代替卵は危険?海外と日本の企業事例も紹介!

大豆ミートやアーモンドミルクなど、動物性原料を使用しないプラントベースの食材がますます増えています。これは環境意識や健康意識の向上が大きな理由といえるでしょう。

実は最近、代替卵が注目を浴びているのです。とはいえ、代替卵はまだ知名度が低いため、危険ではないのかという心配の声も上がっているようです。

この記事では代替卵の特徴について解説します。さらに海外と日本の企業事例もまとめました。食の多様化に大きく貢献する代替卵の魅力をみていきましょう。

代替卵とは

代替卵とは、大豆やえんどう豆など植物性由来の原料から作られた卵の代用品です。卵の風味や食感、見た目などを再現しています。

混ぜて使う液体や粉状のものや、スクランブルエッグやオムレツのような見た目をした代替卵など、さまざま形があります。

これまではヴィーガンやアレルギーがある方に向けて開発されていました。しかし、近年では卵の価格高騰における対策や安定した食糧生産のために注目されるようになったのです。環境意識や健康意識が高まる中、代替卵の価値は上がっていくのではないでしょうか。

代替卵の危険性について

とはいえ、目新しい食材であるため「代替卵は危険ではないのか」という声も上がっていました。本当に代替卵は危険なのでしょうか。

結論からお伝えすると、代替卵の危険性は低いといえます。その理由は代替卵の原料にあります。

たとえば、キユーピーが販売している「HOBOTAMA」をみてみましょう。

原料は豆乳加工品(国内製造)、植物油脂、食塩、野菜エキスパウダー、酵母エキスパウダー/トレハロース、加工でん粉、ゲル化剤、乳酸カルシウム、カロチノイド色素、増粘多糖類、(一部に大豆を含む)です。

食品添加物は入っていますが、危険性が高い食品添加物は含まれていません。食の安全性に厳しい「生活クラブ生協」があげている要注意の食品添加物は以下の通りでした。

  • 亜硝酸ナトリウム
  • 甘味料 アスパルテーム
  • 安息香酸ナトリウム
  • カラメル色素
  • 加工デンプン
  • グリシン
  • 酵素
  • コチニール色素
  • タール系色素
  • ナイシン
  •  防かび剤
  • リン酸塩、重合リン酸塩

引用:生活クラブ生協(PDF)

一覧をみると、加工デンプンが含まれていることが分かります。しかし、他の危険な食品添加物とちがって、加工デンプンの使用を生協でも禁止しているわけではありませんでした。

以上の理由から、代替卵には食品添加物が含まれているものの、危険性は低いといえます。

参照:キユーピー

代替卵のメリット

では、代替卵にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット1:安定した食糧生産

代替卵は安定した食糧生産に役立つといえます。卵の価格高騰からわかるように、鶏卵の場合は鳥インフルエンザなどによる予測できない影響を受けてしまいます。人間の都合で多くのニワトリの命を奪っているともいえるでしょう。

一方、代替卵は大豆やえんどう豆のような植物由来の原料から製造されています。動物の命を奪うことなく、安定した生産を実現できるのです。

メリット2:環境負荷が少ない

代替卵の生産は、卵の生産よりも環境負荷が少ないです。この二つを比較すると、

  • 水の消費量は93%カット
  • 使用する土地は92%カット
  • エネルギーの消費量は93%カット
  • 温室効果ガスの排出量は59%カット

ともいわれています。

気候変動対策としても代替卵は期待されるといえるでしょう。

参照サイト

メリット3:卵が食べられない人も楽しめる

代替卵の多くは卵を使用していません。また動物性由来の原料を使用せず、植物性原料のみを使っている場合も多いです。

そのため、これまではアレルギーやヴィーガンなど何らかの理由で卵を食べることができなかった人も、卵のような味を楽しめるのです。多様な食生活に対応したプラントベースの食材であるといえるでしょう。

メリット4:市場拡大の可能性がある

GoodFoodInstitute(GFI)によると、代替卵の市場拡大が見込まれています。プラントベースにおける市場規模ではまだ小さいですが、ここ数年でこの2年で売上高が最も急速に伸びている分野だそうです。

日本でもプラントベースのミルクや肉は普及し始めましたが、代替卵はまだ認知度が低いといえます。だからこそ、ビジネスチャンスがまだあるといえるのではないでしょうか。

参照:GoodFoodInstitute

海外の企業事例

では、実際にどのような代替卵があるのでしょうか。世界ではさまざまなスタートアップが代替卵の開発に注力しています。まずは、海外の事例をまとめました。

①アメリカ:JUST

「JUSTEgg」はアメリカのJUSTが開発しました。もやしの種となる豆である緑豆をベースにしてつくられています。

こちらはリキッドタイプです。炒めたり、焼いたりするだけでさまざまな卵風料理が出来上がります。

  • オムレツ
  • エッグベネディクト
  • キッシュ
  • チャーハン
  • 卵焼き

さらに、お菓子のつなぎとしても使えるので、パンケーキやワッフルも代替卵でつくれます。卵を使わずにさまざまな料理を楽しめるのが大きな魅力といえるでしょう。

参照:JUST

②イスラエル:ZeroEgg

イスラエルのZeroEggも代替卵の商品開発に成功。2020年に約5億2千万円の資金調達をして話題になりました。人、地球、鶏にやさしい商品づくりを目指しています。

「EGGBasics」と「BAKEBasics」は大豆、ひよこ豆、じゃがいもなどのタンパク質を組み合わせた商品です。とくに粉末状の「BAKEBasics」は、マフィンやクッキーなど焼き菓子作りに最適といわれています。

参照:ZeroEgg

③イギリス:crackd

「TheNoEggEgg」はイギリスで生まれました。ボトルに液体の代替卵が入っています。えんどう豆のタンパク質をベースにつくられているそうです。

パンケーキやドーナツなどの焼き菓子はもちろん、スクランブルエッグやキッシュなどの料理にも使えます。

植物性原料から代替卵をつくるという簡単ではない開発に取り組み続けた結果、2023年にプロダクトオブザイヤーも受賞しました。

参照:crackd

日本の企業事例

では、日本ではどのような代替卵が開発されているのでしょうか。

①キユーピー

キユーピーは「HOBOTAMA」というスクランブルエッグ風の商品を開発。多様化する食生活の力になりたいという思いから生まれました。

豆乳加工品をベースに、大部分を植物由来の原材料でつくっています。まるでプロが作ったような半熟感と鮮やかな色合いが特徴です。そのままでも食べられますが、ハンバーガーやサンドイッチなどにアレンジできます。

今後は飲食店やホテル、給食などにも提案していくことを計画しているそうです。

参照:キユーピー|HOBOTAMA

②カゴメと2foods

カゴメと2foodsは独自技術である「野菜半熟化製法」を使って「EverEgg(エバーエッグ)」を開発しました。

2foodsは、地球の未来・人の健康のために「ヘルシージャンクフード」を追求している会社です。プラントベースの商品作りに尽力しています。

EverEggは白インゲンとニンジンがベースです。大豆を使用しないことで圧倒的なふわとろ食感が実現しました。

動物性原料不使用、グルテンフリー、コレステロールフリーのため、ヘルシー食材ともいえるでしょう。

参照:カゴメ

参照:2foods

おわりに

今回は代替卵について紹介しました。環境意識や健康意識が高まる中、プラントベースの食材はますます注目を集めています。

大豆ミートのような代替え肉ほどの知名度はありませんが、

  • 安定した食料生産が実現できる
  • 環境の負荷が少ない
  • 多様な食生活に対応できる
  • 市場拡大の可能性がある

などのメリットがある代替卵は今後さらに普及していくのではないでしょうか。持続可能な社会の実現に向けて、卵の選択肢もこれから広がるかもしれません。

個人でできることは代替卵を選ぶことです。消費者として代替卵の安全性をしっかり理解した上で、メニューに取り入れていくことが未来のためにできる行動であるといえるでしょう。

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