割り箸がSDGsに貢献する理由とは

割り箸は木材を使用するため、割り箸の生産時に木を伐採し森林を破壊したり、その焼却処分時に大量の地球温暖化ガスを排出したりして環境に悪い影響を与えると考える向きもあります。
そのためSDGsの15番目の目標である「陸の豊かさを守ろう」という目標達成のためにと、割り箸からプラスチックの箸へと切り替える飲食店も増えてきています。

しかし、実際に環境に与える負荷はプラスチックの箸は割り箸よりも大きいと言われています。
ここでは、割り箸が陸の豊かさを守るために役立つ理由などを解説していきます。

割り箸を使うと環境破壊につながる?

割り箸の原料は木材なので、一度しか使用しない割り箸を大量に使うことで森林の伐採が進み、自然破壊につながる可能性があるのではないかとお考えの方いらっしゃるでしょう。
しかし、実際には割り箸を大量消費することにより環境破壊につながることはありません。
その理由は、割り箸の原料となる木材は材木の製造時に出る端材や、建築や他の用途に使うことができない間伐材などを利用しているということです。

ただし、このような割り箸の作り方をしているのは日本国内においての話なので、海外産の割り箸については一概に環境にやさしいと言い切ることはできません。
このような他に使い道がない端材や間伐材などを有効活用する国産の割り箸は、「エコ」な存在であるということもできます。
また、割り箸は木でできているため廃棄しても自然分解し、また焼却処分してもカーボンニュートラルであるため、SDGsの陸の豊かさを守ろうという目標に合致したものなのです。

また現在ではSDGsの目標を達成するために、プラスチック製品の削減に力を入れる流れが加速しています。
実際に国産の割り箸を焼却処分しても、カーボンニュートラルの観点から見ればその二酸化炭素排出量はゼロであるのに対し、プラスチックの箸の場合には製造時と焼却処分時に大量の地球温暖化ガスを排出してしまいます。

割り箸の利用は日本国内の林業振興に有効

日本の割り箸工場の数は、平成5年から平成15年の10年間の間に、半分以下に減少しています。
これは「割り箸が環境を破壊する」という間違った考えから、プラスチックの箸への転換やマイ箸を持ち歩く人の増加で割り箸の消費量が大きく減少したためです。

国内産の割り箸を利用しても環境破壊につながることはなく、間伐材や端材を有効活用することで、林業とそれにかかわる分野の収入源となり、その資金が山に還元されて森林整備を促進することができるのです。

間伐材や端材を割り箸として積極的に活用することで、山村の活性化や森林の整備の促進につながり、さらに地球温暖化防止につなげることも可能なのです。

飲食店が割り箸を使うことのメリットとデメリット

では、箸を大量に使用する飲食店が割り箸を利用するメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、割り箸を利用するメリットとデメリットについて解説していきます。

メリット

飲食店が料理を提供する際に割り箸を提供するメリットとしては、いつでもお客様に新品で清潔な箸を使ってもらうことができるため、安心して使用してもらうことができるというものがあります。
現在のコロナ禍においては、特に再利用するプラスチックの箸に比べて割り箸のほうが清潔感があると感じられ、歓迎されるでしょう。
また、割り箸は当然のことながら一回で使い切るものなので、洗浄する手間を省くことができます。

また再利用するプラスチック箸を使う際には、使用しているプラスチックの箸を検品して劣化しているものを見つけ、それを分別し適切に処分する必要がありますが、割り箸にはそのような手間は必要ありません。
割り箸を利用するメリットには、このようなものがあります。

デメリット

飲食店が割り箸を使うことで発生するデメリットは、「この店は環境問題に取り組んでいない」という間違った印象をお客様に与えてしまいかねないということです。
いまだに「割り箸=自然破壊」という考えを持っている方も少なくないため、このような誤解を受けてしまう恐れがあります。

また、割りばしはお客様が来店するたびに消費するものなので、プラスチックの箸と比べて発注や廃棄の手間がかかります。
また、安価な割り箸の中には防カビ剤などの化学物質を使用したものあり、使用するお客様の体に悪影響を与える恐れがあります。

この割り箸による人体への悪影響を防ぐためには、国産の安全な割り箸を使用することをおすすめします。

環境に配慮した割り箸の再利用法

割り箸は使用してそのまま廃棄処分することが多いのですが、使用済みの割り箸を環境に配慮した形で再利用する取り組みも始まっています。
ここでは、使用済みの割り箸の再利用法を紹介していきます。

紙の原料として

日本全国の商店街や自治体、商工会議所などで使用済みの割り箸を回収し、紙の原料としてリサイクルすることができます。
このようにして使用済みの割り箸から紙を作っている企業には、王子ホールディングスなどがあります。

ただし、使用済みの割り箸を紙として再利用する場合には、食べかすが付いた割り箸や焼け焦げのある割り箸は使うことができないため、このような割り箸はきれいに洗って食べかすを取り除いたり焼け焦げがある箸とない箸を分別したりする必要があります。

家具や生活雑貨の材料として

日本ではなくカナダでの取り組みですが、カナダのバンクーバーだけでも1日に10万膳の割り箸がごみになっていると言われています。

カナダ在住のフェリックス・ボック氏は、使用済みの割り箸を再利用して新たな命を吹き込む企業の「チョップバリュー」を立ち上げました。
このチョップバリューでは、バンクーバーの多くの飲食店に使用済み割り箸の回収ボックスを設置させてもらい、現在では週に約35万膳の使用済み割り箸を回収しています。
集めた使用済み割り箸はプレスしてタイル状に加工した後、水性樹脂でコーティングし高温で乾燥させてからさらに過熱プレス機に掛けます。

このようにして加工された使用済み割り箸は、タブレットスタンドやテーブルトップなどの生活雑貨や家具として生まれ変わります。

ストーブの燃料として

約80軒の旅館と約60件の食堂が営業している城崎温泉では、年間40万人以上が宿泊し、使用される割り箸の量は約80万膳にも上ります。
この使用済み割り箸の再利用法を豊岡市商工会青年部城崎支部などが検討し、ペレット化して公共施設や学校に320台設置されているペレットストーブの燃料とすることを考案しました。

町内に使用済み割り箸回収ボックスを設置し、おがくず8割・割り箸2割の割合でペレットに加工し、これを市や同支部が購入しています。
城崎温泉で消費させる割り箸を活用することで、年間3.5から5トンのペレットを作ることができるため、多くの旅館などが協力して使用済みの割り箸を提供しています。

まとめ

ここまで、割り箸がSDGsの15番目の目標である「陸の豊かさを守ろう」を実現するために、非常に有効なツールであることを解説してきました。
割り箸を使用することは環境破壊につながることではなく、むしろ林業の振興や森林の整備に役立つ行為であることがお分かりいただけたと思います。

しかし、これはあくまでも国産の割り箸を利用した場合の話であり、海外産の割り箸を使用した場合は環境破壊や使用している化学薬品の作用により健康被害を起こす可能性もあります。
そのため、使用する割り箸が国産の安全で安心なものであるかを確認してから使用することをおすすめします。

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