Appleがサスティナブルな社会構築のために行っている取り組み

日本にアメリカ国外初の直営店を開店するなど、Appleは日本と長いかかわりを持っており、先日も直営店である銀座店が移転することが大きなニュースとなりました。
移転先のビルは国内初の耐火木造の商業施設で、Appleの環境に対する意識の高さがうかがえます。

Appleはこれ以外にも特にクリーンエネルギーに対する取り組みを重点的に行っていることは、あまり知られていません。
ここでは、Appleの環境保全に対する取り組みについて紹介していきます。

Appleとは

Appleといえば、iPhoneやiPad、Apple watchなどの製品を製造・販売する企業として有名で、その名前を知らない方はほとんどいないでしょう。

Apple Inc.は、アメリカ合衆国の多国籍テクノロジー企業で、カリフォルニア州のクパチーノに本社があります。
デジタル家電製品やソフトウエア、オンラインサービスの開発と販売を行っているため、Appleが製造している製品やサービスを利用したことが無いという方は少ないでしょう。

Appleの2020年度の全世界での年間収益は2745億ドルとなり、売上高でも世界最大のテクノロジー企業であり、2021年の時点では世界で最も価値が高い企業となっています。

Appleが行っているサスティナビリティ―のための取り組み

Appleはデジタル家電製品の製造・販売やソフトウエア開発を行うにあたって、「サスティナブルである」ということを重視しています。
ここでは、Appleのサスティナビリティ―のための取り組みについて紹介していきます。

2030年までにサプライチェーンの100%のカーボンニュートラル達成を約束
(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)

サプライチェーンとは、製品の原材料や部品の調達、販売に至るまでの一連の流れを指す用語です。
このサプライチェーンの概念の特徴的な点は、自社のみではなく協力会社などの他者をまたいでモノの流れをとらえることが挙げられます。
そしてサプライヤーとは、製品の部品を製造し、供給・納入を行う業者のことを言います。

Appleでは2021年10月27日に、100%再生可能エネルギーの使用に取り組むサプライヤーの数が前年の2倍以上になり、2030年までにサプライチェーンと製品全体でカーボンニュートラルを達成するという目標が加速したことを発表しました。

2021年10月21日の時点で計175社のAppleのサプライヤーが再生可能エネルギーの利用に移行し、Apple及びそのサプライヤーは世界全体で9ギガワットのクリーンな電力を生み出すことになります。

この取り組みにより、年間1,800トンの二酸化炭素の排出を削減することが可能になります。
これは自動車に換算すると、400万台の二酸化炭素排出量に相当します。

Appleのみの場合、2018年4月10日の時点で、世界各地にある施設の100%をクリーンエネルギーによる電力で賄っています。

サプライヤー110社以上の再エネの課題解決に協力
(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)

2022年4月14日の時点でAppleは、サプライヤーのクリーン電力使用量が1年間に2倍以上になり、今後数年でクリーンエネルギーへの移行への取り組みによって達成する見込みの16ギガワットのうち、10ギガワット以上を達成しています。

2021年の時点で、これらの再生可能エネルギー移行へのためのプロジェクトにより、1,390トンの二酸化炭素の排出が削減されました。
またAppleは二酸化炭素削減のため、世界中の主要な製造パートナーのうち213社が25カ国でApple製品の製造に利用する電力のすべてを再生可能エネルギーで賄うことを約束しています。

このサプライチェーンの二酸化炭素削減のためにAppleは、世界中の再生可能エネルギーのプロジェクトに直接投資を行っていて、これは日本と中国における上流での炭素排出に一部に対処するための約500メガワットの太陽光発電プロジェクトやその他の再生可能プロジェクトも含まれています。

また、Appleは再生可能エネルギーに移行する企業を支援するために、データを共有し市場固有の情報を含むトレーニング資料を提供も行っています。

パッケージのプラスチック利用率を75%削減
(海の豊かさを守ろう)

Appleは素材のリサイクルや調達におけるイノベーションの先駆けとして、業界全体の変革に拍車をかけています。
そのため、パッケージからプラスチックを無くすという目標を掲げ、2015年以来その活動に取り組んできました。

その結果、2021年までにパッケージに使用するプラスチックの75%の削減に成功しています。

電源アダプタ同梱の廃止(気候変動に具体的な対策を)

Appleが販売するiPhone12以降の機種には、電源アダプタが同梱されていません。
これはコストダウンのためではなく、55万トン以上のスズ、銅、亜鉛の採掘を回避するためです。

それ以外にも電源アダプタの同梱を廃止することでパッケージを小型化することができ、それによって輸送用パレットに積載できるiPhoneの箱の数を最大70%増やすことができるようになりました。

このようにiPhoneの箱を小型化することで輸送効率を向上させることができ、200万トン以上の二酸化炭素の排出を削減することができるようになりました。

さまざまな慈善活動の実施(貧困をなくそう)

AppleのGivingプログラムは2011年に発足して以来、世界的な慈善活動の大きな力となり、世界中で非営利組織のために3億6,500万ドル以上を集めました。

Givingプログラムとは、従業員がボランティア活動を行った時間または寄付した金額の同額の資金をAppleが同じ団体に寄付するという取り組みです。
Appleは、従業員が1時間ボランティア活動を行うごとに10ドルを寄付し、金銭的な寄付には同じ金額を上乗せします。

この活動によって、中国の32の慈善団体に対してもAppleの従業員の寄付金額と同額の寄付をしており、このような活動を行っている企業は世界でも数少ないものとなっています。

中国に対するAppleの社員及び同社からの寄付金は、災害救援金及び防災準備金などとして活用されています。

Apple経営陣のSDGsに関するモチベーションを保つ方法

Appleは経営陣の評価に、社会的・環境的な基準を設け、そのパフォーマンスに応じて賞与の増減を行っています。

これにより、役員の賞与に最大10%の影響を与える可能性が出てきます。
Appleの価値観と主要なコミュニティの構想に基づく環境、社会、およびガバナンスによる変動因子が報酬に組み込まれることになります。

しかしAppleはこの社会的・環境的な基準、すなわちSGGsに対する取り組みへの評価をどのように測定するかを明らかにしていないため、役員にどの程度のモチベーションの維持が期待できるかは今後の推移を見守る必要がありそうです。

まとめ

ここまで、Apple社の特にクリーンエネルギーの活用と二酸化炭素削減を中心としたSDGsへの取り組みについて解説してきました。
同社がさまざまな角度から、SDGsに取り組んでいることがお分かりいただけたと思います。

またAppleという会社だけではなく、役員をはじめとした従業員もSDGsを達成するために活動を行っており、役員に至ってはその活動に対する評価が直接報酬に関わってくることがあるということも紹介しました。

Appleとは、単にデジタル家電製品やソフトウエア、オンラインサービスの開発と販売などを行うだけではなく、製造の過程で二酸化炭素の排出量の削減を行ったり、それ以外のSDGsの目標に対して積極的に関わったりしている企業であると言えます。

手元にiPhoneがある方も多いと思いますが、そのひとつの端末を製造するためにどのような自然環境や人々の暮らしを守るための取り組みが込められているかということに、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

最新情報をチェックしよう!

電化製品の最新記事8件