レジ袋が有料化になるなど、「待ったなし!」の気候危機対策が求められています。とはいえ、何か行動を起こさなくてはならないと分かっていても、具体的な行動に移せない人も少なくないでしょう。
自分たちができる身近な行動の例として、ワインの蓋に使われるコルク栓を捨てずに再生することが挙げられます。とても簡単なことですが、コルクの再生に協力するだけでも地球を守ることができます。そこで今回は、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)17の項目のうちの4つの項目を満たしている再生コルクについてご紹介します。
コルクは環境にとことん優しい自然素材
そもそもコルクは、コルク樫(がし)から採取した樹皮から作られます。コルク樫は、直径約1.5mで高さ18mにもなり、雨が少なく温暖な気候で、空気の乾燥した地域に生息しています。主な群生地は、ポルトガルやスペインなどの地中海沿岸地域で、世界全体で生産されているコルクの約50%はポルトガル産です。
コルク樫は生命力が強く、寿命は150年から250年ほど。さらに約9年ごとに再生するので、生涯に約12回から18回ほど樹皮を採取することができます。伐採することなく、資源をくり返し採取できるコルク樫は、森の生態系を壊すことのない優秀な森林資源です。
またコルク樫は、地球の温暖化を引き起こす主な原因とされている二酸化炭素を、通常の樹木の3〜5倍も吸収してくれます。さらに、地滑りや森林火災など防ぎ、地球の砂漠化を食い止めるなど、多岐に渡って役立っています。
コルク樫から作られたコルクも負けずに万能です。コルクは空気のように軽く、断熱性、遮音性、耐水性に優れ、抗菌性もあります。
そしてなんといっても、コルクは100%リサイクル可能な素材です。端材や切り屑まで、無駄になるところがありません。つまり、コルクは一度役目を終えてもリサイクルすれば再度生まれ変われることが可能です。
日本におけるコルク再生の現状
コルク樫は優秀な自然素材ですが、残念ながら湿度の高い日本では栽培ができません。
そのため、日本は外国からの輸入に頼っています。
私たちの身近でコルクが主に使われている製品といえば、ワインのコルク栓です。しかし、ワインやシャンパンを消費したあとのコルク栓のほとんどは、ゴミとして焼却処分されているのが現状です。
コルクをゴミとして焼却すれば、二酸化炭素が排出され、温暖化と環境汚染が進んでしまいます。再生可能なコルクをリサイクルしないのはもったいない限りだとは思いませんか?
コルクの再生ってどうやるの?
日本ではコルクを作り出せないからこそ、循環型の資源として再生させることが重要です。ここでは、そんなコルクを再生する活動を行っている「TOKYO CORK PROJECT」をご紹介します。
2010年に始動した「TOKYO CORK PROJECT」は、レストランなどで消費されたワインのコルク栓を回収して、再生する活動をしています。そして、単純にコルクを元の姿に戻すリサイクルではなく、違った姿で生まれ変わらせる「アップサイクル」した製品を作り出しているのです。
コルク再生の工程は、下記の通りです。
- 飲食店などからコルク栓を回収する
- 回収されたコルク栓を障害者施設へ送る
- シャンパンの金具やプラスチック製のワイン栓など再生できないものを取り除き、選別・洗浄する
- コルクメーカーで金属探知、粉砕、圧縮、加工し、ブロックやシート状に加工する
- コルク素材として再生完了
- 新たな製品として生まれ変わる
新たな製品として生まれ変わったコルクがまた再生されれば、資源が循環され、強いては地球を守ることにもつながります。
コルクの再生がどうしてSDGsの貢献になるの?
こうして再生されたコルクは、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)17の項目のうち4つの項目を満たします。
- 目標8:働きがいも経済成長も
- 目標12:つくる責任 つかう責任
- 目標13:気候変動に具体的な対策を
- 目標15:陸の豊かさを守ろう
この章では、どうしてコルクの再生がSDGsの貢献になるのかについて説明します。
働く人に優しい環境を提供する
回収されたコルク栓を障害者施設に送ることで、障害のある人たちに「働きがいのある人間らしい仕事」と、「安全に働ける場所や環境」を提供しています。
責任をもって作り、責任をもって使う
コルク栓を再生させることは、ごみの発生量を減らすことにもつながります。コルクを捨てないで再生することは、地球を救う手段のひとつです。
資源を循環させる
コルク樫は、環境破壊を食い止める役割があります。コルク栓の再生はごみを減らして、資源を循環させることができます。
環境を破壊しない
コルク樫は何度も再生されます。伐採されることなく、資源を何度も採取できることはコルク樫の素晴らしい長所です。
コルク回収BOXはどこにある?
では、コルクの回収BOXはどこにあるのでしょうか?まだまだ東京都内が中心ですが、設置個所は全国に広がっています。ちなみに、あなたのお気に入りのお店に回収BOXの設置を提案することも可能です。
また、その他にも使用済みのコルクを回収してくれる団体もあります。コロナの影響で受け入れを制限しているところもありますが、ご自宅などで取っておいたコルクがまとまった量になったら問い合わせてみるのも良いですね。
まとめ
「ワインを飲んだら、コルクは捨てない!」小さなことを積み重ねていくことが、地球を守ることにつながります。とはいえ、飲みすぎにはご注意くださいね。