「節電」という言葉をよく目にするようになり数が月経ちました。
電力の供給が問題になっている今だからこそ、注目すべきなのが「再生可能エネルギー」です。
とはいうものの、「再生可能エネルギーとは?」「どんな取り組みがあるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、再生可能エネルギーをSDGsの視点から解説します。日本政府、自治体、企業それぞれの取り組みも紹介しています。
再生可能エネルギーとは?
再生可能エネルギーとは、二酸化炭素を排出せずに活用できる自然由来のエネルギーです。太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどがあげられます。
気候変動対策としてカーボンニュートラルが推進されているからこそ、再生可能エネルギーへの期待は年々高まっています。
SDGsの7つ目の目標である「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を達成するためには、二酸化炭素などの温暖化ガスを排出しない再生可能エネルギーの利用が大きな役割を果たします。二酸化炭素の排出量を実質的にゼロにすることを「カーボンニュー[…]
再生可能エネルギーがSDGsに貢献する理由
再生可能エネルギーには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。実は、再生可能エネルギーの普及はSDGsの達成に大きく貢献すると言われています。
①SDGs目標「7.エネルギーをみんなに」
これは、すべての人が、安くて安全にエネルギーが持続的に利用できることを目指した目標です。ターゲットの中には、「2030年までにエネルギーを作る方法のうち、再生可能エネルギーの割合を増やすこと」が明記されています。
②SDGs目標「13気候変動に具体的な対策を」
気候変動から地球を守るために、今すぐ行動を起こすことを目指した目標です。
こちらには、気候変動への対応をそれぞれの国が、政策や戦略、計画に入れることを明記されています。つまり、日本政府や企業が再生可能エネルギーを普及させることが、SDGsの目標達成につながるのです。
つまり、SDGsの目標達成には、再生可能エネルギーは欠かせないといえます。
日本政府の取り組み
日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を行いました。その中の取り組みの一つが「太陽光発電の普及」です。
環境省は、民間企業や地方自治体、個人が、屋根や駐車場に太陽光発電を設置し、その電力を建物内で消費する、いわゆる「自家消費型の太陽光発電」を推進しています。
自分でエネルギーを生産・消費をすることで、以下の効果が期待できます。
- 自動的にCO2削減ができる
- 電気料金の節約ができる
- 停電時にも一定の電力使用ができる(防災性の向上につながる)
けれども、太陽光発電設備を導入するのは手間も費用もかかりそうと思った方も多いのではないでしょうか。実は、政府は「初期費用ゼロ」の支援を実施しています。
太陽光発電の導入支援は2種類に分けられます。
①オンラインPPAモデル
- 発電事業者が需要家の敷地内に太陽光発電設備を発電事業者の費用により設置
- 所有維持管理をした上で発電設備から発電された電気を需要家に供給する
- 「第三者所有モデル」とも言われる
② リースモデル
- リース事業者が需要家の敷地内に太陽光発電を設置
- 維持管理を行う代わりに需要家がリース業者に対して月々の利用料金を支払う
- 発電した電気はすべて需要のものになる
- 自家消費して余った電力を電力会社に売ることも可能
そのほかにも、「太陽光発電の導入支援サイト」では、
- 導入方法に関する資料
- 環境省主催セミナー情報
など、役立つ情報が紹介されていました。
出典:環境省|初期投資ゼロでの自家消費型太陽光発電設備の導入について(PDF)
自治体の取り組み
では、各自治体はどのような取り組みをしているのでしょうか。
神奈川県「再エネ100%」
神奈川県は、SDGs最先進県として、2050年の脱炭素社会の実現に向けて、県有施設で使用する電力を「再生可能エネルギー100%化する」取り組みを実施しています。
さらに、県内での普及をさらに拡大するために、再生可能エネルギー導入に賛同する企業や団体、個人へのサポートをしていました。
県が一丸となって、自然にやさしい街づくりをするモデルともいえるのではないでしょうか。
東京世田谷区「電気の地産地消」
世田谷区は、再生可能エネルギーの普及拡大に向けて、「自然の恵みを活かしたエネルギーの利用拡大と創出」を目指しています。さらに、「区民の再生可能エネルギー利用率25%」という目標を掲げ、主に2つの取り組みを行っていました。
①電気の地産地消
公共施設を新しく建設したり、改築したりするにあたって、太陽光パネルの設置を進めています。
該当する小学校では、発電量が目で見てわかるようモニターを設置。環境教育にも力を入れていました。
②再生可能エネルギーを活用した自治体同士の関わり
住宅都市である世田谷区は、膨大なエネルギー確保が課題でした。そこで、再生可能エネルギー資源が豊富な自治体と電力連携を開始。利用も拡大しています。
電力連携しているのは以下の5つです。
- 群馬県川場村(木質バイオマス発電)
- 青森県弘前市(雪国対応型太陽光発電)
- 長野県(水力発電)
- 新潟県十日町市(地熱発電)
- 新潟県津南町(小水力発電)
企業の事例
日本政府や自治体が再生可能エネルギーを推進しているのが明らかになりました。では、企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。
今回は、「大和ハウスグループ」と「みんなの電力」2つの企業の事例を紹介します。
大和ハウスグループ
再生可能エネルギーを有効活用するために、太陽光発電「DREAM Solar(ドリームソーラー)」を実施しています。人・街・暮らしを豊かで快適にするために太陽光という無限の資源を使い、電力を供給することを目指しているのが大和ハウスグループです。
再生可能エネルギーの導入を加速させるため、DREAMプロジェクトを立ち上げました。
「風と太陽と水」をコンセプトに
- 風力発電
- 太陽光発電
- 水力発電
の導入を進めています。未利用地をはじめ、自治体や各企業が保有する遊休地なども活用しながら、再生可能エネルギーの普及に尽力していました。
みんなの電力
みんな電力は、再生可能エネルギーに特化した電力会社です。
みんなの電力の電源構成は、「発電した再生可能エネルギー」と「買い取った再生可能エネルギー」の電気比率が77.2%。日本全体が16.9%に対して、7割超えしていることから、普及が進んでいるのは明らかです。
また、みんなの電力のプラン内にある「プレミアム100プラン(法人はRE100プラン)」は再生可能エネルギー100%だそうです。
さらに、SDGsを積極的に推進する団体を応援するために、同じように脱炭素に賛同する企業や自治体、中小企業に電力を供給する活動も実施していました。
今回紹介した企業の取組みも、SDGsの目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、目標13「気候変動に具体的な対策を」に大きく貢献しているといえるのではないでしょうか。
参照:みんなの電力株式会社|みんな電力のSDGs達成に向けた取り組み
SDGsとはSustainable Development Goalsを略したもので、日本語で表すと「持続可能な開発目標」となります。このSDGsは17の目標(ゴール)と169のターゲットから構成されており、地球上の誰一人取り残さないと[…]
個人ででできること
再生可能エネルギーの普及拡大のために、個人でできることはあるのでしょうか。3つの行動を以下にまとめました。
①節電
まずは、節電です。
家庭の電力が火力発電の場合でも、電気を節約することで火力発電の利用を減らせます。その結果、節約と二酸化炭素の削減の両方を叶えられます。
②太陽光発電を導入する
自宅の屋根や庭に、太陽光発電を導入することも個人でできることです。
とはいえ、なかなか簡単にできることではありませんよね。しかし、日本政府は、各家庭でも導入しやすいように、費用や設置の支援を行っています。
興味がある方はぜひトライしてみてはいかがでしょうか。
③再生可能エネルギーに変える
自宅の使用電力を再生可能エネルギーに変えることもできます。電力が自由化されたことで、私たちに電力を選ぶ権利が与えられました。
太陽光発電を取り入れるのがむずかしい方は、「みんなの電力」のような再生可能エネルギーの使用に切り替えることを検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、再生可能エネルギーをSDGsの視点から解説しました。最近は、日本政府をはじめ、自治体や企業が自然由来のエネルギーの普及に力を入れています。
特に太陽光パネルの導入は企業だけではなく、個人にもできるアクションの一つです。「節電」を要請される今だからこそ、自分で電気を生産し使用するライフスタイルもいいかもしれませんね。