「コットン」と聞くと、どのようなイメージをもつでしょうか。
植物由来のため、環境にやさしいイメージをもった方もいるかもしれません。しかし、コットン栽培は、環境や人に悪影響を及ぼしていると懸念されています。
コットンにおける社会問題の解決策として注目されているのが「オーガニックコットン」です。
この記事では、オーガニックコットンとSDGsの関係を解説するとともに、企業事例もご紹介します。ぜひ、最後までお読みください。
オーガニックコットンとは?
オーガニックコットンとは、有機栽培で育てられた綿花のことです。土壌づくりでは化学肥料や農薬を2〜3年間使用していません。栽培や出荷においても、できるかぎり自然の力で生産されているため、一般的な綿花と比べて、多くの手間と時間をかけて作られています。
身近な日用品では、以下のものによく使われています。
- タオル
- ナプキン
- 下着類
- パジャマ
- Tシャツやワンピースなどの衣類
- ベビー用品
- ブランケット
- トートバッグ
どうして、オーガニックコットンがSDGsへ貢献するのか?
では、どうして、オーガニックコットンがSDGsへ貢献するのでしょうか。その理由は、オーガニックコットンには、環境や人の未来を明るくするやさしさがあるからです。それぞれの理由をみていきましょう。
①環境保護につながるから
オーガニックコットンの栽培は、環境を守ることにつながります。自然の力で栽培するため、一般的なコットンよりも環境への負荷が少ないのです。
多くのコットン栽培では大量の農薬が使われていて、環境破壊の原因にもなっています。
コットン畑は、世界の農作物で利用される土地のわずか2.5%しかありません。それにもかかわらず、世界の農薬の6.8%を使用しています。
大量の農薬は土の中の生態系をこわし、畑から栄養を奪ってしまいます。さらに農薬まみれの土壌から水が流れ出ることで、周辺の森林も汚染してしまうのです。
けれども、オーガニックコットンの場合、環境への負荷が少ないため、畑だけではなく近隣の自然環境も守れます。
オーガニックコットンの栽培方法は、SDGs「15.陸の豊かさを守ろう」に貢献する素材といえるでしょう。
②生産者の命を守るから
オーガニックコットンは、生産者の健康を守ることも期待できます。最低限の農薬や化学肥料の使用であれば、薬品を扱う生産者の身体への影響が軽減されるからです。
大量の農薬を使用することは、皮ふや呼吸の病気を引き起こす可能性が高まってしまいます。生産者が病気になれば、働けず貧困や飢餓にもつながるといえるでしょう。
一方のオーガニックコットンなら、病気を引き起こすリスクを下げられ、長い期間、健康に働けるのです。
このように、人の健康を守るためにオーガニックコットンは欠かせない存在といえるでしょう。これは、SDGsの目標「3.すべての人に健康と福祉を」に貢献しています。
③児童労働の解決につながるから
さらに、オーガニックコットンは、児童労働への解決に欠かせません。
実はインドのコットン畑では、48万人以上の子どもが働かされています。児童労働は、子どもから教育の機会と将来の可能性を奪うことにつながります。コットン栽培における児童労働は早急に解決すべき問題です。
オーガニックコットンの場合は、子どもを働かせることはありません。(労働者の雇用状態がチェックされるため)
児童労働がなくなれば、子どもたちに生きるために必要な学びを提供できるのです。
これは、SDGsの目標「4.質の高い教育をみんなに」に貢献しているといえるでしょう。
オーガニックコットンのデメリット
持続可能な社会の実現に欠かせないオーガニックコットンですが、デメリットはあるのでしょうか。
理解を深めるために、オーガニックコットンの問題点も解説します。
①生産に手間がかかる
まずは、栽培に手間がかかることがあげられます。
オーガニックコットンは最大限に自然の力で栽培されているのが特徴です。そのため、一般的なコットン栽培より何倍以上も手入れや草ぬきなどに時間がかかってしまいます。
とはいえ、手間をかけた分、品質と安全性は保証されているのです。
②値段が高い
次に、値段が高いことがあげられます。
値段が高くなる理由は、自然や人の力を使って栽培している分、費用がかかるからです。
一般的なコットンよりは割高ですが、コットン生産者や家族の生活や命がしっかり保証されていると考えることもできます。
③商品が少ない
最後は、商品数が少ないことです。
「綿100%」はよく見かけますが、「オーガニックコットン100%」はあまり見かけません。しかし、オーガニックコットンの価値が広まり、ニーズが高まれば、商品数が増えることが期待できるのではないでしょうか。
オーガニックコットンを採用した企業事例
オーガニックコットンの普及に向けて、企業もさまざまな取り組みを行っています。最後に、オーガニックコットンを使用した商品開発に尽力する企業事例をご紹介します。
今回は、3つの取り組みをまとめました。
①無印良品
2018年から無印良品の衣服の綿はすべてオーガニックコットンが使われています。
- 下着
- 靴下
- インナー
- レギンス
- Tシャツやシャツ
- パシャマ
- シーツ
など
このように、豊富なレパートリーのため、迷わずオーガニックコットン商品を購入できます。
さらに、無印良品は、Tシャツ一枚の販売ごとにコットンの種を2つ、インドの生産者へ無料提供するという活動をはじめました。
この活動を通じ消費者は、Tシャツを購入することでオーガニックコットンの栽培を支援できるのです。
②ピープル・ツリー
ピープル・ツリーは、オーガニックコットンを使用した商品を多数展開。フェアトレードにもこだわって、原料調達をしています。
1995年から取り引きを始めた結果、2007年にはオーガニック認証機関「ソイル・アソシエーション」の認証、2012年にはGOTS認証を取得しました。
オーガニックコットンにもかかわらず、デザインにも力を入れているのが魅力です。消費者は購入することで、環境保護や児童労働の解決を支援できます。
③パタゴニア
環境意識が高いアパレルブランドとして評価されるパタゴニアでは、オーガニックコットンを使用した衣類を多数展開しています。バージンコットンは100%オーガニックで、化学殺虫剤や除草剤を使用していません。
独自調査をした結果、コットン栽培で使用している化学肥料や枯れ葉剤など化学物質が、土や水、空気を汚染すること、数多くの生物に対して多大な害を及ぼしていることが判明。この結果をうけ、パタゴニアは、解決策として化学薬品の使用をやめ、オーガニック農法で栽培されたコットンを使用することにしたのです。
オーガニックコットンを使用した商品を販売することで、生物多様性と健全な生態系をサポートしています。
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まとめ
オーガニックコットンを栽培することは、想像以上の手間と時間がかかります。しかし、農薬や化学肥料にたよらない分、環境と人にやさしい素材であるといえます。
現在、コットン市場全体でみると、オーガニックコットンはわずか1%ですが、持続可能な社会の実現に向けて、さらに普及させることが欠かせません。
企業や消費者が、コットンにおける問題を知り、つくる責任やつかう責任を果たすべきなのではないでしょうか。