日本の農業の救世主とも言われる「スマート農業」。

実は、スマート農業はSDGsに貢献すると言われています。

けれども、「どうして スマート農業がSDGsに貢献するのか」「そもそも、スマート農業とは?」「企業の事例が知りたい」と思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、スマート農業についてわかりやすい言葉で解説しています。さらに日本企業の事例もたっぷり紹介します。

最後まで読めば、スマート農業がとても身近に感じられるはずです。

スマート農業とは?

スマート農業とは、ロボットやAI、IoTなど最新技術を活用した農業のことを意味します。日本では、農家の高齢化や人手不足が深刻であることを知っている方も多いのではないでしょうか。スマート農業は、それらの問題を解決する救世主として期待されています。

例えば以下のものがあります。

  • 農薬散布用ドローン
    従来作業なら1時間かかる作業をわずか10分で完了できるといわれています。
  • アシストスーツ
    収穫物の積み下ろしなどの力仕事をアシストスーツで軽くすることができます。
  • 自動収穫ロボット
    またトマトを自動で収穫するロボットもあります。この自動収穫ロボットは最適な収穫時期をAIが判断し、自動で収穫できるものです。

スマート農業なら、「作業の時短や無人化を実現」「労働不足の解消」が期待できます。膨大なデータを元に常に的確な判断するため、収穫量や品質の向上に役立ちます。

つまり農家の経験値に関係なく、確実に生産できることが魅力です。今までは経験がものをいうと言われていましたが、最新技術の導入のおかげで新規参入しやすい業界に変わりつつあります。

どうしてスマート農業がSDGsに貢献するのか

どうして、スマート農業はSDGsに貢献するのでしょうか。

その理由は農業が抱える課題を解決することが、持続可能な食料につながるからです。

理由① 持続可能な食料生産

スマート農業は目標「2.飢餓をゼロに」と大きく関わっています。農業は持続可能な食料生産の実現に欠かせない存在といえるのではないでしょうか。

日本では「飢餓」はあまり身近でないですよね。それより「食品ロス」という言葉をたくさん耳にするため「食料はすてるくらいある」という感覚の方が強いのではないしょうか。

けれども世界で見ると、日々不足しています。世界人口を40人のクラスに例えると、「今日の食べるものがなく、明日もあるかわからない」生徒は4人いるといわれています。このまま人口が増え続ければ、どうなるでしょうか。

実は、2050年には今より飢餓人口が「20億人増加する」と予想されています。

つまり、世界人口が増えても、すべての人が毎日十分な食事をするためには、輸入に頼るのではなくどの地域においても農業の生産性を高めていくことが必要です。農業には、飢餓やあらゆる栄養不良で苦しむ人たちを助ける力があるといえます。

理由② 環境保護

さらに、スマート農業は「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」「15.緑の豊かさを守ろう」に関係しています。農業には、環境を守る役割も含まれています。

例えば、スマート農業は水や化学肥料を使いすぎることがありません。AIが的確な量を分析して、自動で使用するという農業の機械があるため、資源を無駄遣いすることを防げます。

農薬や化学肥料を大量に使えば、一時的には大量収穫が望めます。しかし、農地の周りの土壌や河川が薬品まみれになって、自然がどんどん壊れてしまいます。

将来も安定した食料生産をするために、環境も守り続ける責任があります。自然の豊かさを守るためにもスマート農業は欠かせません。

理由③ 農業の経済成長

また「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」にも大きく貢献するのではないでしょうか。

スマート農業で作業がより効率化すれば、第一産業の経済成長につながります。農家全体の活性化や個人の収入アップも期待できます。

このように、スマート農業は、農家の働きがいも守り続けているといえます。

理由④ 食料自給率のアップ

日本の食料自給率は「37%」。先進国の中でも自給率が低く、食料自給率を上げることが大きな課題です。

輸入大国である日本は、輸送費がかかるだけではなく、輸送に大量の資源やエネルギーを消費しています。環境に大きな負荷をかけているといえます。

日本の食料自給率を上げるためには、「日本の農業を拡大させる」「農業の効率化を図る」「消費者が積極的に国産の食材を買う」ことが必要です。

そのため、作業の効率化が期待できるスマート農業に注目が集まっています。

参照|農林水産省|

理由⑤ 人手不足の解消

「農家の人手不足」「農家の高齢化」も問題になっています。

農林水産省の調査によると、現在の農家の平均年齢は「67歳」。現在新しく農業を始める方は近年では2万人程度。高齢化が進む中、新規参入する若者が少ないのが現状です。

ベテラ農家の方々が現役バリバリで活躍している間に、これらの問題をスマート農業を活用しながら解決していく必要があるといえるのではないでしょうか。

日本企業の事例

では、日本の企業は持続的な農業を支えるためにどのような取り組みをしているのでしょうか。3つの事例を具体的に紹介します。

クボタ

クボタは「農機自動化による超省力化」と「データ活用による精密化」を軸にして、
スマート農業の実現に向けて取り組んでいます。

  • 自動運転の開発
    クボタは、ハンドルを握ることなく移動しながら農作業も行う農業機械の「自動・無人運転」の開発に尽力しています。ボコボコの農地の上で巨大な農業機械を運転するのはとても大変です。
    直進キープ機能を内蔵した田植機、ハンドル操作が簡単なトラクタをいち早く発売。さらに2018年に、トラクタ・田植機・コンバインの全3機種でGPS搭載の農機を製品化しました。
  • データを活用した農業
    経営を「見える化」し、効率的な生産を支援するシステムとして、KSAS (Kubota Smart Agri System)を導入しました。
    KSASとは、クボタのトラクタ・田植機・コンバインとICTを融合させたクラウドが構成する農業の経営を支援するサービス。2014年より販売開始以降、6,000軒以上の農家が利用しているそうです。
    スマートフォンやパソコンなどを使い、対応農機と連携したデータを収集・活用し、農業経営の見える化することを実現しました。

参照|クボタ|

株式会社オプティム

「スマートアグリフード」のプロジェクトに取り組んでいます。「テクノロジーの力で生産者を支援」「食を通じて消費者にその価値を伝える」「農業の未来に投資」の3つを軸に、スマート農業の発展に尽力しています。

  • アグリのスマート農業
    ドローンを使って田んぼや畑を撮影し、AI技術で病気や害虫を予測し、できるだけ早く退治しています。
    定期的に撮影したお米や野菜の状態をAIによって分析し、病気や害虫が影響しそうな場所をコンピューターを使って割り出すそうです。このデータを元に、どうしても必要な場所にだけ、肥料や農薬を散布できる仕組みが確立しました。
  • スマート米
    ドローンやAIを活用した「ピンポイント農薬散布テクノロジー」農法を用いた「スマート米」を販売しています。
    農薬を最低限の量だけ使用して育てられた「スマート米」では、精米タイプだけではなく、「玄米」「無洗米玄米」があります。特に、「無洗米玄米」は手軽にヘルシーな玄米を食べることができます。玄米は浸水など面倒なイメージがありますが、普通のお米と同じように炊けるのでおすすめです。

参照|スマートアグリ|
参照|スマートアグリフード|

個人でできるアクション3選

農業の発展はSDGに大きく貢献することがわかりました。では、個人でできることはあるのでしょうか。今から簡単に楽しくできるアクションを3つ紹介します。

①日本の食料自給率アップに協力しよう

多くの消費者が国産の食材を買って食べるということは、農家の活性化や生産力向上につながります。そのため、政府も食料自給率の向上に力を入れています。

農林水産省は「みんなで食料自給率を上げよう」と呼びかけています。「食料自給率向上のための5つのアクション(フード・アクション・ニッポン)」として、5つの行動を紹介しています。

  1. 「いまが旬」の食べものを選びましょう
  2. 地元でとれる食材を日々の食事に活かしましょう
  3. ごはんを中心に、野菜をたっぷり使ったバランスのよい食事を心がけ、しっかり朝ごはんを食べましょう
  4. 食べ残しを減らしましょう
  5. 自給率向上を図るさまざまな取り組みを知り、試し、応援しましょう

引用|農林水産省|

このように「食料自給率向上のための5つのアクション」に協力することも立派な貢献です。

具体的にいうと、以下の行動です。

  • 小麦ではなく、米粉のパンを買う
  • 国産大豆の豆腐や納豆を食べる
  • お米をもう一口多く食べる
  • 毎回残さず食べる

このように、小さな行動をコツコツ続けることも自給率アップにつながります。

さらに地元の野菜や旬の野菜を買うことも大切な行動になります。なぜなら地域の農家の売上に貢献できるだけではなく、日本の農家の方へエールを届けられるからです。

産地が近い食品は鮮度が高いため、自分の健康にとっても大きなメリットがあるのでおすすめです。

②スマート農業で作られた食材を買う

2つ目はスマート農業で作られた食材を買うことです。

スマート農業に関係する商品の売上が上がることは、スマート農業の活性化につながります。

最近は、スマート農業で生産されたお米をインターネットで簡単に購入できます。

直接会って農家の方にお礼を伝えることは難しいですよね。だからこそ買うことで「いつもありがとうございます。これからもがんばってください。」というエールを届けてみてはいかがでしょうか。

③農泊を体験する

3つ目は農泊体験です。農泊は、農業や田舎暮らしを旅行感覚で楽しめます。

  • 地元の食材の美味しさ
  • 農業の大変さ
  • 地方の魅力を感じられる
  • 自然の豊かさに癒される

このような理由から、世代を問わず人気が高まっています。最近では、テーマや場所別に検索できる便利サイトも登場しました。

農泊ネット

このご時世だから「お出かけしたいけど、人混みが気になる」という方にもおすすめです。興味がある方はぜひチェックしてみてください。

まとめ

今回は、SDGsに大きく貢献するスマート農業について解説しました。スマート農業は未来の日本の農業に欠かせないといえます。

重労働のイメージが強い農業だからこそ、最新技術を活用してより効率的に生産できるよう進化させていく必要があるのではないでしょうか。

日本が抱える「農家の高齢化」「人手不足」をスマート農業で解決し、日本の農業がさらに発展していくことを期待したいですね。

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