子どもの兵士たちをなくすためにSDGsができること

現在世界中で戦争や紛争が起こり、兵士たちが戦い、傷つき、命を落としています。

そのような兵士の中には、大人だけではなく子どもも含まれています。

なぜ、子どもが戦場に駆り出され、戦闘やその補助をしているのでしょうか。

世界中で戦争を止める前に、まず戦場にいる子どもたちを家庭や一般社会に戻そうとする活動を行う人々がいますが、彼らの行動理念にはSDGsの理念と同じものがあります。

ここでは、子ども兵が戦場でどのような扱いを受けているのか、SDGsのどの目標の理念に基づいた支援で社会復帰をしているのかを解説していきます。

子ども兵とは

子ども兵とは、英語でChild Soldiersと呼ばれており、強制もしくは自発的に軍隊や武装グループの一員となり、戦闘に参加したり戦闘の支援に従事したりする18歳未満の子どものことをいいます。

子ども兵は、「見えない兵士」と呼ばれることもあり、実態が分かりにくく正確な人数は把握されていません。

その理由は、戦死してしまうことが多い、背丈などの外見的な特徴から大人と区別できないこともある、ほとんどの子どもが「出生証明書」を持っていないため実年齢が不明であるという3つのものがあります。

子ども兵は世界の約70か国に存在していると言われ、特に紛争地域では約30万人以上いると推定されますが、実際にはこれ以上の数の子ども兵が存在すると推測されています。

子ども兵はどうして戦場に出るようになった?

子ども兵は、アジア・アフリカ・中東・中南米などの紛争地域に集中して存在しています。

このような子ども兵は、なぜ戦闘地域で戦闘及びその補助を行うようになったのでしょうか。

誘拐

政府や反政府軍勢力が、街で見つけた子供を連れ去ったり小さな町や学校に侵入したりして、時には数十人単位の子どもを強引に誘拐します。

子どもを狙う理由は、その純粋さと洗脳のしやすさです。

まず親や友人など身近な人を殺させたり四肢を切断させたりして、他人を傷つけまたは殺させたりして、そのような行為に対する抵抗感をなくし、コントロールしていきます。

復讐のため

身近な人を軍隊に傷つけられたり殺されたりした経験から、その復讐のために敵対する軍隊または軍事勢力に入隊します。

衣食住を満たすため

失業率が高い貧困地域では、兵士になることは就職の一つととらえられています。

兵士になれば、最低限の衣食住を賄うことができると考えるためです。

少年・少女の兵士たちは何をしている?

子ども兵は実際の戦場では、以下のような役割を担っています。

  • 敵対勢力のスパイや情報伝達
  • 地雷原を歩かされ、地雷除去装置として使われ命を落とす
  • 最前線で行進させられ、弾除けの道具として扱われ命を落とす
  • 武器や食料の運搬
  • 少女兵の場合は、性的虐待や強制結婚

子ども兵が戦場に出ることのない世界を築くために行われている世界的な取り組み

子ども兵が戦場に出ることがなく、普通の生活を送ることができるようにするために、国際的な取り組みがなされています。

ここでは、その取り組みについて解説していきます。

国際刑事裁判所

国際刑事裁判所の規定では、政府・非政府を問わずあらゆる軍隊が15歳未満の子どもたちを入隊するように勧めたり、実戦に参加させたりすることは戦争犯罪であると定めています。

国際労働機関条約

国際労働機関条約は、「18歳未満の子どもを無理やり軍に入隊させたり、義務的に入隊させて紛争で戦わせたりすること」を児童労働の最悪な形態の一つに挙げ、加盟国に対してこのような最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を確保するために、即時かつ包括的な措置をとることを要請しています。

子どもの権利条約

2000年に採択されたのが、「子どもの権利条約」の追加議定書である「武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書です。

この議定書には、武力衝突に直接加わることが法的に認められる年齢を15歳から18歳に引き上げ、18歳未満の子どもの強制徴兵を禁止し、国家以外の勢力にも適用されることが明示されています。

この議定書は、2007年までに119か国が批准しています。

子ども兵をなくすための取り組みはSDGsのどの目標に一致する?

子ども兵をなくすための取り組みは、SDGsのどの取り組みに当てはまるのでしょうか。

ここでは子ども兵をなくすための具体的な取り組みが、SDGsのどの目標に当てはまるのかについて解説していきます。

目標1貧困をなくそう・目標2飢餓をゼロに

紛争や内戦は貧困を拡大させてしまい、人々は生活の基盤を失って路上生活や難民としての生活を余儀なくされている子どもも少なくありません。

そのような子どもたちに武装勢力が衣食住や生活資金を与えると、子どもは武装勢力が自分を保護してくれる存在であると認識し、自ら武装勢力に加わる可能性が高くなってしまいます。

貧困をなくし飢餓をゼロにすることで、自ら武装勢力に加わる子どもの数を減らすことができるでしょう。

目標4質の高い教育をみんなに

過去に子ども兵だった子どもは、軍事訓練以外の教育を全く受けていないため基本的な読み書きができないことに加えて、子ども時代を軍隊という特殊な環境で過ごしてきたために、「権力さえあれば何でも手に入る」という暴力的な思考が身についていたり、感情をうまく人に伝えるコミュニケーション力が不足したりしているケースが多々あります。

このような背景を持つ元子ども兵は帰還後の生活に耐えられず、再び自ら軍隊に戻ってしまうこともあります。

このような子どもたちを日常の生活に戻すためには、適切な教育を施し就業に結び付ける必要があります。

目標10人や国の不平等をなくそう

子ども兵士の背景には、その国やそれ以外の先進国の経済事情が密接に関わっています。

先進国が途上国に援助をしながらも、自国の経済的な利益を受ける構図に矛盾を感じる方もいらっしゃるでしょう。

このような国同士の関係を正し、人や国の不平等をなくすことで子どもが兵士として戦場に送られるという悲劇をなくすことができるでしょう。

まとめ

ここまで、子ども兵の現状と子ども兵が戦場に行くことがないようにする取り組みとSDGsの関係について解説してきました。

子ども兵を救う取り組みを行っているのは、認定NPO法人テラ・ルネッサンス、日本ユニセフ協会など多くの団体があります。

このような団体のほとんどは、寄付によって運営されています。

子ども兵をなくす取り組みを支援し、誰ひとり取り残さないというSDGsの概念を実現するために、ご自身でも寄付を行うことを検討してみてはいかがでしょうか。

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