サステナビリティとSDGsの違いは?その具体的な取り組みの違いを紹介

近年ではSDGsという言葉が社会に浸透しており、その実現のためにさまざまな取り組みが行われていますが、このSDGs以外にもサステナビリティやMDGsという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

SDGsとMDGs、そしてサステナビリティは同じようなものだとお考えの方もいらっしゃると思いますが、実はそれぞれ異なる意味を持つ言葉なのです。

ここでは、SDGsとMDGs、サステナビリティという3つの言葉の意味とその違いについて解説していきます。

結論 SDGsやMDGsはサステナビリティをより具体化したもの

結論から言うと、SDGsやMDGsとは、サステナビリティをより具体化した達成すべき目標です。

サステナビリティとは、「sustain(保つ、持続する)」と「-able(~できる)を組み合わせた言葉で、日本語に訳すと「持続可能性」という意味になります。
SDGsやMDGsは、この持続可能性を実現するための具体的な目標について定めたものです。

サステナビリティな社会を実現するためには、SDGsやMDGsで掲げられている目標を達成することが重要になります。

サステナビリティとは

では実際にサステナビリティとは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。

この言葉は、社会や環境、人々の健康、経済などのあらゆるシーンにおいて「将来にわたってその機能を失わずに続けていくことができるシステムやプロセス」という意味を持っています。

つまり、目先のパフォーマンスや利益のみを希求するのではなく、物事の長期的な影響を考えて行動するという概念のことをサステナビリティと呼びます。

SDGsとは

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」を略した言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」という意味を持っています。

このSDGsは、2015年9月に、150カ国を超える世界のリーダーが参加して開かれた「国連持続な開発サミット」で決議されました。

SDGsは、2015年から2030年までの長期的な指針で、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性がある社会の実現を目指しています。

このような社会の実現のために、2030年を達成期限として定められたのがSDGsで、「17の目標」と「169のターゲット(具体的な目標)」で構成されています。

MDGsとは

MDGsはMillennium Development Goalsを略したもので、日本語でミレニアム開発目標と呼ばれています。

このMDGsは、2000年9月の「国連ミレニアムサミット」で採択された国際ミレニアム宣言をもとにまとめられた国際的な目標のことです。

MDGsは開発途上国の開発を目標としており、それを実現させるために2015年までの達成すべき8個の目標が掲げられました。

SDGsの前身に当たり、SDGsの考え方を深く理解する上でも重要な存在です。

サステナビリティとサスティナブルの違いは

SDGsを語る上で、「サスティナブル」と「サステナビリティ」という2つのよく似た言葉を聞くことも多いのですが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。

実はこの2つの言葉に、大きな違いはありません。

「サスティナブル」とは、「持続可能な」という形容詞、「サステナビリティ」は「持続可能性」という名詞です。

「サスティナブル」はサスティナブルな投資、サスティナブルな経営などビジネスシーンで使用されることが多く、もう一方のサステナビリティは健康やライフスタイルで使われることが多いという特徴を持っています。

その他の類似頻出用語の意味

ここまで、SDGsとMDGs、サステナビリティについて解説してきましたが、ここからはこれらの類似頻出用語について解説していきます。

CSR

CSRとは、「Corporate Social Responsibility」を略した言葉で、企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任のことを言います。

ここでいう社会的責任とは、従業員をはじめ消費者、投資者、環境への配慮から社会貢献までの幅広い内容に対して適切な意思決定を行う責任のことを言います。

各企業の特徴により担うべき責任や役割、そして影響力はそれぞれ異なるため、各社はその課題を見つけ自らCSRを作り上げていきます。

ESG

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの英単語の頭文字を組み合わせて作られた言葉です。

企業が長期的に成長するためには、経営を続けていく上でESGの3つの観点が必要だという考え方が世界中に広まっています。

GRIスタンダード

GRIスタンダードとは、オランダのアムステルダムに本部を置くGRI(Global Reporting Initiative)が作成した枠組みです。

GRIは、企業の環境に関する行動についての透明性を高めることを目的として設立され、その後、社会や経済の問題についても拡充しました。

GRIはGRIスタンダードを作成する以前に、企業のESG情報開示の基準として、GRIガイドラインを作成しています。

GRIスタンダードは経済・環境・社会に与える影響を報告し、持続可能な発展への貢献を説明することを目的とした枠組みで、企業の透明性と説明責任を果たすことに役立たせることができます。

サステナビリティとSDGs 取り組みに違いはあるか

サステナビリティとSDGsの違いを一言でいうと、

サステナビリティが「社会・環境の持続可能性と経済の成長を目指す考え方や活動」であり、

SDGsはサステナビリティな社会や環境を実現するために何をするべきかをより具体的に示したものです。

サステナビリティとは、SDGs達成のための取り組みと捉えるとよいでしょう。

企業の視点を例に挙げると、サステナビリティを企業の存在意義とするならば、SDGsはそれを実現するために求められる経営課題であるということができます。

取り組みに違いはない

このような理由から、SDGsの目標を達成するための手段にサステナビリティが求められるため、この2つの取り組みの内容に大きな違いはありません。

サステナビリティとSDGsそれぞれの具体的な取り組み例

ここでは、サステナビリティとSDGsのそれぞれの具体的な取り組み例を解説していきます。

サステナビリティ経営

まず、サステナビリティの具体的な例としてサステナビリティ経営について解説していきます。

サステナビリティ経営とは、「環境・社会・経済」という3つの観点のすべてにおいて持続可能な状態を実現する経営のことを言います。

生産やサービス提供など自らの企業活動が環境や社会、経済という3つの要素に与える影響を考慮することは事業の長期的な維持管理には欠かすことができないため、サステナビリティは、企業活動においても無視することができない概念です。

例えば廃棄物をゼロにして地球環境への負荷を軽減することは、良好な生活環境の実現につながります。

また、ジェンダーやLGBTQを尊重した人材を活用することは、一企業の雇用の安定にとどまらず、多様性(ダイバーシティ)のある社会の実現にもつながります。

このように長期的な視点に立った考え方を取り入れた企業経営を、サステナビリティ経営と呼びます。

具体例1(H&M)

ファストファッションのH&Mを例に挙げると、H&Mでは古着を回収しその状態によって再利用されます。

着用可能なものは古着として販売、着用できないものはリメイクや清掃用品として再利用、その他のすべての衣類は織物繊維に細かく裁断され断熱材に使用するなど、ごみを出さず地球環境に負荷をかけない工夫がなされています。

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具体例2(Panasonic)

SDGsの具体的な取り組み例としては、Panasonic社の取り組みが挙げられます。

Panasonic社が販売しているマイボトルがしっかりと洗える食洗器は、ボトルの底まできちんと洗うことができるため、安心してマイボトルを利用することができます。

このように衛生的に洗浄されたマイボトルを使用することで、ペットボトルなどのプラスチックごみを削減し海の豊かさを守ることができます。

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まとめ

SDGsを理解し実行に移すためには、さまざまな用語を正しく理解する必要があります。

ここでは、SDGsに関連して良く使用される用語について解説してきました。

これらの用語の意味をしっかりと理解して、SDGsとの関連を把握しSDGsの目標達成に役立てましょう。

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