あまり知られていませんが、アートにはSDGsへ貢献する力があります。
特にパラリンアートは、障がい者の経済的自立を支援するプロジェクトとして注目されています。
とはいえ、「パラリンアートとは?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、パラリンピックについて解説するとともに、障がい者のアーティストを支援する企業事例も紹介します。
きっとパラリンアートの魅力を感じられるはずです。ぜひ、最後までお読みください。
パラリンアートとは?
パラリンアートとは、障がいをもった方が手がけた芸術作品を意味します。障がい者がアートで夢を叶える世界を作ることが目的です。
現在も障がいがあることで、自分らしく働けないという雇用問題が根強く残っています。社会保障費に頼ることなく、経済的に自立できる環境を整えることが欠かせません。
民間企業や個人が一つのチームになって、継続的に障がい者⽀援を行うのがパラリンアートといえるでしょう。
パラリンアートが貢献するSDGs目標は?
続いては、パラリンアートの魅力をSDGsの視点から解説します。パラリンアートが貢献するSDGs目標は以下の通りです。
- 目標「1.貧困をなくそう」
- 目標「8.働きがいも経済成長も」
- 目標「10.人や国の不平等をなくそう」
それぞれをくわしくみていきましょう。
目標「1.貧困をなくそう」
世界的にみると、障がい者は収入が低い生活をしている割合が高いといわれています。障がいを持たない家庭に比べ、厳しい生活が余儀なくされるのです。
特に、相対的貧困が問題になっています。そもそも、貧困には絶対的貧困と相対的貧困の2種類があります。
絶対的貧困とは、1日の生活費が200円以下という状況です。相対的貧困とは、住んでいる地域の年収や物価からみて生活が厳しいことをあらわします。
国内では障がい者の相対的貧困が問題になっているのです。2016年に行った慶應義塾大学の調査によると、4人に1人が貧困であることが明らかになりました。障がいがあることで、就職ができなかったり、低い給与を強いられたりする状況が残っているのです。
パラリンアートは、障がいがあっても、自分の力でお金を稼げる環境づくりを支援しているといえるでしょう。
目標「8.働きがいも経済成長も」
雇用が多様化することは、経済成長にもつながります。
目標8では、
- 働きがいのある人間らしい仕事を増やすこと
- 会社の立ち上げ
- 新しいことを始める
などを支援する政策や取り組みをすすめることが明記されています。
パラリンアートを通して、新たな市場が生まれることは経済成長にもつながります。さらに、障がい者がやりがいをもって働くことができるのです。
目標「10.人や国の不平等をなくそう」
目標10では、2030年までに障がいにかかわらず、すべての人が能力を高められる社会の実現を目指しています。さらに社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめることも重視しているのです。
「障がいがあるから採用しない」のような差別や偏見をなくさなければなりません。
パラリンアートは、障がいのある方へ平等に成長するチャンスを与えているといえるでしょう。また、パラリンアートが広まり、その価値が高まることで、障がい者に対する世間の見方も変わることが期待できます。
パラリンアート企業事例について
最近では、パラリンアートの思いに賛同し、支援する企業が増えてきました。では、どのような企業事例があるのでしょうか。
具体的にどのような事例があるのか、いくつかの事例を紹介します。
企業事例①:スカイラーク
まずは、スカイラークが取り組む事例から解説します。スカイラークは、2022年8月に障がい者アーティストGOMA氏とコラボレーションした和ごはんとカフェ「chawan」をオープンしました。
GOMA氏は、注意欠陥多動性障がい(ADHD)、学習機能障がい(LD)、2つの発達障がいをもっています。国内外で高い評価を受け、国連世界宇宙週間コラボ展示会やAPPLEDESIGE AWARD準グランプリ(世界2位)、審査員特別賞を受賞しました。
GOMA氏がデザインしたオリジナルアート3作品が店内に飾られています。独特な感性と色彩豊かな世界観が存分に堪能できる空間は、創造力もかき立てられるのではないでしょうか。
企業事例②:パークホテル
パークホテルは、障がいがあっても自立できる社会の実現に向けてアート支援を続けています。
「一般社団法人障がい者自立推進機構運営事務局」の協力のもと、アート展示会を実施。世界中の障がいのあるアーティストが芸術的才能を発揮できるチャンスを意図的に提供しているのです。
- 持続的にアーティスト活動の場を提供
- 展示作品の販売
- 募金箱の設置
- ホテル館内自動販売機の売り上げの一部を寄付
- パラリンアート世界大会に協力企業として参画
障がいの有無を問わず、自分の力で未来を切り開く力を後押ししているといえるでしょう。
企業事例③:ホテル「DISTORTION(ディストーション)9」
大阪市にあるホテル「ディストーション9」は、アートに関心が高い旅行者に向けて、アートの魅力を発信しています。
客室に展示しているアート作品は、滋賀県甲賀市にある「やまなみ工房」に通所するアーティストによるもの。すべて購入可能だそうです。
「やまなみ工房」とは、知的や精神、身体に障がいをもった方が90名ほど通っています。彼らは、自分自身の価値を認め、ユニークで素晴らしい作品を多数手がけているのです。
ディストーション9は、障がいをかかえるアーティストがより幅広く活動できるように支援しています。宿泊者もここでしか味わえない世界観に浸ることができるといえるでしょう。
企業事例④:自遊空間
自遊空間もパラリンアートを応援している企業の一つです。店内で応援メニューを注文するだけで、支援に参加できます。メニューは時期によって変わるそうです。
店舗で応援メニューを購入すると、売上の一部がパラリンアート運営協会に寄付されます。集まった寄付金は活動費として活用されるのです。これまでに、412,352円が集まりました。
また、過去には、パラリンアートルームを設けたり、募金箱を設置したりなど継続的な支援を続けています。
企業事例⑤:DAISO
DAISOは、パラリンアートプラチナパートナーとして活動を支援しています。2018年8月から、パラリンアートでデザインされた商品の発売を開始しました。
- トートバッグ
- ポーチ
- マスク
- ソックス
- クッションカバー
- フォトフレーム
など、生活を彩るアイテムが多数取り揃えられています。購入した製品代に含まれる絵画ライセンス利用料は、パラリンアート事務局を通して作者に寄付されます。そのため、消費者も手軽に社会貢献できるのです。
企業事例⑥:三菱鉛筆 uni
三菱鉛筆は、パラリンアートのオフィシャルパートナーとして、全国の障がい者を対象にしたアートコンテストを開催しました。
「生まれながらにすべての人がユニークである」という自社の信念に基づき、「自分らしさ」をテーマに表現するパラリンアートを募集したのです。審査内容は「自分らしさを表現した応募作品」と「なぜこのような作品になったかという説明文」の2観点の総合評価。163件の応募がありました。
最優秀賞に輝いたのは、DAIKIさん作「私はてんとう虫」。作品には、「お互いの違いを認め合いそして支えあい笑顔いっぱいの世界になってほしい」という祈りと、「一生懸命に絵を描いて世界中の人達を幸せにしたい」という思いが込められています。
まとめ
パラリンアートは、障がいの有無関係なく夢を叶えられる社会をつくる力になります。
さらに見る人も独創的な世界を楽しめるツールになるといえるでしょう。
社会全体が、障がいがあるからできないのではなく、障がいがあるからできることに目を向けるべきなのです。
アートをつくる人と楽しむ人が幸せになるパラリンアートは、今後さらに注目されるのではないでしょうか。