近年問題となっているフードロス。

このフードロスの量は日本人一人当たりに換算すると、一日につきご飯茶碗一杯分(約132g)となります。
一日の量だけ見ればそう多くはないと思われる方もいらっしゃるでしょうが、一年分となるとかなりの量のまだまだ使える食材や食品が廃棄されているということになります。

ここで紹介するMOWLS(ミールズ・オン・ホイールズロジシステム)とは、全国食糧支援活動協会が増加する食支援ニーズに対応し、居場所を通じて食が得られる環境整備のための取り組みのことを言います。

ここでは、MOWLSが具体的にどのような人々によってどのような活動を行っているかについて解説していきます。

食支援活動の背景とその目的

さまざまな地域で行われている食支援活動は、高齢者の孤独や孤立を防ぎ互助を促すとともに、生活支援や介護予防の効果を期待して行われています。

食支援活動と言えば子ども食堂を思い浮かべる方も多いと思いますが、この活動は徐々に多世代型地域食堂へと進化しています。

しかし、この活動を継続するための担い手不足や継続のためのリソースの不足が課題となっており、多くの地域で活動の継続が危ぶまれる状況にあります。

生活支援体制整備が期待される協議体においても、活用する資源の多くが地域内にとどまっており、多様なアイデアが生かされにくい状況になっていました。

このような問題を解決するためには、支え合いの活動創出に関わる行政所管や社協、生活支援コーディネーターなどがその知識や力を発揮して活動を活性化していくためには、多様な分野からの資源調達を図っていく必要があります。

この「多様な分野」として、特に企業や協同組合、商工会などの福祉分野に限定されない多様な機関・団体や地域外の広域ネットワークとの有機的な連携が、カギになると考えられています。

そして、食糧支援活動の創出と地域展開に向けた環境を整備するために、人・場・もの/資金、情報等の資源の開拓や活用、そして循環を目的とした機能を持つ協議体である「食支援プラットフォーム」が構築されました。

MOWLSと食支援プラットフォームの関係

ここまで食支援プラットフォームの解説を行ってきましたが、この食支援プラットフォームを支える存在が、「MOWLS」です。

MOWLSとは、食を通じた居場所や団体に向けた食支援の物流システム(WEBシステム)のことで、多くの場所から寄付された食品などを提携拠点地経由でトレーサビリティーを行いながら、食料の分配、安全・安心な仕組み、新たな市場(情報が流れる仕組み)の開拓を行うプロジェクトです。

MOWLSは全国各地の50か所のロジ拠点から99か所のハブ拠点を経由して、約2000か所の居場所や団体に寄贈された食品などを届けています。

このMOWLSは、2022年度の時点で連携団体エリア33都道府県、食品提供量355トン、食品寄贈団体数は37団体という実績を挙げています。

MOWLSが始動したことによって食を通じた居場所を得るための環境づくりはどう変わった?

MOWLSが目指すものは、支援者から寄贈された食品などが効率的に運搬・仕分け・配分されることにより、支援者の負担を軽くし、活動者への支援が充実することです。

その具体的な方法は、寄贈食品を活用して食糧費を軽減することで活動団体の運営費負担を軽くする、まとめて納品と荷受けをすることで寄贈時の配送費と調整負担を軽くする、小さな団体であっても寄贈が受けられる環境整備を行うという3つのものです。

提携している連携団体は子ども食堂や母子生活支援施設、多世代居場所など2000団体に及び、連携企業は餃子の王将や吉野家といった飲食業からYahoo!Japanネット募金といった福祉団体、マンション事業を展開するタカラレーベンなどさまざまな企業があり、その数は28に及びます。

全く異なる業種の企業や団体が手を組み自社の強みを活かして、このMOWLSを支えているのです。

MOWLSが目指すものとは

MOWLSは、支援者から寄贈された食品などを効率的に運搬・仕分け・配分することにより、支援者の負担を軽減し活動者への支援が充実することを目指しています。

一団体ではできないことでも、多くの多様な業種が協力し合うことでこの目標を達成することができるようになります。

そのために多くの企業や団体に参加してもらえるように、学習会などを通じて課題を共有したり情報交換を行ったりしています。

そこのようにしてMOWLSの規模を拡大していくことで、SDGsのさまざまな目標達成に寄与しています。

子ども食堂など食を通じた子供たちの居場所を作ることで、目標1貧困をなくそうと、目標10人や国の不平等をなくそうの目標達成に寄与しています。

また、子ども食堂は単に食事をするためだけの場所ではありません。

子どもたちは、子ども食堂での体験を通じて「食育」や「健康状態の改善」を学ぶことによって、生涯にわたる自身の健康を守るための食事をすることの大切さを身に付けることもできます。

これにより、目標2飢餓をゼロに、目標3すべての人に健康と福祉をの達成に役立つでしょう。

MOWLSは多様なセクターとの協働により、各セクターの強みを活かしたコレクティブインパクトを創出するため、持続可能な仕組みへ発展していきます。

これは、目標17パートナーシップで目標を達成しようを実現するための重要な取り組みでもあります。

「食支援プラットフォーム」がMOWLSというシステムを活用し解決を目指す社会課題

食支援プラットフォームが解決を目指す一番の問題は、人が孤独や孤立の状態になるのを予防し、互助を促す「食支援活動」を創出し支えるということが挙げられます。

その具体的な内容は、地域の活性化・まちづくり、出番と役割、食生活支援などがあります。

自治意識や社会参画意識を醸成し多様なサービスを増やすことで、介護予防へ寄与することができます。

また活動の活性化に伴い、実際にこの活動の担い手となる機会が増えることで出番や役割の機会も増え、孤立や孤独の解消につながります。

さらに食生活支援が活性化し継続化していくことで、栄養状態の改善や心身の健康につながり、担い手の増加に寄与するでしょう。

食生活支援を軸にした人と人とのつながりを作ることで、この食支援プラットフォームにかかわる人たちの心身の健康を向上させることができるのです。

まとめ

MOWLSの他の食糧支援団体と異なる点は、支援物資を限定された活動団内にのみ配分するのではなく、さまざまな企業や団体と連携しながら日本各地の活動団体に食料を平等に配分しているということです。

そのために、寄贈された食品などの物資を運搬するための独自の物流システムを確立しつつあります。

将来的に日本全国の活動団体に平等に食料品などを配分するために、今後さらなる物流、倉庫、人手の支援を必要としています。

物流や倉庫の提供などは一個人にはできない支援かもしれませんが、足りない人手を補うことならばできるのではないでしょうか。

食を通じた居場所の確保を目的として活動している団体の力になりたいと思った場合には、このMOWLSに参加してみることも念頭に入れておいてみてはいかがでしょうか。

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