LGBTやLGBTQなど、最近よく耳にするようになりました。日本では同性婚を法律上認められていません。しかし、性の多様性を尊重しようという取り組みは活発になっています。

とはいえ、LGBTやLGBTQについてなんとなく分かるものの、くわしい意味は知らない方もいるかもしれません。

この記事では、LGBTやLGBTQの意味を解説するとともに、注目されている企業事例についてもまとめました。

まずは知ることからはじめてみませんか?ぜひ、最後までお読みください。

LGBTとは?

LGBTとは、性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)の総称のひとつ。

  • Lesbian(レズビアン):女性を愛する女性
  • Gay(ゲイ):男性を愛する男性
  • Bisexual(バイセクシュアル):女性や男性など二つ以上の性に惹かれる人
  • Transgender(トランスジェンダー):身体と心の性が異なる人

これらの頭文字をとった単語がLGBTです。

人の性を構成する要素は以下の4つあるといわれています。

  • 身体的性もしくは法律上の性:生まれたときの身体的な性
  • 性自認:自分が認識している性
  • 性的指向:好きになる相手の性
  • 性表現:容姿や言葉使いなど、自分が体現したい性

このように細かくみると、性は多様な存在なのです。

2018年に実施された株式会社電通の調査によると、日本のLGBT人口は「8.9%」。2019年に大阪市が実施した調査によると「約3〜8%」という結果になりました。日本においても多様な性を選択している方は少なくありません。

そして、最近はさらに多様化する性を表現するために「LGBTQ」という言葉もよく使われるようになりました。

LGBTQのQとは?

Qは、Queer(クイア)、Questioning(クエスチョニング)を意味します。

  • Queer(クイア):LGBTでは表せないさまざまな性的指向・性自認の総称
  • Questioning(クエスチョニング):自分の性的指向や性自認がはっきりしない人や意図的に決めていない人

性を男性や女性だけでは決められません。どのような性であっても尊重されるべきといえるでしょう。

SDGsとの関係は?

SDGsには「誰一人取り残さない」という理念があります。つまり、どんな性を選んでも自分らしく生きられる社会をつくるということです。

では、LGBTQの課題に取り組むことは、sdgs目標の何番につながるのでしょうか。

一つ目は、目標「5.ジェンダー平等を実現しよう」です。性による差別の撤廃を目指しています。

主に女性について言及されていますが、LGBTの場合も同じといえるでしょう。

二つ目は、目標「10.人や国の不平等をなくそう」です。2030年までに性別にかかわらず、すべての人が能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されない社会の実現を目指しています。

これまで性は男性と女性とだけという考えが一般的でした。そのため、LGBTQの方は周囲から理解されにくく、生きづらい日々を送っていたのです。

性の多様性の考えが浸透しつつあるとはいえ、現在も生きづらさを抱える方は多いと思われます。性で判断するのではなく、その人自身を受け入れる社会が求められているのでしょうか。

では、実際にどのような取り組みを行っているのでしょうか。続いては、LGBTQの方が生きやすい社会の実現を目指す企業事例を紹介します。

LGBTQへの企業の取り組み

企業事例①:ファミリーマート

ファミリーマートでは、どんな人でも安心して自分らしく働ける風土づくりに努めています。

会社全体でLGBTQの知識や理解を深めながら、ALLY(支援者)を増やすことを目指しているのです。ALLYを表明したい社員やALLY活動に参加する社員には、ステッカーやグッズを配布。全国のALLYメンバーは160名を超えました。

店舗の取り組みとしては、支援を意味する「レインボーカラーデザイン」のソックスやホットスナック袋を数量限定で展開。売上の一部を子どもたちへのLGBTQや多様性に関する教育などに寄付したそうです。

参照:https://www.family.co.jp/sustainability/material_issues/diversity/diversity.html

企業事例②:株式会社SAKURUG

株式会社SAKURUGでは、システムやwebサービスの開発やコンサルティングビジネスを提供しています。

多様な家族形態を認めるFamiee証明書の全社導入を決定。法律上では夫婦や家族と認められず苦しむ家族をサポートすることを開始しました。

家族としての当たり前の権利やサービスを解決するために、配偶者が同性パートナーの場合でも家族関係証明書を発行して家族であることを社会的に認めています。福利厚生も適用されているそうです。

参照:https://sakurug.co.jp/news/3138/

企業事例③:物語コーポレーション

焼肉キングやラーメン丸源を展開する物語コーポレーションは、多様性を尊重する職場づくりに努めています。

社内では同性婚を認め、結婚祝いや配偶者手当、単身赴任手当の支給など同等の待遇を受けられるようにしました。

実際に、ライフパートナーシップ制度の申請をして認められている方もいるそうです。

さらにトイレにも配慮しています。東京フォーラムオフィスの1階と4階がオールジェンダートイレを設定。2階と3階は男女別トイレにしています。だれもが安心して働ける環境を整えているのです。

だれ一人取り残さないようにする姿勢は飲食業界の見本といえるでしょう。

参照:https://jobrainbow.jp/magazine/lgbt-work-expo-2020-monogatari
参照:https://www.monogatari.co.jp/sustainability/policy/

企業事例④:ラッシュジャパン合同会社

ナチュラルコスメブランドのラッシュは、だれもが自分らしく暮らせる社会を目指しています。性別やセクシャリティなどに関係なく、その人自身の素質や能力と向き合った採用をしています。2015年からは性別欄を撤廃しました。

同性パートナーを配偶者とみなし、福利厚生の付与を行っています。チャイルドケア休暇、育児休暇、弔事休暇、配偶者出産休暇、介護休暇などの待遇についても同等な扱いです。

性適合手術を受けるケースも傷病休職と同様の取り扱いとしています。自分らしく働ける環境づくりを体現しているのです。

参照:https://weare.lush.com/jp/lush-life/diversity_and_inclusion/
参照:https://diversityworksjp.org/dcf2022/company/lush/

企業事例⑤:コカコーラ

コカコーラは、多様性を尊重し、安心して働ける環境整備に取り組んでいます。

一つ目が、LGBT基礎知識の学習です。全社員向けに「LGBT基礎知識」の学習をするだけではなく、役職に応じた「ハラスメント研修」も実施。知ることを通して、意識を変えることに努めています。

二つ目は、制度の見直しです。配偶者の定義を「パートナーは性別を問わず、事実上婚姻と同様の関係にある者を含む」に変更。エントリーシートや社内アンケートなどの書類の性別欄に「その他」を追加しました。

多様な性を尊重する姿勢が評価されています。

参照:https://www.ccbji.co.jp/recruit/career/workstyle/01/
参照(PDF):https://www.ccbj-holdings.com/csv/pdf/2021/jp/3.pdf

企業事例⑥:セガサミーホールディングス

ゲームでお馴染みのセガサミーでは、多様な人が活躍できる社会づくりに努めています。2021年5月、日本におけるLGBT平等法の導入を支持。性に関する差別を禁止して誰もが平等に扱われるインクルーシブな職場・社会づくりを目指す「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」への賛同を表明しました。

社員向けの啓発活動も実施しています。性的マイノリティに関する基礎知識を学ベるe-ラーニングによる受講プログラムを導入しました。また、外部講師による研修を開催したり、Ally(支援者)の希望者へレインボーロゴが入ったアライストラップを配布したりしています。

互いに尊重し合う輪が広がるように工夫しているといえるでしょう。

参照(PDF):https://www.segasammy.co.jp/japanese/pdf/release/20221110_segasammy_release.pdf

おわりに

今回は、性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)の総称のひとつであるLGBTについてまとめました。これまでは男女で性を表現するのが一般的でしたが、今は多様化しています。

どのような性であっても尊重されるべきで、「周りとちがうから差別される」「少数派だから我慢しないといけない」という状況をなくすことが求められているのです。

日本では同性婚を法律上認めていませんが、社内では社会的に認める企業も増えています。このような企業の動きは日本の風土や法律を変えるかもしれません。

すべての人が自分らしく暮らせる社会をつくるために、一人ひとりがまずは相手のことをよく知り、受け止めることが大切なのではないでしょうか。

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