SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」を解説!日本の教育課題と今注目の教育とは?

「質の高い教育をみんなに」と聞くと、「日本は義務教育があるからあまり関係はない」と思う方も多いのではないでしょうか?

実はそんなことはありません。日本にとっても「質の高い教育をみんなに」は解決すべき目標の一つ。義務教育で子どもたちが平等に学校に通う頃ができる日本にも、教育課題は存在します。

そんな中、日本で今注目されているのが「リカレント教育」や「モンテッソーリ教育」。

今回は、 SDGs目標4「質の高い教育をみんな」の意味や日本の教育課題を解説するとともに、今注目の教育「リカレント教育」「モンテッソーリ教育」についてもご紹介していきます。

どうして、すべての人に教育が必要と言われるのか?

どうして、質の高い教育が必要と言われるのでしょうか?

なぜなら、誰一人社会から取り残さないためです。

そもそも、「教育」とは教え育てること。

文部科学省の「教育基本法」では、教育の目的は2つの内容が明記されいます。

一つ目は、人格の完成をめざすこと。

二つ目は、平和な国や社会を築く者として、心身ともに健康な国民の育てることです。

教育の目的は具体例を挙げるなら、以下のようなものが含まれます。

  • 個人の価値を大切にして、自分の能力を伸ばしていく。
  • 犯罪やトラブルに巻き込まれないように正しい判断をできるようになる。
  • 責任を持って働きがいのある仕事をすることができる。
  • 精神的にも自立する。

つまり、子どもも大人もすべての人が、安心して自分らしく生きていくために、質の高い教育が必要であると考えられています。

目標4「質の高い教育をみんなに」とは?

では、目標4「質の高い教育をみんなに」とは、どのような目標なのでしょうか。

目標の内容と、それを具体化したターゲットについてもご紹介します

目標4「質の高い教育をみんなに」

すべての人が公正に質の高い教育を受けられることを目指しています。

なぜなら、すべての人がそれぞれにとって必要な教育を学び自分の能力を伸ばすことは、一人一人のよりよい未来に繋がるからです。

ターゲット

では、具体的な内容を知るためにターゲットもみていきましょう。「4-1」のような数字で項目は、具体的な達成目標を示しています。また「4-a」のようにアルファベットで示されるものは、実現のための方法を表しています。

4.1
2030年までに、男の子も女の子も、すべての子どもが、しっかり学ぶことのできる、公平で質の高い教育を無料で受け、小学校と中学校を卒業できるようにする。

4.2
2030年までに、すべての子どもが、幼稚園や保育園にかよったりして、小学校にあがるための準備ができるようにする。

4.3
2030年までに、すべての人が、男女の区別なく、無理なく払える費用で、技術や職業に関する教育や、大学をふくめた高等教育を受けられるようにする。

4.4
2030年までに、はたらきがいのある人間らしい仕事についたり、新しく会社をおこしたりできるように、仕事に関係する技術や能力をそなえた若者やおとなをたくさん増やす。

4.5
2030年までに、教育のなかでの男女の差別をなくす。障がいがあったり、先住民族だったり、特にきびしいくらしを強いられている子どもでも、あらゆる段階の教育や、職業訓練を受けることができるようにする。

4.6
2030年までに、すべての若者や大半のおとなが、男女ともに、読み書きや計算ができるようにする。

4.7
2030年までに、教育を受けるすべての人が、持続可能な社会をつくっていくために必要な知識や技術を身につけられるようにする。そのために、たとえば、持続可能な社会をつくるための教育や、持続可能な生活のしかた、人権や男女の平等、平和や暴力を使わないこと、世界市民としての意識、さまざまな文化があることなどを理解できる教育をすすめる。

4.a
子どものこと、障がいや男女の差などをよく考えて、学校の施設を作ったり、なおしたりし、すべての人に、安全で、暴力のない、だれも取り残されないような学習のための環境をとどける。

4.b
2020年までに、開発途上国、特に最も開発が遅れている国、島国やアフリカの国などの人が、先進国や他の国で、職業訓練、情報通信技術、科学技術のプログラムなどの高等教育を受けるための奨学金の数を世界的にたくさん増やす。

4.c
2030年までに、開発途上国、特に開発が遅れている国や島国で、学校の先生の研修のための国際協力などを通じて、知識や経験のある先生の数をたくさん増やす。

引用|日本ユニセフ協会|4.質の高い教育をみんなに|

目標4で押さえておきたいポイントは3つ

  1. 子どもの教育
    すべての子供達が無償で小学校・中学校で学ぶことができる。
  2. 平等性
    性別、障害の有無、地域などに関係なく、平等に教育の機会が与えられる。
  3. 学び直し
    働きがいのある人間らしい仕事ができるように、スキルアップやキャリアアップができる教育の場を増やす。

このように、「教育を受けたい」と願う人を誰一人取り残さない社会をつくることが必要です。

日本の教育の課題とは?

先進国である日本の教育の課題とはどのようなものなのでしょうか。

生涯にわたって学習できる機会が少ない

日本にとって、社会人になっても学ぶことができる機会の充実化を図ることが課題です。

なぜなら、人生100年時代をより豊かに生きていくためには、自分のライフスタイルやキャリアにあった学びが必要だからです。

他の国では、働きながらもしく子育てをしながら学ぶことができるサポート体制が充実しています。

経済協力開発機構(OECD)は「国際成人力調査(PIAAC 2012)」の中で「現在、何らかの学位や卒業資格の取得のために学習しているか」対象国の成人にアンケートを実施。

30歳以上の成人の割合をみると、1位はフィンランドの8.27%。さらに多くの国がが5~8%となっていました。けれども日本は1.60%。このデータからみても日本の課題は明らかです。

他国の取り組みを手本にしながら、日本も働きながらキャリアアップができたり、何らかの理由で離職した方でも仕事復帰ができたりするサポート体制を整えていく必要があります。

受け身の学習から問題解決型学習へ

今までの日本の教育は、言われたことをやる・覚えるという学習スタイルが一般的。

けれども受け身のままでは、変化の多い社会を自分の力で生きていくことが難しくなってきました。

そこで最近の教育では、自分の力で考える「問題解決型学習」が重視されるようになっています。

2020年に文部科学省より改訂された「学習指導要領」でも、「思考力・判断力・表現力」や「主体的に学ぶ態度」を育てることを示しています。

今話題の教育 – 「リカレント教育」「モンテッソーリ教育」とは?

日本が抱える教育の問題を解決するためにはどうしたらいいのでしょうか?

それでは、今話題の教育を2つご紹介します。

人生100時代「リカレント教育」

リカレント教育とは、社会人になった後も、それぞれの必要なタイミングで教育を受け直しすこと。スキルアップやキャリアアップを目指しながら仕事と教育を繰り返していきます。

日本では、「リカレント教育」のほか「社会人の学び直し」とも呼ばれます。

学校を卒業した後も、新たな知識やスキルを身につける学び直しは、自分らしい生き方や働き方を叶え、人生をより豊かにしてくれます。

働きながらでも、子育てや介護をしながらでも、何歳になっても学び続けていくことは重要です。

リカレント教育のサポート1.マナパス

「リカレント教育を受けたいけど何を学びたいか、何をすべきか分からない」という方も多いのではないでしょうか。そんな時におすすめなのが「マナパス」。

「マナパス」は、文部科学省が学びたい社会人を応援するために運営しているサイトです。またリカレント教育を受けた先輩のインタビューもあるのでイメージが湧かない方も一度アクセスしてみてはいかがでしょうか。

このサイトでは、大学だけではなくオンラインでも学べる場を簡単に検索できます。

「マナパス」はこちら

リカレント教育のサポート2.支援制度

リカレント教育を受けるための支援制度もあります。

社会人で学び直すとなると、時間の確保だけではなく、学費の負担も心配になりますよね。

けれども、リカレント教育では学費など金銭面のサポート体制も設けられています。またキャリア形成の相談を受けられる制度も整っています。

例えば、以下のものがあります。

  • 教育訓練給付金
    働く方の主体的な能力開発やキャリアアップを支援し、雇用の安定と再就職をサポートしてくれます。対象講座を修了した場合は、自己負担した受講費用の20%~70%の支給が受けることができます。
  • キャリアコンサルティング
    在職中の方は、今後のキャリアなどについて、キャリアコンサルタントに無料で相談できます。キャリア形成サポートセンターで対面もしくはオンラインでコンサルティングを受けられます。

自分で自分を育てる「モンテッソーリ教育」

「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」を目的としたモンテッソーリ教育が、近年注目されています。

モンテッソーリ教育とは、医師・教育家のマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法。

子どもの自身がもつ自分で自分を教育する力を育てることを大切にしています。

実はモンテッソーリ教育の歴史は長く、100年以上経った今でも時代や文化の違いを超えて世界中で支持されています。

またビル・ゲイツや藤井聡太など、変化の多い社会の中でも世界をリードする人々が数多く輩出していることから年々注目が高まっています。

まとめ

今回は、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」について解説しました。

教育大国の日本でも、教育の課題はあり改善すべきことがあることが分かりました。

これからの未来もより豊かに生きるためには、みんなに自ら問題解決できる子供を育てる教育や、何歳になっても学び直しができる体制の充実が必要不可欠です。

私たちは、今の現状を知り、一人一人が自分らしく生きるために何歳になっても学ぶことを楽しむことが大切なのではないでしょうか。

それでは最後まで読んでくださりありがとうございました。

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