陸の豊かさも守ろう~日本企業の取り組み

私たち人間の生活は海や川、森などに囲まれた自然、そしてそこで生きる多くの生き物に支えられています。
特に陸の植物は、農業によって生産されるものも含めると人間の食料の約8割を提供してくれています。
森林は二酸化炭素を吸収し酸素を発生させ、また水を循環させ生命を育みます。

このような豊かな陸の恵みを受けとるためには、その豊かさを守っていかなければなりません。
しかし陸の豊かさは年々減少していっており、このままでは陸の豊かさが失われてしまうのは時間の問題となっています。
ここでは、SDGs目標15・陸の豊かさも守ろうの解説と、この目標達成のために具体的な取り組みを行っている日本の企業を紹介していきます。

目標15・陸の豊かさも守ろうとは

SDGsの目標15・陸の豊かさも守ろうは、陸の豊かさを守るために12のターゲットを設定しています。
この12のターゲットには、主に砂漠化の防止・森林の持続可能な経営・土地の劣化の防止や劣化した土地の回復などといった内容が盛り込まれています。

陸の豊かさを守るためには、陸上の生態系の回復や森林を管理して砂漠化を防ぐことが非常に重要になってきます。
陸上においては、現在森林破壊や砂漠化、生物の多様性の損失などが問題となっています。

今後人間が継続的に陸の豊かさを十分に享受するためには、森林などの陸の資源を持続可能な形で利用するシステムを作り、それに則って森林から得られる資源を活用していく必要があります。
そのために、陸の豊かさも守ろうといった目標を掲げ、設定されたターゲットに取り組んでいかなければなりません。

日本の陸地の現状

日本の陸地では、今どのような問題が起こり陸の豊かさが失われているのでしょうか。
ここでは、日本の陸地の現状について解説していきます。

外来種の侵入

陸の豊かさも守ろうという目標を達成するためには、外来種の侵入を防止することも非常に重要です。
外来種とは、基本的に人の手によって本来の自然分布域からその生物が生息していた地域以外に移動させられてきた生物のことを言います。

日本はもともと貿易大国であるため、国内には2,000種以上の外来種が存在しており、個体数も増加しています。
外来種の個体数が増加しその土地に定着してしまうと、生態系や農林漁協、果ては人間の健康や日常生活に影響を及ぼしてしまいます。

特に生態系に大きな影響を与える外来種のことを侵略的外来生物といい、日本のみならず世界中で問題となっています。

里山の荒廃

里山とは、一般的に「ため池や人工林で構成された生物を守る地域」のことを言います。
この里山は環境保全のためのプロクラムに組み込まれてきましたが、現在では里山の荒廃が問題となっており、その回復が陸の豊かさを守るための重要な課題となっています。

里山の回復・整備は、生物の多様性の確保や炭素固定のために必要な取り組みです。
しかし、里山のメンテナンスには高額な費用がかかり、担い手も不足しているため存続が危ぶまれる状況にあります。

人工林は適切な管理のもと成長させないとしっかりと根を張ることができないため、集中豪雨などにより土砂災害のリスクの高まりが懸念されます。
また、適切な管理が行われていない人工林は日光を遮るため地表に日光が届かなくなり、下草の成長を妨げ生物の多様性を損なうといった問題もあります。

林業従事者の減少

陸の生物の耐用性を守るためには、植林や植栽・間伐といったメンテナンスが必要になりますが、その担い手となる林業従事者の高齢化と減少が大きな問題になっています。

日本には1985年の時点で12万人を超える林業従事者がいましたが、2015年の時点では4万人をわずかに超える人数にまで減少しています。

林業従事者数は64%減少し、高齢化も20%から30%を推移しているという状況になっています。
林業に従事する若い世代が今後増加しないと、日本の生物の多様性を回復・維持させることは難しいと考えられています。

陸の豊かさが失われていくとどうなるか

人間がこれまでの方法で陸の豊かさを利用し続けると、やがてその豊かさは失われてしまいます。
では陸の豊かさが失われてしまった場合には、具体的にどのような減少が起こるのでしょうか。

ここでは、その具体的な事象を解説していきます。

土地の劣化

土地の劣化が進むと、森林など陸上の資源に依存して生計を立てている世界の16億人の人々が職を失ってしまい貧困を加速させてしまう可能性が出てきます。

さらに土壌にしっかりと根を張る木々が生える森林が失われると、土砂災害の危険も高まります。

それ以外にも土壌が悪化し砂漠化が進むことで食料の生産が困難になり、生活してくことができなくなるといったことも考えられます。

放置竹やぶによる竹害

竹は、一日に数センチも成長するほど強い繁殖力を持っています。
竹は浅く横に根を張るため、この竹が密集する竹藪をきちんと管理しないと針葉樹の成長を阻むばかりではなく、土砂災害のリスクも高まります。

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生物多様性の崩壊

現在、人間の生活や経済活動により生態系の機能が崩壊し、生物の多様性の損失の進行が懸念されています。
今後もこの状況が続くと、将来の人間の暮らしに大きな影響を及ぼすでしょう。

生物の多様性の崩壊によって脅かされるサービスは、食料や医薬品、繊維などにとどまらず、新鮮な水の供給や汚染物質のろ過、自然災害からの保護などが挙げられます。

地球温暖化

森林は二酸化炭素を固定化するため森林が失われてしまうと、温暖化に拍車がかかってしまいます。
森林を適切に管理し、無計画な伐採などで森林を損なわないための取り組みを行う必要があります。

目標15・陸の豊かさも守ろうを達成するために具体的な取り組みを行っている企業

ここでは、陸の豊かさも守ろうという目標を達成するために具体的な取り組みを行っている日本の企業を紹介していきます。

住友林業

日本には、60年から70年ほど前に作られた人工林が適切に管理されなくなり、荒れた状態で放置されていることも少なくありません。
住友林業は、適切な人工林の整備を行い森の循環を再生させることで、陸の豊かさを守るための取り組みを行っています。

JAL

JALグループは、2018年6月に国際航空運送協会が推進する野生生物の違法取引を減らすことを目的とした「野生動物保護連盟特別輸送委員会、バッキンガム宮殿宣言」への調印を行いました。
野生生物の違法取引を輸送の段階で防止することで、世界各地に外来種として生物が生息しその地域の生態系が崩壊することを防ぐ取り組みを行っています。

アートコーポレーション株式会社

アートコーポレーションでは、タブレットを利用して見積書をデジタル化し、ペーパーレスの促進を行っています。
また梱包の際に、紙を使用していない「エコ楽ボックス」を開発し利用することで、紙の使用量を削減しています。

この2つの方法によって、紙として利用するための森林の伐採の削減に取り組んでいます。
それ以外にもクリーンディーゼル車を導入することで、二酸化炭素などの地球温暖化ガスの排出量削減を行っています。

まとめ

ここまで、日本の陸地の現状や森の豊かさが失われることによって何が起こるのか、そして陸の豊かさを守るために具体的な取り組みを行っている日本の企業の紹介を行ってきました。

人間が今後陸の豊かさの恩恵を享受するためには、陸を守る活動が必要であることがお分かりいただけたと思います。
そのための具体的な活動はすでに始まっており、今後もさらに取り組みを行っていく必要があります。

今後は、個人でもこの取り組みに協力できることはないかということを考えていく必要があるのではないでしょうか。

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