地熱発電でクリーンな電気を作る

SDGsの7番目の目標である「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を実現させるためには、資源が枯渇することがなくなおかつ二酸化炭素などの地球温暖化ガスを排出しない、クリーンなエネルギーを利用して電気などのエネルギーを生み出す必要があります。

このようなエネルギー資源として火山大国日本で現在注目されているのが、地熱発電です。
地熱発電は、主に地下のマグマによる地熱を利用して行う発電です。

ここでは、地熱発電の仕組みやメリット・デメリットなどについて解説していきます。

地熱発電とその仕組みとは

地熱発電は、地下のマグマが発する熱エネルギーを利用して行う発電方法です。

地上で降った雨が地下の高温のマグマ層まで浸透すると、マグマの熱で水蒸気になり地下1000mから3000m付近に溜まります。
この高温の水蒸気を井戸などを掘って取り出し、タービンを回すことで発電を行うのが地熱発電の一般的な仕組みです。

地熱発電を行う方法には、フラッシュ発電とバイナリー発電があります。
ここでは、それぞれの発電方法に仕組みについて解説していきます。

フラッシュ発電の仕組み

フラッシュ発電は、地下から200℃以上の高温の熱水をくみ上げることができる場合に適した発電方法です。
地下の熱水が溜まっている層から鋼管杭で蒸気を取り出し、その蒸気を利用してタービンを回転させ発電を行います。
フラッシュ発電に使われた後の水蒸気は、冷却塔で冷やして水にします。
その後冷却した水を地下に戻すのですが、そのために掘る井戸を還元井といい、最初に高温の熱水を取り出すための井戸を生産井といいます。

バイナリー発電の仕組み

バイナリー発電では、すでにある温泉の熱や温泉水、温泉井戸などを活用して発電を行う方式なので、新たに掘削を行ったり還元井を掘ったりする必要がありません。
新たな掘削などの作業を必要としないため、環境にやさしい発電方法であると言えると同時に、まだまだ導入の余地がある発電方式です。
地下からくみ上げられる熱水の温度も、100℃が目安になるため、既存の温泉施設などに発電施設を追加で建設して発電を行うことも可能です。
汲み上げた熱水よりも沸点が低い有機媒体を熱水で温めて蒸気化し、タービンを回転することで発電を行う方法です。

地熱発電のほとんどは小規模なものが多い

火山大国である日本ですが、建設されている地熱発電施設のほとんどは小規模なものです。

その理由は、小規模なバイナリー方式の発電施設であれば熱源を新たにするために、温泉や既設発電所などの未利用熱を新たに利用して地熱発電設備を作ることができるため、低コストで電力を供給することができるためです。

特に温泉の熱源を利用した地熱発電設備で行う地熱発電は温泉発電と呼ばれ、その件数は近年増加傾向にあります。
この温泉発電は小規模なものですが、温泉事業者や熱水供給事業者、自治体などが推進主体となることからも分かるように、社会的受容性が高くなっています。

その理由は、新規掘削を行わないことから周辺の環境を変えてしまう可能性が極めて低いためです。
また、既存の地熱発電所の未利用抗井からの水蒸気や熱気、還元熱水を利用した発電も行われていますが、これらも温泉発電と同じく小規模なものとなっています。

地熱を利用して発電するメリット

地熱と利用して発電を行うメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、地熱発電のメリットについて解説していきます。

安定した発電量を確保できる

地熱発電は太陽光や風力を利用した発電方法と異なり、昼夜・天候を問わず発電を行えるので、安定的に電力の供給を行うことができます。
また、地熱発電は地下のマグマの熱を使用して発電を行うため、資源が枯渇してしまう心配もありません。

日本は環太平洋火山帯に位置しているため、世界的にも豊富な地熱資源を所有しているため、今後も地熱発電の導入を行うことができます。
また地熱は日本国内のものを利用できることから、世界情勢の変化などにより電気料金が変動することもありません。

二酸化炭素の排出量が少ない

地熱発電は、二酸化炭素などの地球温暖化ガスをほとんど排出せず環境負荷が少ないというメリットがあります。

資源エネルギー庁の調査によると、kWhあたりの二酸化炭素排出量は、石炭火力発電が943g、石油火力発電が738g、太陽光発電が38g、風力発電が26gであるのに対して、地熱発電は13gとなっており、他の発電方法と比較しても排出する二酸化炭素の量は圧倒的に少なくなっています。

参考:【2-1-9】各種電源別のライフサイクルCO₂排出量 | エネ百科|きみと未来と。 (ene100.jp)

使用した蒸気や熱水の再利用ができる

地熱発電で利用した蒸気や熱水は、そのまま自然に返すことなく再利用することも可能です。
農業用の温水や魚の養魚場、施設の暖房などに再利用する発電施設も増加してきています。

地熱発電のデメリット

ここまで、地熱発電のメリットについて解説してきましたが、当然のことながら地熱発電にはデメリットもあります。
ここでは、地熱発電のデメリットについて解説していきます。

自然や地域産業を破壊してしまう可能性がある

地熱発電の熱源となる土地は国立公園や温泉地帯に多くあり、そのような場所は観光地となっていることがほとんどです。
そのような場所に地熱発電設備を建設すると、自然の景観を破壊したり温泉旅館などの地域産業に影響を及ぼしたりする可能性があります。

さらに国立公園の場合には、法律によって開発が制限されているため、より地熱発電設備の建設が困難になります。

温泉地であれば、その土地に住んでいたり仕事をしていたりする人の理解を得ることが必要になるため、大規模な地熱発電設備を設置することは非常に困難です。

騒音や振動が問題になる可能性もある

地熱発電設備を建設する際には、生産井や還元井を掘るために大規模なボーリング工事をはじめとしたさまざまな作業工程が必要になります。
このような作業を行う際にはかなり大きな騒音や振動が発生するため、近隣への影響が非常に大きくなり、トラブルのもととなることも考えられます。

発電設備を開発するためのコストが高額である

地熱発電を行うと非常に低コストで電力を生み出すことができますが、地熱発電設備を設置するための現地調査や開発には非常に長い時間と高いコストがかかってしまいます。

また開発を行っても噴出する蒸気の状態によっては、必ずしも想定した発電量になるとは限りません。
そのため、他の再生可能エネルギーと比較した場合に不確実性というリスクが伴います。

まとめ

ここまで、地熱を用いて発電を行う際の方法や仕組み、メリットとデメリットについて解説してきました。

地熱発電によって発電された電力は、安価で安定的に供給することができる優れた再生可能エネルギーですが、開発を行う際に景観や地域の産業を破壊してしまうというデメリットもあることがお分かりいただけたと思います。
また、地熱発電設備の設置を行う前の調査に長い時間と高額な費用が必要な点もデメリットのひとつです。

しかし、すでにある温泉を利用してバイナリー方式で地熱発電を行う小規模な地熱発電設備は、温泉地が多い東北や九州で増えてきており、ホテルや温泉旅館などの電力を賄う例も多くなってきました。

地熱発電は、開発にかかる時間の短縮やコスト削減のための技術開発が今後の課題となっています。

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