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SDGsの14番目の目標「海の豊かさを守ろう」の中には、海洋資源を守ることにより食卓から魚類が消えることを防ぐこと以外にも、小規模な漁業従事者の利益を損なわないようにするという狙いがあります。
ここでは海洋資源の枯渇の理由と、私たちにもできる海洋資源を守るための取り組みについて解説していきます。

問題は過剰漁業

海洋資源の減少の大きな原因のひとつに、過剰漁業があります。

過剰漁業とは、海で繁殖し再生する以上の魚を漁獲することの言い、魚類の絶滅または致命的な減少につながる恐れがあります。
海洋資源を守るためには、漁獲量を適切に管理し資源状況の悪化を防ぐ必要がありますが、その管理された漁獲量を守らず、過剰に漁獲している人々がいることもまた事実です。

現に、世界の漁業資源の約30%が過剰漁業によって乱獲されているというデータもあり、早急な漁獲量の管理を行わなければ、そう遠くない未来には食卓から魚が消えるだけではなく、小規模漁業も衰退してしまう原因となってしまいます。

過剰漁業の現状

過剰漁業は世界中で起きている問題なので、当然日本でも発生しています。
さまざまな国で海洋資源や漁業の現状を把握し、適切な海洋資源の調査を行い海洋資源の安定的な供給を守ろうという取り組みが行われています。

しかし、一部の漁業者は国などが決めた適切な漁獲量を守らす、過剰に漁獲している人や事業者も存在します。
このような定められた漁獲量を守らない漁業を過剰漁業・乱獲行為といいます。

この過剰漁業のほとんどはIUU(Illegal,Unreported and Unregulated)漁業、つまり違法・無報告・無規制の中で行われます。
IUU漁業が増加すると、持続可能な海洋資源の利用に深刻な影響を及ぼしてしまうため、各国の問題としてだけではなく、国連や国連食糧農業機関(FAO)、地域漁業管理機関(RFMO)などの国際機関が協力して対策にあたっています。

FAOの2018年の報告によると、漁獲拡大の余地がある海洋資源は1970年代には約40%だったものが、2015年の時点では7%と大きく減少しています。
このデータだけを見ても、過剰漁業によって海洋資源が枯渇していることが分かります。

魚の種類別で分類したとき、世界の漁獲量の上位10位までを占める種類の魚は、8割弱が持続可能な状態にありますが、過剰に漁獲されている魚もあります。
それ以外のカツオ・マグロ類の主要7種について見てみると、2015年の時点で持続可能ではない状態にあります。

過剰漁獲状態にある海洋資源や漁獲量を拡大する余地のない海洋資源について、適切な管理を行い資源の回復や維持を図ることも大切ですが、まだ漁獲を拡大できる海洋資源であっても的確な資源評価を行っていく必要があります。

過剰漁業によって起こる問題

過剰漁獲によって起こる問題は、食品として出回る魚類が枯渇してしまうということだけではありません。
それは世界に存在する約3億人の漁業従事者のうち、約9割を占める小規模事業者の雇用が奪われてしまうという問題です。

この問題は、SDGsの8番目の目標である「働きがいも経済成長も」の達成を阻む原因となってしまいます。
また、小規模漁業者は地方経済を支えるとともにその約半数を女性が担っていることから、乱獲による漁業の衰退によりSDGsの5番目の目標である「ジェンダー平等を実現しよう」の達成も阻むことになります。

海洋資源の枯渇の危機の過剰漁業以外の理由

海洋資源が枯渇の危機に瀕している理由は、過剰漁業だけだはありません。
ここでは、過剰漁業以外の海洋資源枯渇の原因について解説していきます。

気候変動の影響

脱炭素・地球温暖化対策は現在世界中の課題になっていますが、この地球温暖化による影響は、漁業にも及んでいます。
海は、人間の生活や経済活動によって発せられる過剰な熱の約9割、年間に放出される二酸化炭素の約3割を吸収しており、その結果海水温は上昇し海水は酸性化してしまっています。
気象庁のホームページによると、海水温はこの100年で0.56℃上昇しています。

参考:気象庁 | 海洋の健康診断表 海面水温の長期変化傾向(全球平均) (jma.go.jp)より

海水温の上昇により、漁獲できる魚の種類の北限が上昇したり回遊ルートを変更したりしていると言われています。
そのため、もともとその地域で漁獲できていた魚が獲れなくなったり、漁獲量が減少したりしてしまう恐れがあります。

サケを例にとると、2050年にはオホーツク海のほとんどの海域がサケの生息には向かない海水温となってしまうため、日本周辺のサケの回遊ルートは消失するという予測もあり、日本産のサケがなくなってしまう可能性もあります。

また、海が二酸化炭素を吸収することによって海水の酸性化が進んでしまいます。
海の酸性化が進むと、炭酸カルシウムで殻や骨格を作る貝類や甲殻類、サンゴ、プランクトンの成長に悪影響を及ぼしてしまいます。

水質汚染

水質汚染もまた、漁業資源に悪影響を及ぼす原因となります。
産業排水や生活排水は、日本においても下水に関しては約8割しか整備されていません。

それ以外にも降水量の増加や火山の噴火などによる自然由来の海洋汚染や、タンカーなどが座礁することによって起こる事故由来の海洋汚染もあります。
自然や事故に由来する水質汚染を防ぐことは困難ですが、産業・生活排水による水質汚染は排水処理や下水処理などの施設を充実させることである程度防ぐことができます。

海の豊かさを守るための取り組み

海の豊かさを守り海洋資源を守るための取り組みには、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、その取り組みについて解説していきます。

IUU漁業を無くすための措置を取る

IUU漁業を無くすために、国家と国家機関のそれぞれが対策を行っています。

例えば、国家あるいは漁業主体からは旗国が漁船登録制度や漁船に関する記録の保持を行い、IUU漁業が疑われる漁船に対して調査と取り締まりを行っています。
また自国でIUU漁業の調査や取り締まりを行うだけではなく、沿岸国でも監視や管理及び検査の実施や関係国と協力し、情報交換などを進めています。

海洋資源のコンロトールの徹底

日本では海洋資源を3つの方法でコントロールしています。

1つ目が漁船の隻数や馬力数の制限等によって漁獲圧力を入り口で制限するインプットコントロール、2つ目が産卵期を禁漁にする・網目の大きさを規制することで漁獲量の効率性を制限し、産卵親魚を保護するテクニカルコントロール、3つ目が漁獲可能量を制限し漁獲圧力を出口で規制するアウトプットコントロールです。

これらの手法のうちどこに重点を置くかは、漁業の形態や漁業者の数などによって異なります。

エコラベルが付いている商品を選ぼう

エコラベルとは、水産資源や環境に配慮した水産物であると独立した審査機関によって認証された証です。
エコラベルが付いている商品は、水産資源や海の健全性が長期に渡って確保される方法で獲られた商品であるため、このような商品を選ぶことで一個人であっても海の豊かさを守ることができます。

エコラベルについてはこちら

はじめに1970年から2012年にかけて、海洋哺乳類、海鳥、魚などの海洋生物の数はおよそ半減してしまったという統計があることをご存じでしょうか。その原因は、海洋酸性化、海水温の上昇、プラスチックごみなどによる海洋汚染など様々なものが考え[…]

まとめ

ここまで、海洋資源が枯渇の危機にあることとその理由、海の豊かさを取り戻すために行われている各地の取り組みについて解説していきました。

海の豊かさを守ることができないと、水産資源の枯渇を招くだけではなくSDGsの他の目標を達成することもできなくなってしまいます。
また、二酸化炭素の排出量を削減し地球温暖化を防ぐことができないと、海の豊かさを守ることができないこともお分かりいただけたと思います。

広大な海の豊かさを守ることは、SDGsの目標達成のために欠かすことができない要素のひとつです。
この目標達成のために、漁業者以外の方であっても二酸化炭素の排出量の削減やエコラベルの付いた商品の購入など、日々の生活から取り組んでみてはいかがでしょうか。

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