産業と技術革新の基盤を作ろう~国内の取り組み~

地球上のすべての人が豊かで幸せな生活を送るためには、さまざまな産業が発展していく必要があります。

産業が発展すれば雇用が生まれたり、それまで働いていた人の収入が上がったりして生活が豊かになる可能性が高まります。
産業を発展させるために必要なのは、強靭(レジリエント)なインフラを整備することです。
また、新しい技術を生み出すための技術革新も欠かすことはできません。

ここでは、SDGsの目標9産業と技術革新の基盤を作ろうについての解説と、日本企業の取り組みについての紹介を行っていきます。

目標9・産業と技術革新の基盤を作ろうとは

産業と技術革新の基盤となるものは、強靭なインフラ設備です。
強靭なインフラが整備され産業が発展し技術革新が進むことにより、生産性と所得が向上し、健康や主に子どもの教育面に高い成果を上げることできる可能性が高まります。
このように産業と技術革新の基盤を作ろうという目標を達成することで、目標4「質の高い教育をみんなに」や目標8「働きがいも経済成長も」などの他の目標を達成することができます。

開発途上国の中には産業や技術革新のためのインフラはおろか、生活に最も必要な水や電気といったインフラの整備が遅れている地域もあります。
国連広報センターの発表によると、世界には電気を自由に使えない人が7億5,900万人、安全で清潔な飲料水を利用できない人は20億人いるということです。
このような人たちの生活環境を向上させ、ひいては産業と技術革新を発展させることで生活水準も向上させるために、その基盤となる強靭なインフラの整備が求められます。

このようにして産業と技術革新の基盤を作ることで、世界が持続可能な方法で発展していくことができるようになります。

インフラとは

インフラとは、英語のInfrastructure(インフラストラクチャー)を略した言葉で、その意味を一言でいうと「生活の基盤で、デジタル領域では電力とネットワークのこと」です。
さらに詳しく言うと、インフラとは日々の生活を支える下部構造のことで、具体的には公共施設・ガス・水道・道路・線路・電話・電気など、生活を成り立たせるために欠かすことができないものを指します。

強靭(レジリエント)なインフラとは

インフラは生活を成り立たせるために欠かすことができないものなので、災害などによって寸断されにくい、または寸断されてしまっても復旧しやすいものである必要があります。
このようなインフラを「強靭なインフラ」といいます。

日本のインフラの現状と課題

先進国といわれる日本においても、インフラには課題があります。
ここでは、日本のインフラの現状と課題について開発していきます。

欧米諸国と比較したICT技術の遅れ

ICTとは、Information and Communication Technology(情報通信技術)の略で、通信技術を活用したコミュニケーションのことです。
このICTは単なる情報処理にとどまらず、ネットワーク通信を利用した知識や情報の共有を重要視しています。
スマートフォンやIoTの普及によりさまざまなものがネットワークによりつながって、手軽に情報の伝達や共有が行える環境から生まれた概念です。

日本はこのICT技術が欧米と比較して遅れているため、「ICT後進国」とよばれることもあります。
このような現状を改善するために、誰もがアクセスできるオンラインシステムの構築が急がれます。

インフラの老朽化

日本のインフラ設備の多くは、高度経済成長期に一斉に整備されました。
そのため、それらのインフラの老朽化問題もまた同時期に起こっており、日本の現在の財政状況ではこれらの問題解決のすべて賄うことができません、

建築後50年を経過するインフラの割合は2023年の時点で道路や橋は約39%、トンネルは約27%、水門などの河川管理施設は約42%、下水管は約8%、高湾岸壁は約32%にも上ります。

社会資本の老朽化の現状と将来 – インフラメンテナンス情報 (mlit.go.jp)より

このことから今後多くのインフラで老朽化による不具合が起こり始め、これらを保全していくためには膨大なコストがかかると予測されます。
しかし、インフラに不具合が起こる前にメンテナンスを行うことで、インフラ保持のための費用を約半分に抑えることができることから、国土交通省は「予防保全」の考え方を基本として対策にあたっています。

産業と技術革新の基盤を作ろうを達成するために日本で行われている取り組み

ここでは、産業と技術革新の基盤を作ろうの目標を達成するために具体的な取り組みを行っている企業とその内容を紹介していきます。

NGP日本自動車リサイクル事業協同組合

NGP日本自動車リサイクル事業協同組合は、自動車リサイクル会社によって構成されている組合です。
この組合では、廃車にする自動車の部品を業界全体でリサイクルする取り組みを行っています。
それはリユース部品の販売によって得られた収益で、瀬戸内オリーブ基金を通じて香川県豊島環境保全再生活動に寄付を行っているというものです。

また、自動車部品のリサイクルを行っている組合という性質上リサイクルに関するノウハウも多く保有しているため、リサイクルについて将来を担う子どもたちに向けて環境問題について分かりやすく伝えるために、ブースをエコプロなどのイベントに出展するなどの方法で啓蒙活動に取り組んでいます。

株式会社伊藤園

株式会社伊藤園が目標9産業と技術革新の基盤を作ろうの達成のために行っているのは、災害対応自動販売機の開発です。

この災害対応自動販売機とは、大規模な災害が発生し支援物資が必要になった場合に、内臓バッテリーに切り替えたり、手回しによって発電する自家発電で電気を供給したりして、無料で製品を取り出すことができる仕組みの自動販売機のことです。

株式会社伊藤園は、この災害対応自動販売機の設置に積極的に取り組んでいます。

NTTドコモ

NTTドコモは、日本の大手スマートフォン事業会社です。
スマートフォンを利用するために必要な電波の送受信を行う基地局を日本全国に20万局以上設置していて、これらを24時間365日体制で不具合が起こっていないかチェックしています。
このような取り組みにより、イベントなどで人が密集すると混雑してしまいがちな電波を調整し、利用者に安定した電波を届けています。

大規模な災害が発生した場合に備えて蓄電池が基地局に備え付けてあり、停電時にも基地局を正常に利用できます。
また災害時の拠点となる場所には、基地局を介さずに使用することができる衛星電話の貸し出しを行えるよう準備が整えられています。
このように予期せぬ事態が起こっても、今やライフラインとなった携帯電話の利用に不具合が出ないように万全の体制が敷かれています。

まとめ

ここまで、SDGsの目標9・産業と技術革新の基盤を作ろうとそれを達成するために必要な強靭なインフラについての解説と、日本における課題、目標達成のために躯体的な取り組みを行っている企業の紹介を行ってきました。

先進国といわれている日本においてもインフラ設備には課題が残っていることや、日本の企業がそれぞれの得意分野を活かして、目標達成のために具体的な取り組みを行っていることがお分かりいただけたと思います。

日本を災害に強い強靭なインフラを保有する国にするために私たちにできることは、この目標達成のための具体的な取り組みを行っている企業の製品やサービスを積極的に利用していことではないでしょうか。

途上国の産業と技術革新の基盤を作ろう

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