グリーンパンは、ベルギー人のJan HelskensとWim De Veirmanによって開発された、世界で初めてのフッ素樹脂を使用しないノンスティッククックウエアを開発したベルギーのブランドです。
従来のノンスティック加工のフライパンや鍋を高温で加熱すると、人体や地球環境に悪影響を及ぼすPFASと呼ばれる化学物質を放出してしまいます。
ノンスティック加工を施されたフライパンや鍋から有毒物質が出るということを、国家が公にしておらず誰も知らないうちから、この2人は研究しつづけ有害物質を出さないセラミック塗膜のキッチンウエアを生産するために工夫を重ねました。
このような研究と工夫を重ねた結果、グリーンパンはPFASを排出しない安全性の高いキッチンウエアとして知られるようになりました。
ここではPFASとは何かといったことや、グリーンパンが現在まで行ってきたPFAS問題への取り組みについて解説していきます。
「永遠の化学物質」 PFAS
PFASとは、1940年ごろから徐々に世界中に普及し始めた化学物質のことをいい、水や油をはじく、熱に強い、薬品にも強い、光を吸収しないなどの特徴を持っているため、撥水材や表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーティング剤などに幅広く利用されるようになりました。
PFASは、「PFC(パーフルオロ化合物)」という名称で呼ばれることもあります。
実際にはPFASという名前の化学物質はなく4,730種類以上の化学物質の総称で、PFASに分類される化学物質は、2018年に開催された経済協力開発機構(OECD)の報告書により定義されました。
PFASの中で特に有名なのは、ペルフルオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクランスルホン酸(PFOS)の2つです。
PFASは、「永久に残る化学物質」とも呼ばれ、自然界や生物の体内で分解されにくいという性質を持っており、一度生成されると体内に蓄積されやすいという性質も持っています。
人体へのPFASの侵入方法として最も多いのは水と食品で、食品については農作物を栽培する際の土壌からの侵入や、食品の包装・容器から侵入するという2つの経路があります。
PFASの人体への悪影響は、PFOAにおいては血清総コレステロールの増加、PFOSにおいては成人の血清総コレステロールの増加に加えてワクチン接種による抗体反応の低下などがあります。
また、出生時の体重減少や肝酵素アラニンアミノトランスフェラーゼの抗血清値の有病率増加などのリスクがあると判定されています。
PFASが自然環境に及ぼす影響とは
PFASは長年にわたり不活性で毒性がないと考えられていたため、自然環境に配慮されることなく廃棄されてきた事実があり、このことから近年になってPFASによる汚染が地球規模で広がってしまっていることが分かりました。
地上の汚染によりアメリカにおいてはオーガニック・ファームが次々と廃業を余儀なくされ、水の汚染により牛乳からPFASが検出され、海洋においては海水の汚染による海産物への影響が懸念されています。
このように自然環境がPFASに汚染されてしまうと、そこに生きる生物の体内にPFASが蓄積され、やがてはそれらを口にする人間の体内へ入り深刻な健康被害をもたらしてしまいます。
各国で使用が制限され始めているPFAS
「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」において、2021年7月に開催が予定されていた第10回締結国会議が延期されたため、2022年6月に「ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、その塩及びPFHxS関連化合物」を廃絶するべきPFASに追加することが審議されました。
さらに新たな残留性有機化合物として、カナダが「長鎖ペルフルオロカルボン酸、その塩及び関連化合物」を提案しました。
このように、PFASとして分類される化合物についての研究とその規制については、世界各国で前進を見せています。
PFAS の各国での規制状況
このようにしてPFASの危険性が知られるようになった現在、世界中でPFASの使用に関する規制が始まっています。
ここでは、先進3カ国のPFASの規制状況について解説していきます。
EU
EFSAは2008年にPFOSとPFOAのリスク評定を実施し、2012年には詳細な食事暴露評価を行いました。
その結果は2018年に公表され、現在の食品からPFOSとPFOAの体内摂取量が耐容週間摂取量を超過しているとの結論を下しました。
EUにおいては、今後さらなる調査が行われる可能性が高いとみられています。
PFOAに関しては、2017年の6月にREACH規制の制限対象物質リストに追加し、使用を制限しています。
また欧州委員会は2018年2月に水の公衆衛生支援のため、飲料水指定の改正を提案しており、この中には水道水のPFAS対策も盛り込まれています。
アメリカ
アメリカにおいては米環境保護庁(EPA)が2016年に飲用水に関して、法的拘束力はないものの生涯健康観告知としてPFOS及びPFOAの各々及び合計の濃度を70ng/Lと定めています。
さらに2018年5月にPFASに関連するフォーラムを開催し、政府検討に着手しました。
そして2019年12月に連邦政府で国防権限法が制定され、米軍でのPFAS使用を制限する規制が成立しました。
また米環境保護庁(EPA)は2月14日に、ペルフルオロアルキル酸及びポリフルオロアルキル酸を包括的に規制するアクションプランの発表を行いました。
日本
日本では、2019年にPOPs条約でPFOAが附属書Aに記載されたことを受けて、同年から経済産業省と厚生労働省、環境省の合同会合が創設され、PFOSと同様に化審法の第一種特定化学物質に指定する調整を進めています。
一方自然界に残留しているPFASについて、農林水産省は2010年から優先的にリスク管理を行うべき有害物質のリストにPFOSとPFOAを掲載しました、
厚生労働省も長らくPFOSとPFOAを要検討項目としていましたが、2020年4月に水質管理目標設定項目に位置づけを変更しています。
PFASの適切な処分方法とは
PFASの適切な処分法は、分解処理です。
POPs条約では該当物質を含む製品を廃棄するにあたっては含有量が少ない場合を除き、その有害物質の特性を示さなくなるように不可逆的に変換または破壊されるような方法で処分しなければならないと定められています。
そのためPFASを含む廃棄物は分解処理を行わなければならず、それを行わない状態で埋め立て処分されることはPOPs条約に照らして不適切な処分方法であると判断されます。
グリーンパンのPFAS削減に向けた取り組み
グリーンパンは従来のフッ素樹脂などを加熱すると有毒物質を放出することを関係機関が公にする以前から、フッ素樹脂に変わる人体や環境に悪影響を及ぼさない新たなコーティング剤について研究開発を重ねてきました。
防煙素材として使用されるようになったセラミック塗膜は高温に加熱しても有害物質を放出しないことを発見し、キッチンウエアへの加工のための実験を繰り返し、2007年に有害なPFASを一切含まない、砂由来と同じ原料からなるセラミック・ノンスティックコーティングのキッチンウエアを開発しました。
このキッチンウエア、「Thermolon」は業界の価値観を覆すほど革新的な製品で、これがグリーンパンの誕生となりました。
グリーンパン商品画像セレクション
まとめ
ここまで、PFASの危険性やPFASが自然界や人間及ぼす悪影響、各国におけるPFASの規制状況などの解説を行ってきました。
PFASの危険性がお分かりいただけたと思います。
このPFASの危険性にいち早く気付き、PFASを排出しないキッチンウエアを開発したグリーンパンは、まさに先見の明があったと言えるでしょう。
安全・安心なグリーンパンのキッチンウエアを使用することで、体内に取り込むPFASの量を減らすだけではなく、廃棄の際に自然界に放出され汚染を広げる
PFASを減少させ、海や陸の豊かさを守るSDGsの目標達成に貢献することができるでしょう。