ
世界のインフラの整備状況について興味を持つことも、産業と技術革新の基盤を作ろうという目標を達成するために非常に重要です。
特に途上国においては、何キロメートルも歩いて生活に必要な水を汲みに行く必要がある地域もあり、その水は衛生的であるとは言えない状況で生活している人々もいます。
このようにインフラが整備されていないため、生きていくためだけに時間を費やす必要があり教育の機会も奪われてしまうという現状があります。
またインターネットはおろか電気すら使うことができない地域もあり、必要な情報を手に入れることが困難な地域もあります。
日本のほとんどの家庭のように蛇口をひねれば水が出て、インターネットに容易にアクセスできる環境を整備するためには、まず何が必要かということを考えてみましょう。
災害時などに復旧のために募金を行う
途上国だけではなく先進国であっても、自然災害が理由でインフラが寸断されてしまうことがあります。
その全面的な復旧には非常に長い時間と多くの労力、そしてお金が必要になります。
このような出来事が世界のどこかで起った場合には、募金を行うことでその国のインフラの復旧の手助けを行うことができます。
まとめ
ここまで、SDGsの9つ目の目標である「産業と技術革新の基盤を作ろう」について解説してきました。
産業と技術革新の基盤を作るために最も重要なのは、インフラの整備だということがお分かりいただけたと思います。
インフラの整備が充実するにしたがって、連鎖的に他のSDGsの目標も達成できます。
そのため、今後は途上国・先進国を問わず強靭なインフラの整備が重要なポイントとなります。
まずはインフラの整備が不十分な途上国からインフラ整備を進めていくことが重要ですが、先進国にあってもぜい弱なインフラを使用している場合には、その改善も必要となってくるでしょう。
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