地球温暖化により、私たちの食生活にも影響があることをご存知ですか?気温上昇により、栽培が困難になるものや栽培地が変化しているものなどが実はたくさんあります。今回は、SDGsの「2飢餓をゼロに」「3全ての人に健康と福祉を」の二つの点から食生活の変化とこれからを解説していきます。
日本での食物栽培の変化
地球温暖化の問題は、温度の上昇だけではなく、湿度の上昇や降雨量の減少など、食物を育てる上でさまざまな問題を引き起こす原因となっています。
農林水産省の報告によると、2060年までにお米の収穫は北海道で増加、その他の地域では減少する可能性がある。また、りんごの栽培は現在は青森県・岩手県・宮城県でほとんどが作られていますが、北海道での栽培が適応の地となることがあげられています。
理由として、気温の上昇です。近年の夏は40度を超える日が連日続き、冷房がないと熱中症になるなどの問題もあります。人間だけでなく食物の栽培にも大きな変化をもたらしています。先ほどのような栽培地の変化や栽培量の減少です。
また、台風被害や長く続く大雨などの水害により食物への深刻な被害をもたらしています。浸水や水量の増加で苗や実が痛むケースや外から泥やゴミなどが入り込むケースが起こります。水害が収まると、二次災害として病気や害虫の増加などの問題もあります。一度水害が発生すると、さまざまな問題が発生するため食物の収穫量も減少してしまいます。
2050年コーヒー問題
世界規模でみると、より深刻な問題を抱えている食物がたくさんあります。その一例が、コーヒー豆です。現在コーヒーは、東南アジア・アフリカ・南米など赤道に近い暖かい地域での栽培が盛んです。
しかし、2050年には現在栽培されているアラビカ種のコーヒー豆の約50%が栽培できなくなるという報告があります。原因は、地球温暖化による気温上昇です。気温が上昇すると、コーヒーに深刻な害を与える「さび病」が発生しやすくなります。さび病は人体に影響はしませんが、植物の葉が黄色くなるため十分な成長ができないという状態になります。それにより、栽培量の減少や品質の低下に繋がります。
また、コーヒー栽培による収益が減少すると農業に従事する生産者の数も減ってしまうためコーヒーの安定した供給が失われてしまいます。
この問題に対して、現在ではいくつかの対策が取られています。
その一つは、サスティナブルなコーヒー生産の確立です。現在コーヒーが抽出された後のカスは廃棄処理されているのはご存知でしょうか?このコーヒーのカスは様々な物にリサイクルさせることが可能なんです。
一例として、スターバックスコーヒーは2030年までに廃棄物50%削減を掲げています。1日1店舗あたり約16kgほど廃棄されるというコーヒーのカス。その一歩として、リサイクルトレーを作りお店で利用されています。
参考URL
- https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2021-4138.php
- https://ideasforgood.jp/2018/07/19/starbucks-coffeebeans-recycle/
実は、このような取り組みは2014年から行われています。野菜を作るためのたい肥や飼料などにも使われています。
植物工場
「植物工場」という単語は聞いたことがありますか?少し重々しい空気を感じさせる単語ですか、違います。安定して植物を育てることができる新しい設備のことです。
太陽の代わりにLEDを、土に代わって培養液を使用し、温度や湿度、空調などすべてが管理された環境のなかで農産物を育てるという仕組みです。AIやIoTなどの最先端技術が使われている場所です。
植物工場の特徴として、「都心でも栽培が可能」「室内で効率よく生産するため、安定した供給を図れる」「重労働にならないため、リタイアしたシニアでも働くことができる」(雇用の創出)などこれからの食生活に欠かせないものです。
しかし、まだまだ開発段階であり普及率も低いのが現状です。導入コストが高い・利益を出すまでに時間がかかるなど手が出しにくい状況ですが、今後進化が期待できます。
現在だと、サニーレタスやフリルレタス・サンチュなどのサラダに使用される葉ものの生産が主流です。今後、いちごやトマトなどのビニールテントで栽培されている植物も栽培可能になると言われています。(参考:https://smartagri-jp.com/smartagri/157)
まとめ
今回は、地球温暖化による食物栽培の現状と一例、そして今後の栽培方法の変化を紹介してきました。地球温暖化のために行動することは、私たちの将来の生活を守ることに繋がります。日頃の生活を少し見直してみませんか?