再生可能エネルギー普及のための日本の取り組み~エネルギーをみんなにそしてクリーンに

SDGsとはSustainable Development Goalsを略したもので、日本語で表すと「持続可能な開発目標」となります。
このSDGsは17の目標(ゴール)と169のターゲットから構成されており、地球上の誰一人取り残さないということをテーマとして、日本をはじめとした世界の国々が目標達成に向けて努力を重ねています。

このSDGsの7つ目の目標に、「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」というものがあります。
日本のほとんどの地域には電気が行き渡っているため、日本国内においては「エネルギーをみんなに」の部分は達成されていると言っても良いでしょう。
しかし「そしてクリーンに」の部分に関しては、まだまだ努力すべき点が多いというのが日本の現状です。

ここでは、クリーンなエネルギーである再生可能エネルギーと、日本が抱える再生可能エネルギー普及に向けた課題などについて解説していきます。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは二酸化炭素などの地球温暖化ガスを排出せず、地熱や風力など自然界の常に存在し、枯渇することが無いエネルギーのことを言います。

再生可能エネルギーは、埋蔵量に限りがある石油や石炭などの化石燃料と異なり、一度利用しても比較的短時間で再生し、資源が枯渇することなく繰り返し利用できるエネルギーのことです。

このような再生可能エネルギーのことを、クリーンエネルギーと呼びます。

なぜ今再生可能エネルギーの普及が急がれるのか

現在日本では、再生可能エネルギーの普及が急がれています。
その理由は、エネルギーの安定的な確保と二酸化炭素などの地球温暖化ガスの削減にあります。

日本は島国であるため、地続きのEUの国々などと異なり他国から電力を輸入することができません。
さらに日本は石油や石炭などのエネルギー資源が乏しく、エネルギー資源となる化石燃料のほとんどを海外からの輸入に頼っています。
このような状況では、世界情勢の変化に伴ってエネルギー資源の輸入が滞り電力などが不足してしまう可能性があるため、なるべく早く自国で生産できる再生可能エネルギーを普及させ、安定的にエネルギーを供給できる体制を構築する必要があります。

また温室効果ガスの排出量削減のためにも、化石燃料から二酸化炭素などの地球温暖化ガスを排出しない再生可能エネルギーへのシフトが急がれています。

日本における再生可能エネルギー普及の現状と課題

2017年の時点で、日本の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率は約16%にとどまっており、イギリスやドイツなどの諸外国と比較すると非常に低い水準にあります。

日本が抱える再生可能エネルギーの今後の課題は、発電コストの低減と再生可能エネルギーを長期的かつ安定的に電力として利用するための制度の改革や技術の進歩です。

日本が今後再生可能エネルギーを急速に普及させるためには、この2つの課題を解決する必要があります。

再生可能エネルギーが普及することによって得られるメリット

再生可能エネルギーが普及することによって得られるメリットには多くのものがありますが、ここではその中でも最も重要な2つについて解説していきます。

二酸化炭素排出量の削減

再生可能エネルギーを利用するメリットには、二酸化炭素などの地球温暖化ガスを排出しない再生可能エネルギーを利用することで地球温暖化を緩やかにし、やがてはストップさせることができるということがあります。

地球温暖化が進むと地球の生態系に影響を及ぼし畜産物が上手く育たなくなったり、農業・漁業に深刻な影響を及ぼしたりすることが考えられるため、やがて地球上で食糧不足が起こると懸念されています。

このような事態を防ぐためには、再生可能エネルギーの利用率を高め地球温暖化ガスの排出量を削減していく必要があります。

エネルギー自給率の向上

ふたつ目のメリットは、エネルギーを自給自足できるようになるということです。

日本は島国であり、エネルギー資源を海外からの輸入に頼っていることは前述しました。
しかし再生可能エネルギーを普及させエネルギーを自給自足することで、日本国内に安定的に電力を供給することができるようになります。

再生可能エネルギー普及・利用の企業の取り組み事例

ここでは、再生可能エネルギーに対する企業の取り組み事例を紹介していきます。

東急不動産株式会社

東急不動産株式会社は、2014年から地球温暖化防止のための再生可能エネルギー事業への取り組みをはじめました。

地域の理解を得ながら大規模な開発を進めてきたノウハウを生かし、全国各地で太陽光や風力を利用した発電施設を開発しています。

また、保有するすべてのオフィスビルと商業施設において、入居者の使用電力も含め2022年にすべて再生可能エネルギーへ切り替えるという取り組みも行っています。

花王

花王では日本国内における再生可能エネルギーの普及のための取り組みとして、酒田工場に花王グループ最大規模である2845kWの太陽光発電設備を設置しているのをはじめ、すみだ、栃木、豊橋、愛媛、和歌山、川崎の7つの工場と、すみだ北口ロジスティクスセンター及び厚木口ロジクスセンターの2つの物流拠点にも、太陽光発電設備を導入しています。

海外の各生産拠点や事務所などにも太陽光発電設備を導入しており、2022年6月1日時点での花王グループの太陽光発電設備の容量は、合計で約8.8MWとなっています。

花王グループでは自社の工場などに太陽光発電設備を導入する以外に、再生可能エネルギー由来の電力を積極的に購入することで、発電時の二酸化炭素削減に貢献しています。

大和ハウス株式会社

大和ハウス株式会社では、「船橋塚田プロジェクト(船橋グランオアシス)」という再生可能エネルギー100%のまちづくりを行っています。

このプロジェクトの概要は、千葉県の船橋市の開発地の北部に分譲マンション街区と賃貸街区、南西側に戸建て分譲住宅街区、南側に商業施設街区の設置を計画した大規模複合プロジェクトです。

このプロジェクトでは、ダイワハウス株式会社の環境エネルギー事業本部などを通じて、この戸建て住宅や分譲マンション、賃貸住宅の入居者が利用する電気はもちろんのこと共有部の街灯に至るまで、再生可能エネルギー由来の電気を使用します。

このプロジェクトにおける二酸化炭素の削減効果としては、一般的な建物の1年間の二酸化炭素排出量が2,934.9t-CO2であるのに対して、このプロジェクトで建築される建物では750.5t-CO2となり、74.4%の削減効果が期待できます。

協和キリン株式会社

協和キリン株式会社では、2009年度から順次営業車両を現在の低排出ガス認定車からより燃費性能が高いハイブリットカーへの切り替えを進めており、営業活動における燃料の消費を抑えるとともに、二酸化炭素削減のための取り組みを行っています。

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まとめ

ここまで再生可能エネルギー、いわゆるクリーンエネルギー普及のための日本の課題やこれを普及させることで得られるメリット、日本国内の企業の取り組み事例などについて解説してきました。

再生可能エネルギーを普及させる取り組みはすでに始まっており、それによって得られるメリットは日本国内にとどまらず地球全体の環境にも及ぶことがお分かりいただけたと思います。

今後日本でも再生可能エネルギーの普及を加速させる必要がありますが、そのために今ある課題を解決するための新たな制度や技術の革新が待たれます。

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