ファッションブランドがSDGsに取り組む理由とは?有名ブランドの事例を徹底解説!

「SDGs」とともに注目されているのが、ファッションブランドの取り組みです。

「サステナブルファッション」というワードを一度は聞いたことあるのないでしょうか。

実は、多くの有名ファッションブランドが、サステナブルファッションに力を入れています。なぜなら、服の大量生産・大量消費が深刻な環境問題や人権問題に大きく関わっているからです。

この記事では、ファッションブランドがSDGs に取り組む理由を詳しく解説します。さらに有名ブランドの事例も紹介していきます。

これからの服の買い物で役立つ情報ばかりなので、ぜひ最後までお読みください。

なぜ、ファッション業界がSDGs「12つくる責任、つかう責任」に取り組むのか?

どうして、ファッション業界がSDGsに取り組んでいるのでしょうか。その理由は、今まで大量生産・大量消費をすると、多くの自然環境や人の命が犠牲になってしまうからです。

背景には「ラナ・プラザ崩落」が深く関わっています。

これは、2013年4月に、バングラデシュの首都ダッカから北西約20kmにあるジャバールで発生したもの。8階建ての商業ビル「ラナ・プラザ」が一気に崩落し、多くの尊い命が失われました。その数は、死者は1100人以上、負傷者は2500人以上、行方不明者は500以上と言われています。

事故の原因は、ずさんな安全管理。このビルの中には多く縫製工場があったため、犠牲者の多くは工場で働く人たちでした。世界的に有名なファッションブランドが、安く大量生産するために労働者を低賃金かつ過酷な環境の中で働かせていたのです。

この悲劇は、世界のファッション業界の卑劣さを明らかにした事件として、歴史に刻まれました。

それ以後、多くのブランドが、服の生産に関わる労働者の人権を守ること、生産過程を公開すること、生産工程の見直しなど、サステナブルなファッションに努めることを誓いました。

SDGs「12つくる責任つかう責任」とは何?

そもそも、SDGs「12つくる責任つかう責任」とは、どんな目標なのでしょうか?

持続可能な社会をつくるためには、人の命や健康、自然環境を守るためには、生産者も消費者も責任ある選択と決断が必要不可欠です。特に、生産者は以下のことに努めることが求められています。

  • 天然資源を持続的に管理する
  • 廃棄物を減らす
  • リサイクルやリユースに努める
  • どのような環境で作られたのか開示する

つまり、SDGs「12つくる責任つかう責任」は、生産者が大量生産・大量消費することを防ぎ、人や自然環境を守り続けながら開発や生産を進めていくことを大切にしています。

参照|ユニセフ|12.つくる責任、つかう責任|

環境や社会に優しい服の生産する3大メリット

では、環境や社会に優しい服の生産するメリットを具体的にみていきましょう。

①エネルギーの節約になる

まずは、エネルギーや資源の節約ができます。

実は、服の生産は環境の負荷が大きい。例えば、服1着当たり二酸化炭素の排出量は約25.5 kg。これは500ミリリットルのペットボトル255本製造するのと同じと言われています。さらに水の消費は約2300リットル。これは浴槽約11杯分になります。

「大量の服を、世界中の人たちのために作り続けていたらどうなるだろう」と想像するだけで、どれだけ環境に負荷をかけているのかが分かるのではないでしょうか 。

②ゴミ削減になる

2つ目のメリットはゴミの削減です。生産者が服のリサイクルやリユースを増やすことで、ゴミを大幅に減らせます。

現在、「趣味が変わった」「新しい服を買ったから」など何らかの理由で、大量の服が廃棄されています。日本でも、一日あたり大型トラック130台分の服が焼却されていると言われています。

大量のゴミは、大量のエネルギーを使って焼却され、埋め立てられます。この環境の負荷をなくすためには、消費者が服のリサイクルやリユースが必要です。

ファッション業界が、消費者にとってリサイクルなどに協力しやすい環境を整えることで、ゴミの削減を実現できます。

③社会全体のサステナブルな意識が高まる

3つ目は、社会全体のサステナブルな意識を高められるということです。

グローバル展開するファッションブランドが、環境に配慮した事業や社会貢献を始めることは、他企業や消費者に大きな影響を与えるのではないでしょうか。

SDGsでも、先進国がリーダーとなって実行することへの重要性が示されています。

ファッション業界は、ありのままの事実を受け止めた上で、これからの未来のためにできることを発信し続けることは、持続可能な社会にとって大きなメリットであると言えます。

企業が取り組むサステナブルファッション!4選!

では、実際に企業がどのような取り組みをしているのでしょうか。今回は、世界的に有名な4つのファッションブランドを紹介します。

①「ユニクロ」

ユニクロは、服のチカラで貢献できる活動を続けています。

一つ目は、リサイクル素材で服を生産すること。飲み終わったペットボトルで作られた糸を使って、新しい服を製造しています。再生技術を生かして、リサイクル率アップに尽力しています。

例えば、「ファーリーフリース フルジップジャケット」は生地の30%がリサイクルポリエステル製。「ドライEX ポロシャツ」でも素材の一部に使用されています。

二つ目は衣料支援。リサイクル活動によって集めた服を難民キャンプなどに寄付しているそうです。ただ送るだけではなく、現地の人数にあった服を届けることを大切にしています。

近年では、大量の服が届いて発展途上国が困惑していることが問題視されています。寄付される人のことを考えて、必要な数量や種類などを確認して必要に応じた服を届けることは、とても評価すべきポイントではないでしょうか。

②パタゴニア

パタゴニアは自然環境と労働者を守る取り組みを長年続けています。

一つ目はフェアトレード運動に協力しているということ。労働者の賃金の保証や暮らしの質の向上に努めています。

2014年からフェアトレード認証済み衣料を生産。このプログラムは、世界10カ国にいる72,000人以上の労働者の生活支援に繋がりました。

二つ目は自然環境保護。1985年から「1% for the Planet」を開始して以来、自然の保護や回復を目的とした寄付を続けています。今に至るまで売上の1%を寄付し続け、総額1億4,000万ドル以上を突破しました。

パタゴニアは、環境保護に取り組む誠実さを高く評価する消費者から信頼をえることを願っています。

③H&M(エイチ・アンド・エム)

H&Mは、服だけでなく靴下や下着を寄付できるという珍しい古着回収サービスを世界規模で行っています。

協力した消費者には、一袋につき「500円クーポン」を引き換えとしてプレゼントしています。回収した古着は、リサイクル、リユース、エネルギーのいずれかに仕分けられます。

この活動は、リサイクルが手間だと感じる消費者の悩みを解決しています。

さらに、販売にも工夫を凝らしています。サステナブルな商品には、すぐわかるようにグリーンタグをつけて販売しています。このタグがあることで、消費者も簡単に環境に優しい服を購入できます。

消費者と協力しながらサステナブルファッションを盛り上げていこうという姿勢が感じられますね。

④Stella McCartney(ステラ・マッカトニー)

Stella McCartneyは、環境や動物に優しい生産にこだわっています。

実は、設立当初より、レザーやファー、スキン(皮革)やフェザー(羽毛)、動物由来の接着剤を一切使用していません。

また最新技術を活用しながら、オーガニックコットンや再生カシミア、リサイクル素材を使った商品開発を続けています。

つまり、Stella McCartneyは、つくる責任をもち、デザイン性と持続可能性の両方を妥協しない洗練されたファッションを消費者に届けることを目指しています。

自分たちにできること!5ステップ!

多くのファッションブランドが、SDGsに取り組んでいることが分かりました。しかし、消費者の意識や行動が変わらなければ意味がありません。

消費者として何をすれば、SDGsの貢献に繋がるのでしょうか。簡単にできる5ステップでまとめました。

  1. 企業のサステナブルな活動や発信している思いを知る。
  2. 自分に必要かどうか考えてから商品を買う。
  3. 環境に優しい商品をなるべく選ぶようにする。
  4. 買った服を長く大切に着る。
  5. 不要な服はリサイクルやリユースする

以上が、自分たちにできることです。

けれども、「環境に優しい商品は高い」と思う方も多いのではないでしょうか。確かに相場より高いのは事実です。

決して無理して買う必要はありませんが、ファッションの現状や企業の思いをしっかり受け止めることは今からできるのではないでしょうか。

まとめ

今回はファッション業界が取り組むSDGsについて紹介しました。

衣類は毎日の生活に欠かせません。けれども一つの服を作るためには、環境に大きな負荷を与えてしまいます。

また安く服が買える一方で、見えない所で安い賃金で働かされている労働者がいる可能性もあります。

生産者も消費者もファッションに関わる社会問題をしっかりと受け止めて、今の自分たちに出来ることを少しずつ始めることが大切なのではないでしょうか。

その小さな積み重ねがSDGs「12つくる責任、つかう責任」の貢献の大きな力になるはずです。

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