最近、企業も積極的に取り組むようになった「SDGs」。
2021年7月にブランド総合研究所は、『企業版SDGs調査2021』を実施。その結果をもとに「SDGsの取り組みの評価が高い企業ランキング」を発表しました。
昨年度と比較してみると、20位以内にコンビニやスーパーなど小売企業がランクインしていることが明らかになったのです。
けれども、「どうしてコンビニやスーパーの評価が高いのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ランキング上位にランクインしたコンビニやスーパーのSDGsの取り組みを紹介します。さらに企業がSDGsに取り組むメリットについても解説していきます。
馴染みのある店でも意外と知られていないSDGsの取り組みもあるので、ぜひ最後までお読みください。
コンビニやスーパーマーケットがSDGsに取り組む3大メリット
どうして、コンビニやスーパーマーケットは積極的に SDGsに取り組んでいるのでしょうか。実は取り組むことで得られるメリットが大きいからです。
今回はその3つのメリットを紹介します。
①消費者からのイメージアップ
SDGsに取り組む企業の好感度が高くなります。
年々、消費者の環境意識が高まっているのが大きな理由です。SDGsをよく知っている消費者ほど、買い物をする時に「その企業がどれだけSDGsに貢献しているのか」を考えるようになっています。
つまり「安いから」ではなく、「未来のことを考えているかどうか」という新しい選択肢を持つ消費者が増えています。
②売上アップ
SDGsに取り組むことは、企業の売上にもつながります。なぜなら、環境意識の高い消費者の市場を獲得できるからです。
環境省もSDGsの貢献のために、社会的な問題解決に貢献できるような消費をすることを呼びかけています。今後は、社会や環境への配慮が高い商品へのニーズが高まると予想されます。
消費者の意識が「より安いもの」から「より良いもの」へ変わっているからこそ、SDGs関連商品やサービスは、持続可能な経営の鍵になってくるのではないでしょうか。
③ 投資
SDGsの取り組みは投資家からの信頼性が高まります。
最近ではSDGsについての認知度が高い人ほど投資に積極的であるといわれています。売上だけでなく、資金調達にも大きな利点があります。
このように、消費者がよく買い物で利用するコンビニやスーパーにとって、SDGsに取り組むメリットは大きいと言えるのではないでしょうか。
企業が重視!SDGsの3つの調和
では、企業はSDGsに取り組む上で、どのようなことを重視しているのでしょうか。
SDGsの評価が高かった企業は「経済」「社会」「環境」の3つの調和を重視しているということが明らかになりました。
具体的に説明すると、企業は経済成長をしながら環境や社会を守っていくことを大切にしています。
かつては経済成長するために、「大量生産大量消費」が当たり前。しかし大量に生産することで大量のエネルギーを消費します。価格競争が生まれることで、低賃金で働く労働者を生み出します。さらに売れ残る可能性も高くなると、ゴミも増やしてしまいますよね。
このようなサイクルが続けば、環境への負荷はどんどん増大する一方です。そのため、多くの企業は「大量生産大量消費」をして売上を伸ばそうとはしていません。
環境や社会を守ることを重視しながら上を伸ばしていくことを軸にしています。
企業も持続可能な社会を実現するために、責任ある生産をしようと努めているのではないでしょうか。
意外と知らない!大手企業の取り組み
コンビニやスーパーマーケットで買い物はよくしますよね。けれども、実際にどのような取り組みをしているのかはよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、身近にある大手企業のSDGsの取り組みを紹介します。意外と知られていないものもあるので、きっと発見があるはずです。
イオングループ
イオンモールやまいばすけっとなどで、買い物をする方も多いのではないでしょうか。
①環境に優しい「グリーンアイ」
イオンは、「グリーンアイ」というプライベートブランド商品を販売しています。この商品は。体に優しいだけではなく、環境や社会に配慮した商品であることを表しています。
特に「グリーンアイ・オーガニック」では、原料を有機栽培のものにこだわっています。自然の力で健康的な体を作ることをモットーにしている商品です。
有機栽培は最低限の農薬や化学肥料を使っているため、環境保護にも役立ちます。 安心安全でおいしいだけではなく、環境にもやさしい商品は消費者にとっても嬉しいですよね。
② 100%地産地消の再生エネルギー
イオンは「脱炭素社会」の実現に向けて、太陽光発電など再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組んでいます。2040年までに直営モールで「100%地産地消の再生可能エネルギー」にすることを掲げています。
施設内で使用されている電力が全て二酸化炭素を排出しない電力であることが実現すれば、SDGs目標「13.気候変動に具体的な対策を」への大きな貢献になるのではないでしょうか。
参照|イオン|https://www.aeon.info/ef/approach_SDGs/
セブン&アイホールディングスグループ
セブンイレブンでは、消費者にとっての利便性を生かしながら、SDGsの取り組みをしています。
①環境を守る商品開発
2019年5月に環境宣言「グリーンチェンジ2050」を定めています。全国にある店舗で、環境への負担を減らし、豊かな地球環境を未来に残していこうという取り組みです。
例えば、食品ロスを削減するために食品廃棄物を出さないように努力をしています。素材や製造過程などを見直すことで、商品のクオリティを保ったまま、従来よりも長い賞味期限のお弁当を開発しました。
さらに、パンやお惣菜についても鮮度が長持ちする商品を開発することで、食品ロスの減少に努めています。
消費者にとっても買った食べ物を無駄にしなくて済むので、メリットが大きいですよね。環境や社会問題の解決にセブンイレブンの最新技術が活用されていました。
② 近くて便利な防災対策
各自治体とパートナーシップを築いて、「地域の防災」に積極的に取り組んでいます。大きな災害が発生した場合には、必要な物資を被災地へ届けられるような体制を整えています。
現在では、37都道府県と28市町村の物資供給の協定を結んでいるそうです。
また NTT東日本と協力して、東京23区の店舗に災害用電話機も設置。災害が発生した時でも、無料で安否確認できるのは、とても心強いですよね。
ローソン
ローソンは地球に優しい生活を提案するために「ホットやさしいプロジェクト」に取り組んでいます。
①プラスチックを減らす活動
日本国内のプラスチック廃棄物「903万トン」を少しでも減らすために、プラスチック削減の活動に尽力しています。
例えば、プラスチック製の包装容器をエコな素材に変更。オリジナルブランドのお菓子をプラスチック製から紙製に変更したり、自然由来の素材に変更したりしています。
2050年にはオリジナル商品を「環境に配慮した素材を100%にする」という目標を掲げています。
さらにマチカフェのアイスコーヒーカップを紙素材に変更。アイスコーヒーといえばストローがついているイメージがありますが、ローソンのアイスコーヒーはストローを使用しないで飲めるフタに変更しました。
②環境配慮のコンビニへ
全国各地に環境に優しい新店舗をオープンしています。
例えば「太陽光発電」や「LED照明」を導入。また二酸化炭素の排出量を半減できる冷凍・冷蔵システムも取り入れています。
商品だけではなく、販売する店舗自体も環境に優しいものに変えていく取り組みを続けていました。
このように、企業はそれぞれの強みを生かして環境や社会に優しい商品や店舗づくりをしています。これはどれも目標「12.つくる責任つかう責任」を果たしているといえるのではないでしょうか。
個人でできること!買い物3ステップ!
身近にあるコンビニやスーパーマーケットがSDGsの取り組みをしていることがよくわかりました。
では、個人でできることはどのようなことなのでしょうか。今回は簡単にできる3ステップでまとめました。
ステップ①知る
まずは身近にある商品が環境や社会に優しいのかを知りましょう。
今回のように、それぞれの企業がどのような取り組みをしているのかを知ることも、立派な社会貢献。 SDGsの取り組みに対して、アンテナを張ることで意外と自分の生活と密接していることに気付くのではないでしょうか。
ステップ②買う
買い物をする時に値段だけではなく、その商品が環境や社会に配慮しているのかを考えながら買うことも大切です。
持続可能な社会を作るためには消費者の責任ある選択が必要不可欠。
買うもの全て意識するのは難しいかもしれませんが、コンビニに行くときはSDGsを気にかけてみるなど、自分ができることから始めてみてはいかがでしょうか。
ステップ③発信する
最後は発信することです。
まだ日本では、SDGsの具体的な取り組みを知る人は多くありません。そのため、自分が買ったものや体験したことを、友達やSNSで発信することは大切な行動です。
SDGsの目標「17.パートナーシップで目標を達成しよう」という目標があるように、協力の輪を広がっていくことが達成の近道です。
ぜひ自分が体験したことを誰かに伝えてみてください。
まとめ
今回は、SDGs評価が高かったコンビニやスーパーマーケットの事例を紹介しました。
毎日見かけるような店でも意外と知らなかった取り組みや商品があったという方も多いのではないでしょうか。
近年では少しずつ企業の SDGs への取り組みが積極的になっています。企業が「つくる責任」を果たしているように、消費者も責任をもった買い物に努めるべきではないでしょうか。
環境や社会にどのような繋がりがあるのかを考えながら買い物もぜひ楽しんでください。